フィリップ・モリス2026年第2四半期決算(2026/7)

はじめに

2026年7月22日(水)には自分の所有銘柄の一つであるフィリップ・モリス(PM)の2026年第2四半期決算発表があった。

前回2026年4月の2026年第1四半期決算では市場予想を上回る売上、EPSだった一方、通年のAdj. Diluted EPS(調整後希薄化1株あたり利益見通し)はやや下げているのだが、その要因は為替の好影響が小さくなったのみであり、通年見通しの中間値は市場予想(8.4ドル)を上回っていることが評価され6.98%の大幅上昇。その際には

「今後のフィリップ・モリス株だが、今回決算を受けてそれまで下落傾向だった株価が上昇傾向に転じるかがポイントだろう。まだ決算後2営業日だけであり、決算翌日は上昇、翌々日は3%近い下落と判断するには時期尚早。翌々日の3%下落が単なる利益確定であることを願いたい。そして市場が気に掛けているZyn Ultraの承認と市場投入の時期、そして経営陣の目論見通りの成果を挙げることが出来るかが注目点となるが、今回決算を受けて上昇傾向とまでは言わないが少なくとも決算前の下落傾向に歯止めがかかることを願いたい。」

と書いていた。

その後は5月初頭に米食品医薬品局(FDA)が販売申請が審査中の無認可の電子タバコおよびニコチンポーチ製品に対する取り締まりを緩和するとしたこともあって上昇。ただその後は上下動が激しく方向感が定まらない株価推移をしていた印象がある。

そんな中、今回のフィリップ・モリス決算結果そして株価はどうなったのか。以下に内容を確認し整理しておく。


フィリップ・モリス2026年第2四半期決算概要

以下の情報は、フィリップ・モリス・インターナショナルのサイトより引用・抜粋。

  • 2026年第2四半期の純売上(Net Revenues)は111億9200万ドル、前年同期は101億4000万ドルで10.4%増加
  • 2026年第2四半期の調整後営業利益(Adjusted Operating income)は47億7300万ドル、前年同期は42億4600万ドルで前年同期比12.4%増加

  • 2026年第2四半期の調整後希薄化1株あたり純利益(Adjusted Diluted EPS)は2.20ドルで前年同期比15.2%増加、為替の影響を除くと2.17ドルで前年同期比13.6%増加

  • 2026年第2四半期の出荷量
    • 全体:前年同期比2.5%増
    • タバコ製品(Cigarettes):前年同期比1.1%増
    • 無煙製品(SFP:Smoke Free Products):前年同期比7.5%増
      • 加熱式タバコ製品(HTU:Heated Tobacco Units):前年同期比7.6%増
      • 口腔無煙製品(Oral SFP):前年同期比1.2%減
      • 電子タバコ(E-vapor):前年同期比55.1%増

2026年通期見通し

2026年通期の見通しは以下の通り。

  • Net Revenue(売上):5~7%(前回と変わらず)
  • Operating Income(営業利益):7~9%(前回と変わらず)
  • Adj. Diluted EPS(調整後希薄化1株あたり利益):7.5~9.5%(前回と変わらず)
    • 8.26~8.41ドル(為替の好影響0.15ドルを含む)(前回は8.36~8.51ドル(為替の好影響0.25ドルを含む))
  • Adj. Diluted EPS, USD(ドルベース調整後希薄化1株あたり利益):9.5~11.5%(前回は10.9~12.9%)
  • Operating Cashflow(営業キャッシュフロー):135億ドル(前回と変わらず)

