はじめに

昨日2023年2月22日の米国株式市場は半導体大手エヌビディア（NVDA）の好調な業
績と見通しを受けて

ハイテク銘柄を中心に大幅上昇し、S&P 500は13ヶ月ぶり、ナスダック総合も1年ぶりの大幅な上昇、ダウ工業平均は初めて終値が3万9000ドルを超える結果となっていた。

そんな中自分の所有銘柄であるAT&Tは

市場の流れに逆行する様に大幅下落。他にも自分のポートフォリオで前日比下落した銘柄はあるのだが下落幅はいずれも小幅なものであり、AT&Tの下落幅は突出している。

原因を調べてみると掲題の件が影響したらしい。新たな今後の懸念材料となる可能性もあるので、以下そのトラブルについての状況を確認・整理しておく。

2024年2月22日の米国での携帯電話障害

以下は各種報道より概ね時系列での状況。

障害追跡サイトDowndetector.comによると、米国東部時間2024年2月22日（木）早朝に米国でAT&T、T‐モバイル、ベライゾン、その他のネットワークユーザーから携帯電話障害が報告される
- AT&Tが約3万件
- T‐モバイル、ベライゾンがそれぞれ800件超
- この時点ではAT&T、T‐モバイル、ベライゾンからのコメントは無し
やや時間が経過した朝（市場取引前）時点でDowndector.comで報告されたAT&Tの障害が拡大
- AT&Tの障害報告が7.6万件超
- AT&Tは「一部の顧客が障害に直面しており、サービスを回復するために緊急に取り組んでいる」とコメント
- 一方、T‐モバイル、ベライゾンはネットワークは正常に稼働しているとコメント
米ABCニュースが情報筋の話として、FBIや国土安全保障省を含む米連邦政府機関がAT&Tの広範囲に及ぶ障害がサイバー攻撃やハッキングの結果であったかどうかを調査していると報道
AT&Tが米東部時間11:15にネットワーク障害の4分の3が復旧と報告
米CISA（Cybersecurity and Infrastructure Security Agency）が主要都市で通話やテキストメッセージ、緊急サービスに支障をきたした障害の原因を把握するため、AT&Tと協力しているとコメント
ホワイトハウスのジョン・カービー国家安全保障報道官が22日午後記者団に対し、FBIと国土安全保障省がAT&Tの障害について調べており、連邦通信委員会も同社と連絡を取っているとコメント
AT&Tが米東部時間15:10にすべてのネットワーク障害が復旧と報告
AT&Tが米東部時間19:46に、障害はサイバー攻撃ではなく、ネットワークを拡張する際に使用された誤ったプロセスの適用と実行によって引き起こされたものであると考えていると発表

まとめ

改めて報道の流れを簡単にまとめると

最初期はAT&Tの障害が多かったものの、T‐モバイル、ベライゾンも障害があったと思われた
その後T‐モバイル、ベライゾンは他の通信業者に電話/メッセージを送る際に問題が発生した可能性があり、自社のネットワークは正常に機能しているとコメントして、問題はAT&Tに起因することが判明
AT＆Tに加えて米連邦政府機関が障害の原因がサイバー攻撃やハッキングの結果であったかどうかを調査
最終的にAT&Tは、障害原因がネットワーク拡張の際のプロセス誤りであったことを発表

といった具合になる。

問題はAT&T株への影響がこの22日で終わったのか、それともしばらく影響が続くのかという点。日中の動きを見てみると

ネットワークが復旧したと発表した15時10分以降も株価にほぼ目立った反応は無し。最終的にサイバー攻撃はなく、自社のプロセス誤りに起因するものであったと発表したのは22日の取引時間外後。

この原因発表を受けて本日市場がどう反応するのか、また中長期的にAT&Tに対する信頼感の低下ひいては業績への悪影響が出てくるのかに気を付けておきたい。年初来のAT&T株を見てみると

1月24日の2023年第4四半期決算発表で大きく下げ、その後アナリストが投資格付けを維持したことや2月1日にはJP MorganがNeutralからOverweightに上方修正したこともあって上昇したものの、それを頂点としてからは業界全体での下落傾向もあって年初来の上昇を消してしまい、昨日の下落で年初来マイナスに転じるという方向性が見えない動きとなっている。何とか昨日の下落が一過性のものであって、市場の上昇傾向について行って欲しいものだ。