またボーイング737MAX機がトラブル(2021/4)

はじめに

昨日はまたボーイング(BA)社の737MAX型機に関するトラブル報道があった。

結果から言うとボーイングの株価は

前日比マイナス1.02%と、報道の見出しから想定されたよりは影響が少なかったようだ。ちなみに同日のダウ工業平均が0.89%、S&P 500が0.77%、NASDAQが0.51%いずれも上昇している。

以下、新しい737MAXの新しいトラブルに関して整理しておく。


ボーイングとFAAの発表

以下はボーイングの企業サイトより引用・抜粋。

タイトルは

  • Recommendation for Potential Issue for Some 737 MAX Jets
    一部の737MAXジェットの潜在的問題に関する推奨事項

となっており、自分が最初に抱いた印象とは異なりあくまで一部の機体に関するトラブルの様だ。ボーイングの発表は以下の4文。

  • Boeing has recommended to 16 customers that they address a potential electrical issue in a specific group of 737 MAX airplanes prior to further operations.
    ボーイングは16の顧客に対し、さらなる運用の前に737MAX機の特定グループにおける潜在的な電気系統の問題に対処することを推奨しています
  • The recommendation is being made to allow for verification that a sufficient ground path exists for a component of the electrical power system.
    電力システムのコンポーネントに十分な接地経路が存在することを確認できるようにするための推奨事項が作成されています
  • We are working closely with the U.S. Federal Aviation Administration on this production issue.
    この製造上の問題については米国連邦航空局と緊密に協力しています
  • We are also informing our customers of specific tail numbers affected and we will provide direction on appropriate corrective actions.
    また、影響を受ける特定の尾翼番号を顧客に通知し適切な是正措置について指示を出します

FAAのサイトでもこの問題に関して発表されており、そちらでは具体的に「バックアップ電源制御ユニット」と言及されている。

  • Boeing notified the FAA late Thursday that it is recommending that operators of certain Boeing 737 MAX airplanes temporarily remove them from service to address a manufacturing issue that could affect the operation of a backup power control unit.
    ボーイングは木曜日遅くFAAに、バックアップ電源制御ユニットの動作に影響を与える可能性のある製造上の問題に対処するため、特定のボーイング737MAX機の運航を一時的に中止することを推奨していることを通知しました

これらの報道はいずれも4月9日の米国市場開場前の発表。これを受けてボーイング株は市場はプラスにもかかわらず開場後から下落。ただ、その後は冒頭に書いた通りそれ程下落してはいない。

これはその後ボーイングの広報担当者が、今回の問題は運航停止の要因となった失速防止システム「MCAS」の不具合とは関係ないとしたことが報じられたためかもしれない。


まとめ

問題はこの影響が今後どこまで広がるのかが分からないこと。ブルームバークの報道によると米国の航空会社は金曜日に合計67機の737MAX機を運航停止させ、これは世界中で就航しているMAX機全体の約3分の1としているが、自分がぱっと思い付くだけでも

  • 今後運航停止の機体数が増加しないか
  • 検査及び修理にどれくらいの時間・コストがかかるのか
  • 就航中ではない引渡し前の機体の検査も必要なのか

といった点が不明。

それにまたも737MAX機の不具合で運行停止という事で、ただでさえ墜落事故で失墜しているボーイング/737MAXのイメージが更に悪化し、売上減少となる可能性があることも懸念される。

以前の737MAX機墜落事故においては情報の開示が十分では無かったことが問題視されていたので、不具合を早い段階で開示し規制当局と共有するのはボーイングのガバナンス体制が前進したと言えなくもないが、そもそも不具合が無いのが当たり前なのだからこれは評価の対象にならないだろう。

過去1ヶ月のボーイングの株価は

一応ダウ工業平均を上回るパフォーマンスではあるのだが、こういった報道を見ると先行きがまだ不安。過去2年の株価を見てみると分かるように

ボーイングはまだコロナ前の株価への回復途上だからなあ。そして配当は停止したまま、と。

そういった事も踏まえると、4月28日に予定されているボーイングの2021年第1四半期決算は要注目。737MAXの運航再開が決算内容に反映されてくると思うので、決算の内容で(こういったトラブルの影響は除き)ある程度今後の見通しが明確になるのでは、と期待している。

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