はじめに
2024年(2023年/令和5年度分)の確定申告からルールが変わり、前年までの住民税は申告不要、所得税は申告分離課税で申告という方法が出来なくなり、住民税と所得税の申告を統一しなければならなくなった。
色々考えた末に2024年の確定申告は申告不要を選択したのだが、それに伴い2020年10月に完全リタイアして以降の予実管理のベースである想定キャッシュフローに大きな変化が生じることになった。
これまでも完全リタイアしてから判明した細かな変更点はあったのだが今回の変化はあまりに影響が大きいので、新たに想定キャッシュフローの最新版を作成してそれを元に今後の予実管理をしていくことにする。
新たな想定キャッシュフロー
項目自体は基本的に以前のものと変わらず。そして基本的スタンスとしては以前と同じく収入は少なめ、支出は多めに見込んでおくことにする。
Jan-24 | Feb-24 | Mar-24 | Apr-24 | ||
月初預貯金 | |||||
配当金充当 | |||||
その他入金(還付金等) | |||||
出費 | 住居費 | ||||
生命保険 | |||||
国民年金 | |||||
健康保険 | |||||
通信費 | |||||
医療費 | |||||
住民税 | |||||
生活費 | |||||
月末預貯金 |
月初預貯金
引き落し口座にある預貯金の額をそのまま転記。前月の月末預貯金と同額(2021年版と変わらず)。
収入
配当金充当(年間95×3=285万円⇒100×3=300万円)
配当金を証券口座から引き落し口座に入金した額。2021年版では95万円を年間3回の285万円を想定していた。
これまでの実績を振り返ると2023年は6月から米国株配当の受取りをドルから円に変更したためドルベースでの実績は不明だが、2022年から過去3年の税引き後実績を振り返ってみると
- 2022年:1ドル=129.68円、30,473ドル
- 2021年:1ドル=108.86円、34,003ドル
- 2020年:1ドル=105.28円、32,653ドル
となる。2021年に比べて2022年の受取ドル配当が少ないのは、AT&Tのスピンオフに伴う配当減があったため。ただし2022年のAT&T配当1回は配当減前のものであり、その差は1400ドル。
最新のドルベース年間配当及び将来的なドル円為替変動がどうなるのか不明であるが、2022年の実績30,473ドル-1,400ドル(AT&Tの配当減分)+約1,000ドル(その後の全株式の増配分合計)の3万ドルをベースとして、直近の為替レートを考慮してパターン分けしてみると
- 1ドル=100円の場合:3万ドル×100円=300万円
- 1ドル=120円の場合:3万ドル×120円=360万円
- 1ドル=140円の場合:3万ドル×140円=420万円
といった具合になる。
為替レートで結構差が大きくなるのでどれを選択するかが重要になってくるのだが、更に遡って2014年から2019年までは100円台が4回、110円台が2回、2013年以前は1ドル=100円以下が数年間続いていたという過去実績を鑑みて1ドル=100円にしておくことにする。
従って新しいキャッシュフローでは100万円を年間3回の300万円という想定となる。
その他入金(還付金等)(年間30万円⇒0円)
確定申告時の還付金など配当金以外の入金額。以前は完全リタイア直後で配当金だけで確定申告をして所得税の還付が受けられるか確信が無かった(実際は受けられた)ので、米国株で二重課税されている分を確定申告することで2021年版では毎年3月に30万円入って来る想定としていた。
しかし2024年の確定申告(2023年度/令和5年度分)で触れた様に、法改正に合わせて「上場株式の配当等に係る課税方式」を申告不要で統一したことによって還付金は0円となる。今後確定申告の方式を変える可能性はあるのだが、ここでは今後も申告不要を選択する想定にしておく。また還付金以外の入金可能性もゼロではないが、現時点ではその他入金も無いものとしておき、その他入金(還付金等)は0円と想定する。
支出
住居費(月10万円⇒11万円)
家賃、水道光熱費(電気、ガス、水道代)の合計。2021年版では月10万円を想定していた。
しかし完全リタイアして以降、特に電気代、ガス代が値上がりしたため10万円を上回るようになっているため、新しいキャッシュフローでは住居費を月11万円と想定しておく。
生命保険(6月25万円、9月26万円及び月8000円⇒変わらず)
終身保険1つ、個人年金2つの支払額。2021年6月(25万円)、9月(26万円)から年払い。年払いに出来ない個人年金毎月8000円。払込終了は年払いが2028年、月払いが2029年と想定していた。
これに関しては2021年版と変わらず。
国民年金(2年毎4月に48万円⇒2年毎5月に48万円)
2021年版では月2万円の2年払い(48万円)が4月に発生と想定していた。
実際には月2万円は多めに見積もった額なので約40万円の支払いが、カード引き落としのため2年ごとの5月に発生している。
想定額を引き下げても良いのだが年金支払額は物価高等に応じて微妙に増えており、月にならすとそれ程大きな差異ではない(月2000円程度?)ので、発生タイミングだけ変更して2年毎5月に48万円と想定しておく。
