米国株バイアンドホールド投資10年経過時点のまとめ

はじめに

2001年7月に開始した米国株投資の10年が経過した2011年6月までの整理をブログという形で確認してみたが、ここで10年間という視点で今の自分に役に立つ何らかの気付きがあるかもしれないのでまとめてみようと思う。


各種データ

期間/年齢

2001年7月から2011年6月までの120ヶ月(10年)。その間の自分の年齢は32才~42才。


投資金額

2001年投資資金(7月から):835,000円(累計投資資金:835,000円)

2002年投資資金:3,265,000円(累計投資資金:4,100,000円)

2003年投資資金:2,416,033円(累計投資資金:6,516,033円)

2004年投資資金:1,536,287円(累計投資資金:8,052,320円)

2005年投資資金:1,950,000円(累計投資資金:10,002,320円)

2006年投資資金:2,500,000円(累計投資資金:12,502,320円)

2007年投資資金:3,160,000円(累計投資資金:15,662,320円)

2008年投資資金:3,100,000円(累計投資資金:18,762,320円)

2009年投資資金:4,000,000円(累計投資資金:22,762,320円)

2010年投資資金:3,000,000円(累計投資資金:25,762,320円)

2011年投資資金(6月まで):2,000,000円(累計投資資金:27,762,320円)

2001年と2011年はそれぞれ半年なので、以下の考察からは省略する。

【2002、2003年】

この時期は後の年に比べて投資額が多めだったが、投資を開始して初期の段階という事でいろいろと試行錯誤していた時期だったことと、想定していたポートフォリオ銘柄を揃えること、そして値下がり銘柄の平均取得価額を下げるために買い足しを頻繁に行ったことが理由としてあげられるだろう。

【2004~2007年】

この4年間は右肩上がりで投資額が増えている。これは自分の生活スタイルと合わせながら、無理のない範囲で投資額を段々と増やしていった時期になる。

【2008年】

この年の投資額が前年とほぼ変わらなかったのは、所有していた銘柄が買収に伴って現金化されたので、投入金額を控えたことによるもの。

【2009年】

この年は年間400万円を投資に回しているのだが、今これを書いている2019年でもこの年間投資額はほぼ変わらない。自分の生活に合わせた投資金額のベースはこの年に出来たことになる。逆に言うと、これ以上の投資金額捻出は自分の生活スタイルからは難しいという事と、これ以降はほとんど給与(サラリー)が上がっていないという事だろう。

【2010年】

この年も投資額が2008年とほぼ同じになったのは、やはり所有していた銘柄が買収に伴って現金化されたので、投入金額を控えたことによるもの。


円ベース資産

こちらは上に挙げた投資資金を含んだ円ベースの資産推移のグラフ。2007年を頂点として大きく下がった後、10年目には2,000万円を超えるようになっている。ただし、総投資資金は2,000万円を大きく超えているので、2008年以降の投資はマイナスに対する補填にしかなっていない感じ。


期間中の投資損益

2001年7月から2011年6月までの120ヶ月の累計投資損益は、

■プラス:38ヶ月

■マイナス:82ヶ月

であり、投資期間の内約3分の2がマイナスという結果。やはり投資が上手ではないと言える。言い訳をすると、投資開始初期はITバブル崩壊時期、そこから数年かけて何とか持ち直したところで、世界金融危機、欧州債務危機といった世界全体で株価が下がる事象が起こったことも影響している。


米国株購入回数

購入回数は70回。ただし初期にあった誕生日手数料無料を利用して購入した回数が2002年3月に5回、2003年3月に15回、2004年3月に1回あるので、それを除くと10年間で49回購入したことになる。以下はその年度毎の米国株購入回数のグラフ。

【2001年】

期間が半年と短いことや、投資開始最初期で色々手探り状態

【2002年】

手数料無料を除いてもほぼ毎月購入していたことになる。また手数料無料を利用して投資前に想定していたポートフォリオ銘柄の拡充も図っていた

【2003年】

2002年とは異なり、手数料無料時に15銘柄を購入して一気にポートフォリオ銘柄を揃えていた。一方で通常の手数料ありの購入は3回

【2004年~】

2004年はその年まであった手数料無料で1銘柄購入しているが、それを除くと2004年から年に4回あるいは3ヶ月に1回の購入という自分の購買スタイルが固まっているのが分かる


購入銘柄

この期間に購入した銘柄は以下の通り。手数料無料のみの銘柄は金額が少ないこと購入回数が2回以下なのでここでは割愛。

シティグループ(C):16回(うち手数料無料2回)。総購入金額151,361.5ドル

ブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMY):15回(うち手数料無料1回)。総購入金額54,911.9ドル