2026年第3四半期の調整後希薄化1株あたり利益見通しは2.20~2.25ドル(為替の好影響0.08ドルを含む)。

その他

その他決算発表及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。

  • 第2四半期は非常に好調
    • 純売上は8%増、営業利益は11%増となり、調整後希薄化後1株当たり利益は為替変動の影響を除いた実質で14%増の2.20ドル、ドル建てでは15%増
    • 第2四半期の業績は、国際的な無煙製品事業の優れた業績によって再び牽引され、販売量は一桁台後半の成長、売上高は二桁台の成長、粗利益率は目覚ましい拡大
      • IQOSの調整後市場販売量は5%増加したが、これは4月の日本の物品税増税とポーランドの特徴的なフレーバー禁止による一時的な逆風を含む
      • これら2つの市場を除くと、二桁成長が継続し、市場全体にわたる無煙製品事業の幅広い強みを反映している
    • 可燃性製品の業績は予想を上回り、販売量の増加、非常に良好な価格設定、安定したカテゴリーシェア、粗利益の増加が見られた
      • 通年でこの業績が同規模で繰り返されるとは予想していないが、このような結果は、当社がタバコにおけるリーダーシップを活用して、法定年齢に達した喫煙者がより良い代替品に切り替えることを支援している中で、当社のポートフォリオの堅牢性を示している
    • 米国では、厳しい第1四半期と比較して純売上、粗利益、営業利益が大幅に改善
      • 米国のニコチンパウチカテゴリーは引き続き成長したが、ZYNの販売量は前年比でほぼ横ばいからわずかに増加にとどまり、ここ数四半期に見られた不均一な競争環境を反映している
      • 今後数ヶ月で、法定年齢に達した米国のニコチン消費者に提供する製品を強化・充実させるための追加的な取り組みを計画しており、ポートフォリオ拡大の第一段階に期待を寄せている
      • 豊富な製品パイプラインと規制の明確化が進む中で、ZYNのブランド価値とポートフォリオ拡大を支援し、IQOS ILUMAの将来的な発売に備えるため、今年後半に米国への投資を加速させるのが適切な時期だと考えている
    • 全体として、上半期の好調な業績は、無煙タバコの成長機会に継続的に投資し、業界最高水準の売上高と利益の成長をもう一年達成できるという当社の自信を裏付けるもの
  • 米国での成長投資を強化するという戦略的決定を下したため、下半期の販売費および一般管理費は以前の予想よりも高くなると予想
  • 上半期には売上原価と販売費および一般管理費全体で3億ドルを超える成長コスト削減も実現し、2024年から2026年の期間の20億ドルの目標達成に向けて順調に進んでおり、これまでの累計は18億ドル超
  • 通期見通し
    • 国際的な無煙タバコ事業は非常に好調に成長しており、燃焼式タバコ事業も当初の予想を上回っているため、業界最高水準の成長実績を維持しながら、さらに投資を行う余地がある
    • 下半期については、引き続き堅調な売上高と、オーガニック営業利益の成長加速が見込まれる
      • ただ前年同期が好調だったことから、第3四半期のオーガニック売上高は一桁台半ばの成長率と緩やかになると予想
      • また昨年の第3四半期との税率比較における厳しい状況も反映される
  • 質疑応答
    • 予想を上回る業績と堅調さが続いているにもかかわらず通期見通しを据え置いた理由は、半期に米国への投資を強化するという戦略的な決定によるものなのか、それとも他に留意すべき点があるのか
      • 今日ガイダンスを修正しない理由は、米国で非常にエキサイティングな時期を迎えているから
      • 米国では、数四半期にわたる不満の後、素晴らしい瞬間を迎えている
      • ZYNの成長を加速させ、この新たな状況(高ニコチンのZun Ultra投入)を活用するために、あらゆる手段を講じるつもり
    • ZYN Ultraの展開状況について詳しく
      • まだ2週間しか経っていないので、慎重な姿勢を保つ必要があると思うが、最初のデータとフィードバックは確かに心強いもの
      • もう少し様子を見て、夏が終われば、ZYN Ultraがもたらすものをより深く理解できるようになるだろう
    • 低ニコチンZYNの展開計画について
      • 米国に限らずニコチンパウチ全般において、1.5ミリグラムという濃度は喫煙者に、このより良い代替品への切り替えを促す上で特に重要だと考えている
      • ニコチン濃度が高すぎると、かえって不快な体験となり、この製品への移行をためらう人もいることを私たちは理解している
      • この1.5ミリグラムが、このカテゴリーを実際に試す何百万人ものアメリカ人に、可能な限り最良の条件と最高の体験を提供できることを願っている
      • 展開計画や今後の取り組みについては、機密情報ですので、ここではお話しできないが、これがこの1.5ミリグラムの開発における私たちの理念
    • 増税を踏まえた日本のIQOS状況について
      • 日本で私たちが経験していることは予想通り
      • 第1四半期の買いだめ、第2四半期の初めのマイナスの影響、そしてその後の回復という流れは、多少混乱するだろうと予想していた
      • マクロ的な視点で見ると、確かにこのカテゴリーの成長は鈍化しているが、依然として成長しており、第2四半期までのデータを見ると、定期的に改善していることがわかる
      • 私たちは既に最悪の時期(値上げ)を経験しており、競合他社が消費税の増税を吸収したいのであれば、私たちよりも値上げしなければ、大きな悪影響を受けることになると分かっている
      • 警告しているように下半期にはさらに混乱が生じるだろうが、私たちは最も困難な時期を乗り越えたとかなり自信を持っている

市場予想との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2026年第2四半期の純売上(Net Revenues)は111億9200万で、市場予想の105億8000万ドルを上回っている
  • 2026年第2四半期の調整後希薄化1株あたり純利益(Adjusted Diluted EPS)は2.20ドルで、市場予想の2.04ドルを上回っている

となっている。


まとめ

上記の様な決算結果を受けてフィリップ・モリス株は

前日比3.33%の上昇。同日の米国市場が

横ばいからやや下落だったことを考えると、フィリップ・モリス株の上昇幅は大きい。

市場予想を上回る売上、EPSにもかかわらず通期予想を据え置いたことが嫌忌されるかと思われたが、それがZynへの積極的な投資であることが市場に評価されたこと、また予想外にタバコ製品の出荷量が増加したことが寄与したのだろう。

決算後数日を含めた年初来のフィリップ・モリス株の推移を市場(S&P 500)と比べると

前回決算以降は冒頭に書いた通り、FDAが販売申請が審査中の無認可の電子タバコおよびニコチンポーチ製品に対する取り締まりを緩和するとしたことで上昇した後は、上下動が激しく方向感が定まらない株価推移をしていたのだが、意外にも7月半ばには上昇傾向に転じていた(特にフィリップ・モリスや業界にとっての大きな出来事は無かったので、ハイテク銘柄からディフェンシブ銘柄への資金移動が原因と思われる)。そして今回決算で年初来高値を更新し、翌日こそ反落したもののその後3営業日も続伸している。

今後のフィリップ・モリス株だが、今回決算の内容、そして決算後数日も上昇傾向にあることを考えると、堅調な株価推移が期待できる気がする。一方で、最近のハイテク銘柄下落により投資資金がフィリップ・モリスの様なディフェンシブ銘柄に流れてきている可能性もあるので、ハイテク銘柄が持ち直せば伸び悩むかもしれない。また最も重要なのは、米国での成長投資というフィリップ・モリスの戦略が第3四半期決算の結果にどの様に表れてくるかだろう。第3四半期決算で経営陣の目論見通りの結果が出てくれるといいのだが。

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