健康保険(月1万円⇒6月に12万円)
2021年版では2022年10月までは任意継続保険(月63000円)。4月に年払い。2021年は1年分756000円。2022年は7ヶ月分441,000円。それ以降は国民健康保険が月々8,000円が見込まれたが、余裕をもって1万円と想定していた。
2024年の確定申告の際にシミュレーションしてみたところ、減免措置が無ければ国民健康保険料は年間約7.7万円、均等割り分の減免があれば年間約4.5万円となる。
ただ国民健康保険料は料率が結構変わる印象があり今後費用が増える可能性が高いため、余裕を持たせて月1万円という想定は変えないでおく。そして国民健康保険料の支払いは月払いではなく年払いの引き落としにしたので今回は6月に12万円と想定しておく。
通信費(月1.5万円⇒変わらず)
2021年版では電話代、携帯代、ケーブルTV/ネットワーク代を月額1.5万円と想定。
特に通信環境が変わることもなく今後も変更/追加予定はないので、同じく月額1.5万円と想定しておく。
医療費(月1万円⇒変わらず)
2021年版では医療費及び薬局での費用として月額1万円を想定。
完全リタイアしてからの過去3年の実績では2021年が約12.1万円、2022年が約9.3万円、2023年が約15.5万円となっている。2021、2022年は人間ドックの大腸内視鏡検査の際にポリープが見つかり保険適用で切除したため安くなっている(2023年もポリープはあったが良性のため切除せず)。
医療費の想定は少し引き上げても良い気がするが、毎年ポリープが出来ていることを考えるとポリープ検出/切除の可能性は加齢と共に発生する可能性が高くなる気がするので、以前と同じく月額1万円を想定しておく。
⇒2024年の人間ドック受診からすると退職後2年間の任意継続保険が利用できたケースと完全に自費になった際の見積もりが甘く、実際には年間で人間ドック10万円+月々の医療費5000円×12=16万円、月割りで1.3万円ぐらいに設定しておくのが適当だったかもしれない
住民税(年間3×4=12万円⇒0円)
2021年版では退社した2020年の給与所得をベースに年72万円を年4回に分けて支払(6、8、10、2022年1月)。それ以降は収入に応じた住民税は無くなるはず(配当金は源泉徴収)だが、間違いのあった時の為月1万円程度を想定としており、実際に2023年の住民税は「上場株式の配当等に係る課税方式」で申告不要手続きをして想定通り源泉徴収で完結していた。
既述の通り「上場株式の配当等に係る課税方式」に関する変更が2024年の確定申告から適用されるのだが、前年の様に申告不要を選択したため2024年も住民税は配当の源泉徴収で完結するはずで別途住民税は発生しないため0円と想定しておく。
生活費(月額15万円⇒変わらず)
その他生活費。主に食費、趣味、衣料品、旅行、その他で2021年版では月額15万円と想定。
過去の実績を見ると
- 2021年:月平均68,740円
- 2022年:月平均87,068円
- 2023年:月平均94,082円
とCOVID-19の影響もあり平均すると月10万円を下回っているが、年々月平均額が上昇していることもあり今後のインフレや旅行が増えることなども考慮して月額15万円の想定を据え置くことにする。
月末預貯金
引き落し口座にある預貯金の額をそのまま転記。翌月の月初預貯金と同額(2021年版と変わらず)。
まとめ
以上完全リタイアしてからの実績を踏まえて新しいキャッシュフローを作成してみた。
2021年版からアップデートのあったものをピックアップすると
【収入】
- 配当金充当:285万円⇒300万円(年間15万円収入増)
- その他入金(還付金等):30万円⇒0円(年間収入30万円減)
【支出】
- 住居費:月額10万円⇒月額11万円(年間12万円支出増)
- 住民税:年間12万円⇒年間0円(年間支出12万円減)
となり、今回のアップデートにより想定キャッシュフロー上では以前より収入は年間15万円減、支出は変わらずという事になった。
想定キャッシュフロー上では以前に比べて今後年間15万円多く減っていくことになるが、実際には以前は少なめに見積もっていた還付金(30万円想定だったが実際には70万円超と40万円+α貢献)が確実にゼロになるため、以前よりも預貯金の減少は多くなるはず。
とりあえず生命保険の支払いが完了する60才末時点(その後は税引前約200万円×10年の個人年金受取が可能)では、新しいキャッシュフローの想定通りであれば預貯金がショートすることは無いのだが、これまでよりも早いペースとなる預貯金減少に慣れることが出来るのか。
低めに見積もっている配当金充当に余裕があれば、12月に補填をすることでここ3年と同様に収入と支出がほぼ同じとなってくれるといいのだが。
最後に、新しくアップデートした今回の想定キャッシュフローが出来る限り長く使えるものであって欲しい。以前のものは約3年使えたが、今回のものはそれ以上に長く使えることを願いたい。アップデートが不要ということは想定キャッシュフローに大きな変化が無いということだから。