サン・マイクロシステムズ(SUNW後にJAVA):9回(うち手数料無料1回)。総購入金額22,172.9ドル

ゼネラル・エレクトリック(GE):5回。総購入金額32,299ドル

アメリカン・オンライン(AOL):4回(うち手数料無料1回)。総購入金額4,639.4ドル

エレクトロニック・データ・システムズ(EDS):2回(うち手数料無料1回)。総購入金額4,073.9ドル

クラフト・フーズ(KFT):1回。総購入金額7,922.8ドル

上記7銘柄で投資金額の90%超を占めている。また各銘柄の投資金額を見ると、銘柄の分散という点では十分ではない事が分かる。以下では1万ドル以上投資している銘柄について簡単に触れてみる。

シティグループ

シティグループの購入を振り返ってみると、2002年、2003年に各1回誕生日手数料無料を活かして購入して以来ずっと放っていたのだが、2007年のサブプライムローン問題に端を発する世界金融危機の際に急落してから買い続けているので、投資回数・金額ともに一番大きくなっている。

世界金融危機の際に国有化の危機まで懸念され、株価も1ドルを切る直前まで行ったのだが、色々考えた末に買い続けている。何とか2011年6月時点では停止されていた配当も再開され、多少は上向いているのだが、世界金融危機に続く欧州債務危機もあり、まだまだ取得価額比マイナスの状態。

シティグループを買い続けていたのは年齢的な要素も大きいだろうと思う。40歳前後の時期であったので、もしシティがダメになっても、あるいは株価が回復するのに時間がかかっても働けば何とかなるだろうという気持ちがあっただろう。これが現在の50歳手前では、配当停止や国有化寸前までの状況になった銘柄を購入し続けるというのは、難しいような気がする。

あくまで結果論であるが、この株価低迷時期に買い続けていたことが2019年2月現在のシティの見かけ上の利益が1,000万円を超えていることや四半期配当が約20万円になっている。バイアンドホールド/長期投資が上手くいっている銘柄だと言える(あくまで現時点では)。

ブリストル・マイヤーズ スクイブ

ブリストル・マイヤーズ スクイブは、最後に購入したのが2007年3月の時点であり、それ以降は購入していない。世界金融危機の前ぐらいに、株価が取得価額比とトントンになり、それ以降は自分としては他の銘柄と比べての値頃感が薄れたため。ブリストル・マイヤーズ スクイブに関しては、10年という単位ではないが別記事でまとめている。

サン・マイクロシステムズ

サン・マイクロシステムズは主に米国株投資の初期段階である2001年~2003年に購入した銘柄。購入してから株価が下落したため、値ごろ感があると思って買い足していたのだが、2004年以降は他の銘柄の値頃感があったこともあり、あまり投資はせず。結果的にはこれが良かったとも言える。何故ならその後トントンぐらいまでは上昇したのだが、また下落し、取得価額比マイナスのまま他社に現金買収されてしまっているので。

最終的な損益は現金買収時価格13,062.5ドル-総購入金額22,172.9ドル=マイナス9,110.4ドルと100万円ほどの損失で終わってしまった。今考えると上に書いた取得価額比と同じぐらいの時に売却しておけば良かったのだろうが、その際には今後も上がる、と思っていたのだろうなあ。サン・マイクロシステムズは自分が保有していた間は無配当だったのも痛い。

サン・マイクロシステムズの詳細については、現金交換が完了した2010年2月の記事でも触れている。株式併合やティッカーシンボルの変更(SUNW⇒JAVA)、そして現金による買収と色々な経験をさせてもらった銘柄ではある。

ゼネラル・エレクトリック

ゼネラル・エレクトリックは、2001年、2002年、2003年に各1回購入した後しばらく期間が空いて、2009年、2010年にまた1回ずつ購入している。

2009年の9月に購入しているので、GEの配当が1929年の世界恐慌以来二度目の減配の後に買い足していたことになり、この事から当時は配当についてはあまり気に掛けていなかったことがわかる。これもシティグループと同様40歳前ぐらいだったからだろうか。

また2009年、2010年に購入していることから、この時点ではポートフォリオの主力銘柄として育てていこうとしたのではないだろうか。


初期ポートフォリオから無くなった銘柄/増えた銘柄

初期に想定したポートフォリオから10年経過時点で買収などで無くなった銘柄は以下の通り。

シティグループ(C)⇒トラベラーズ(TAP A/B)

2002年8月に、C1株に付きTAP A株0.0432043株、TAP B株0.0887656株が付与されるスピンオフ

トラベラーズ(TAP A/B)

2004年4月にTAP A/B 1株あたりSTA 0.4334株が付与される買収。しかしSTA一株に満たないため現金化

ジレット(G)⇒プロクター・アンド・ギャンブル(PG)

2005年10月にジレット1株あたり、プロクター・アンド・ギャンブル0.975株で買収され、ジレット株は無くなる

クラフト・フーズ(KFT)

2007年4月にアルトリア・グループ(MO)10株につき、KFT株式6.92株が付与されるスピンオフで新規に加わる。MOはそのまま

フィリップ・モリス(PM)

