米国株配当金生活の住民税等に係るドル円変換注意点(2022/7)

はじめに

2022年に入ってから円安ドル高が進行しており、自分が資産まとめ等で言及してきた際には「これ以上のドル高は無いだろう」としてきた事が多い気がするが、実際には2022年7月に入ってからも一時1ドル=139円台と24年振りのドル高水準になっている。

自分は既に完全リタイアをして米国株のドル配当を円変換して生活費に充当する生活を2020年11月から送っており、当初は為替レートがドル高に振れることで米国株のドル配当を円変換して受け取れる円が多くなり有利に働いていると感じていた。

しかし最近のドル高は想定外であり、このままでは為替差益(雑所得)に応じて所得税、住民税そして国民健康保険料に影響が出かねない状態となっている。

そこで、自分の米国株配当金生活のドル円変換における為替差益について注意するべき点をまとめておくことにする。

注:以下の内容は2022年7月現在自分が調べて計算したものであり、想定通りに事が運ぶかどうかは確実ではない点に注意。


ドル高に伴う米国株配当金生活のドル円変換注意点

注意点

年間でドルを円に変換した為替差益(雑所得)が所得税、住民税及び国民健康保険料の控除額を超えるケースがあること

理由

完全リタイアして配当金生活を始めるまでは米国株配当は受取時に所得税、住民税が源泉徴収されており、住民税申告不要制度を利用していることもあって、自分の場合は特に別途支払う必要が無いと思っていた。

ところが実際に米国株配当金のドルを円に変換して生活費に充当した場合、自分がドル購入に費やしたレートよりドル高になるとその分為替差益が生じ、為替差益を雑所得として確定申告をする必要があることに気が付いた。

そして生活費に充当するドル円為替差益が控除額を超えた場合、

  • 米国株配当時に源泉徴収される所得税以外に、所得税を支払う必要がある
  • 米国株配当時に源泉徴収される住民税以外に、住民税を支払う必要がある
  • 国民健康保険料が最低額の均等割だけではなく、所得に応じた所得割も支払う必要がある

想定していた配当金生活の出費を超える可能性が出てくることになる。

もし為替差益による雑所得が控除額を超えた場合でも大きく増える訳ではないと思うのだが、想定より出費が増えてしまうのは計画に狂いが生じてしまうので可能であれば避けたいところ。

昨年度(2021年)の場合(基礎控除額内)

昨年2021年の確定申告は2020年10月に完全リタイアしたため、給与所得がなく配当金生活のみの確定申告であった。

そして2021年は米国株ドル配当を円に変換する際に発生した為替差益つまり雑所得が18.5万円程度であり、所得税の基礎控除48万円、住民税及び国民健康保険料の基礎控除43万円以内に収まっており、まだ任意継続保険が続いてるため、特に気にせずに確定申告を行い米国株配当受取時の源泉徴収で完結していた(実際に住民税の通知が来なかった)。

今年度(2022年)の場合(基礎控除額を超える可能性大)

2022年は一度2022年3月にドル円変換を行っているのだが、その際は9000ドルを1ドル=117.93円で円に変換して1,061,370円を受け取っている。つまり雑所得として

(117.93-105.3868)×9000=112,888.8円

の為替差益が既に発生している。

そして配当金生活のキャッシュフローでは2022年は95万円×3回=285万円をドル配当を円に変換して生活費に充当する予定。つまり

285万円-1,061,370円=1,788,630円

と後180万円ほどドル円変換をする必要がある。180万円に必要なドルとその場合の為替差益は

1ドル=135円:13,333ドル。為替差益:約40万円(既に発生した差益を含むと約51.3万円)

1ドル=140円:12,857ドル。為替差益:約45万円(既に発生した差益を含むと約56.3万円)

1ドル=145円:12,414ドル。為替差益:約50万円(既に発生した差益を含むと約61.3万円)