2008年3月にアルトリア・グループ(MO)1株につき、PM1株が付与されるスピンオフで追加。MOはそのまま

エレクトロニック・データ・システムズ(EDS)

2008年8月に1株あたり、現金25.00ドルが付与される買収によって無くなる

タイム・ワーナー・ケーブル(TWC)

2009年5月にタイム・ワーナー(TWX)1株につきTWC0.08367株が付与されるスピンオフで追加

AOL(アメリカン・オンライン)

2009年12月にタイム・ワーナー(TWX)11株につきAOL1株が付与されるスピンオフで追加

サン・マイクロシステムズ(JAVA)

2011年1月に1株当たり、現金9.50ドルが付与される現金買収によって無くなる

10年もバイアンドホールドを続けているとそれなりに変遷がある。初期に想定したポートフォリオ以外では、投資最初期に購入し唯一の売却銘柄でもあるアリバ(ARBA)と無価値証券、有体に言えば潰れたエクソダス・コミュニケーションズ(EXDS)もあるのだが、ここではあくまでバイアンドホールド中心なので割愛。詳細はそれぞれリンクを参照。


配当

2001年総配当金額(7月から)(税引後):0円

2002年総配当金額(税引後):19,436円

2003年総配当金額(税引後):66,616円

2004年総配当金額(税引後):108,972円

2005年総配当金額(税引後):162,596円

2006年総配当金額(税引後):248,963円

2007年総配当金額(税引後):352,701円

2008年総配当金額(税引後):446,275円

2009年総配当金額(税引後):309,206円

2010年総配当金額(税引後):314,511円

2011年総配当金額(6月まで)(税引後):165,474円

2001年7月から2011年6月までの税引後受取配当合計は2,029,276円。これはすべて再投資に回している。

2008年までは順調に受取配当額が増加していたのだが、2009年に大きく下がり、2010年には横ばい。これは世界金融危機の前後で配当減、配当停止の銘柄があったため。特にシティグループ(C)の配当停止とゼネラル・エレクトリック(GE)の減配が大きく影響している。また同じ頃から為替レートがドル安になっているのも円ベースでの受取配当が減少、停滞しているのに影響を及ぼしている。


期間中の為替レート

期間中の為替レートは以下の様になっていた。

2007年半ばからドル安の傾向が続いてしまっている。ドル安だと同じ円ベースの投資で購入できるドル、すなわち米国株が多くなる一方で、円ベースの資産は目減りしてしまう。

損益がマイナスに沈んでいるのは、この為替の影響も大きい。この時点での平均ドル取得価額は残念ながら不明なのだが、1ドル=100円だとしても20%超為替だけでマイナスが膨らんでいることになる。


まとめ

2011年6月時点では、2008年2月からの累計損益のマイナスが、約40ヶ月・3年半継続しているのにもかかわらずバイアンドホールドの米国株式投資を10年続けてきた。バイアンドホールド/長期投資の投資スタイルが習慣化してきてしまったのだろう。またあくまでマイナスはバイアンドホールドなので見かけ上の損失に過ぎないことも影響していると思う。(ただし、エクソダス・コミュニケーションズの様に破綻したり、サン・マイクロシステムズの様に現金買収された際の価格がマイナスだった場合には損失確定ということになるのだが…)。

このバイアンドホールド/長期投資スタイルが良いか悪いかの判断は本当に難しい。あるいは良い悪いの判断はずっと出来ないのかもしれない。2011年6月時点を見れば投資損益がマイナス600万円程であり失敗と言えるだろうが、これを書いている2019年2月ではプラス3,000万円を超えている。そのプラスの要因はここで書いた最初の10年にあった低迷期にも買い続けた米国株が上昇しているおかげでもある。けれどもこの先どうなるかは分からない。もしかするとまた損益がマイナスになる事になるかもしれない。

ただ、投資を2001年7月に投資を始める前にも調べて自分で納得したように、長期的な視点で見れば、米国株は上昇する可能性/確率が高い、というのはまだ確かなのだろう。あくまでデータから見れば可能性が高い、というだけで絶対ではないことに注意が必要だが、自分の能力で売買を繰り返して利益を上げるやり方で成功する可能性を考えると、この米国個別株投資をバイアンドホールド/長期で行うと言うのは、今でも自分に向いていると思う。この向いているやり方を選んだ/選べたというのが重要なのかもしれない。

株で確実に勝つ方法があれば、毎月雨後の筍のごとく株式関連の本が出版されることもないし、誰も株で苦労はしない。株で確実に勝つ方法がない以上、様々な情報を検討して自分に合った投資のやり方を選択して、必要であれば修正していくことが重要なのではないかと個人的には思う。

更に踏み込んで言うと、「自分に合った」という点に関しても色々な要素があるだろう。思い付くだけで投資資金、投資方法、仕事、性格、年齢、家族、市場及びその動向等々があるし、それらも時間と共に変化していくのだから。

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