といった具合になる。

という事は、2022年の想定キャッシュフローを成り立たせるため285万円をドル変換すると為替差益が基礎控除額を超えて、源泉徴収以外の税金が発生することになる。

実際には国民健康保険料を除いて基礎控除以外の控除がある

ここまで整理して正直真っ青になったのだが、先に挙げた控除額はあくまで基礎控除額であり、それ以外にも自分が支払っているもので控除可能なものがあることに気が付いた。以下整理してみる。ただし国民健康保険料に関しては基礎控除額(43万円)以外の控除は無いらしい

【生命保険料控除】

まず最初に思い付いたのは会社員時代の年末調整時にも行っていた生命保険料控除。自分の場合は2011年12月31日以前に締結した旧保険が一般生命保険、個人年金保険(×2)いずれも最大控除額まであるので、

所得税:5万円×2=10万円

住民税:3.5万円×2=7万円

の控除が基礎控除に追加されることになる。ちなみに生命保険に関する所得税と住民税の控除額が異なっているのは今回初めて知った。

ただし、基礎控除と生命保険料控除を合わせても

所得税控除:48万円+10万円=58万円

住民税控除:43万円+7万円=50万円

国民健康保険料控除:43万円

となり、先に述べた今年度残りのドル円変換が1ドル=140円の場合には所得税控除はギリギリだが、住民税は控除額を超えてしまい源泉徴収では完結しないことになる。

【社会保険料控除】

ここで再びガックリとして他に自分が適用できる基礎控除がないか調べてみたところ、国民年金に支払っている金額が所得税、住民税ともにそのまま社会保険料控除として適用できるらしい。国民年金はカード引き落としで2年前払いにしているのだが、確認してみると昨年2021年の確定申告は当該年度分だけ控除対象として申告しており、2022年分は2022年分として控除できることが分かった。その金額は約13万円強なのでそれを加味すると、

所得税控除:48万円+10万円+13万円=71万円

住民税控除:43万円+7万円+13万円=63万円

国民健康保険料控除:43万円

となり、先に述べた今年度残りのドル円変換が1ドル=145円の場合でも所得税、住民税共に控除額内に収まり、昨年同様源泉徴収で完結することになる。

そして社会保険料控除としては任意継続保険料や今後の国民健康保険料も控除できるはずなので、その分まだ余裕があることになるはず。

国民健康保険料

国民健康保険料は均等割額は所得に関係なく発生するが、所得割額は前年の所得に基づくため前年雑所得が43万円以下のため発生しないはずなので、2022年11月から退職以降の任意継続保険が切れて始まる国民健康保険料は均等割額のみで済むはず。

ただし2023年の国民健康保険料は、1ドル=145円の場合だと20万円近く控除額をオーバーするので、国民健康保険料は均等割額、所得割額含めて年間10万円程度になるはず。ただし、想定キャッシュフローでは国民健康保険料を余裕をもって月1万円、つまり年12万円と見込んでいるので想定の範囲内に収まるはず。


まとめ

上述の様に色々調べ、シミュレーションをしてみたところ、2022年残りの想定ドル円変換額を1ドル=145円で見積もっても所得税、住民税は昨年と同様に米国株配当受取時の源泉徴収で完結し、一方で国民健康保険料は均等割額のみではなく所得割額分も支払うことになりそうなことが分かった。ただし国民健康保険料も想定の範囲内には収まっている。

まとめ始めた当初は想定と異なり冷や汗をかき、ドル円変換を基礎控除額の範囲内に留めて想定より低いドル円変換額で生活した方が良いかもしれないとも思ったが、その他控除項目に気が付きまずは一安心となった。

完全リタイア前に色々と想定していたつもりだが、まさかここまでドル高が進んで計画に狂いが生じかねない事態に陥るとは。引退後のAT&T配当半減など実際の物事はなかなか予定通りには進まないものだ。とはいえドル高で受取ドル配当で交換できる円は増えているので、ドル安になって自分が取得したドル円為替レートを下回る事態にはなっていない事を前向きに捉えるべきなのだろう。

上記内容については計算などまだ自信がない部分もあるので、今月行う予定である2022年2回目のドル円変換の際に再度為替差益について確認しておくことにしたい。

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