AT&TのCEOによる最新情報アップデート、他(2023/12)

はじめに

自分の主力銘柄であるAT&Tは2023年第3四半期決算で市場予想を上回り、通期見通しも引き上げたこともあって大幅上昇しており、その後も堅調な株価推移をしている印象がある。

そんな中昨日2023年12月5日(火)には2023 UBS Global Media & Communications ConferenceでAT&T(T)の最高経営責任者(CEO)John Stankey氏の 講演があり最新情報のアップデートが行われた。

今回のアップデートの内容、そしてそれを受けてAT&Tの株価はどうなったのか。以下に確認して整理しておく。


2023 UBS Global Media & Communications ConferenceにおけるAT&T最高経営責任者John Stankey氏のアップデート

以下はAT&Tの企業ページより主な点を引用・抜粋。

【ブロードバンド】

  • AT&Tは3年前に策定した米国で最高のブロードバンド接続プロバイダーになるという重点戦略の恩恵を受け続けている
  • 一貫した戦略を実行することで、顧客の成長を促進し、収益を向上させ、今日のビジネスに利益をもたらしている追加投資を可能にしている
  • 米国のインフラへの設備投資と周波数帯に約1000億ドルを投資し、同時に2023年第2四半期までの3年間で純負債を約200億ドル削減

【フリーキャッシュフロー】

  • 今年、約165億ドルのフリーキャッシュフローを実現できることに引き続き自信を持っている
  • 今後も2026年半ばまでにさらに20億ドル以上の節約を目指し、さらなる効率化の推進に注力していく
    • これは主にレガシー製品とサポートインフラストラクチャの廃止によって推進されている
  • 引き続き純負債を削減し、2025年上半期に純負債対調整後EBITDAの2.5倍というレバレッジ目標の達成に向けて順調に進んでいる
  • 今後2年間の負債の95%以上が加重平均満期16年の平均利率4.2%で固定されていることを考慮すると、手元現金で返済期限が到来する
  • 2024年通期の設備投資は210~220億ドル

【5G及びファイバー】

  • AT&Tが所有・運営する大規模な無線およびファイバーネットワークを活用できる独自の立場にあることを強調
    • 業界の他の企業とは異なり、同社は統合加入者を追加するとワイヤレスとファイバーの両方から経済的利益を実現
  • 需要は引き続き堅調であり、後払い携帯電話の純増が引き続き増加すると予想
  • また通常の第4四半期の季節性を反映して、ファイバー顧客の追加が継続すると予想

その他アップデート

講演の前日12月4日(月)の市場閉場後にAT&Tは、いわゆるORAN(Open Radio Access Network)技術のみを使用し、2026年後半までに米国内の無線トラフィックの70%をカバーする通信ネットワークの構築にエリクソンを選び、AT&Tの支出はエリクソンとの5年間の契約期間で140億ドルに近づく可能性があると発表している。

ORANは各社が提供する互いに連携しない独自の機器に依存する代わりに、クラウドベースのソフトウェアと多くのサプライヤーからの機器を使用するため、通信事業者にとって大幅なコスト削減が約束されていると言われている。またサプライヤーを多数持つことで柔軟性が高まり、コストが削減され、Huaweiなどセキュリティリスクに分類される米国以外のベンダーへの依存を回避できるともされている。

AT&Tは2024年からエリクソンおよび富士通と連携して運用されるOpen RAN サイトを完全に統合する予定で、2025年から、Corning Incorporated、Dell Technologies、Ericsson、富士通、Intel などの複数のサプライヤーと連携して、ワイヤレスネットワーク全体にこの Open RAN環境を拡張する予定。


まとめ

上記の様な内容を受けてAT&T株は

前日比3.36%の上昇。同日の米国市場が

前日比であまり大きな変化が無かったことを考えるとAT&Tは大きく上昇したと言える。

この上昇がCEOのアップデートによるものなのか、Open RANに関する発表によるものなのかは今一つ不明だが、アップデートでは第4四半期のフリーキャッシュフローが第3四半期で上方修正した165億ドルを達成できる見通しであり後払い携帯やファイバーの純増が期待できることや、Open RAN推進の枠組み/スケジュール感が提供されたこと等いずれも好材料のため、双方のニュースが株価上昇に寄与したのだろう。

過去3ヶ月のAT&T株の推移を市場(S&P 500)と比べてみると

10月19日の決算発表で大きく上昇した後、11月から市場が堅調だったこともあってその勢いは衰えず、11月末からは市場を上回るペースで上昇となりS&P 500の1.56%上昇に対して18.92%の上昇となっている。

とはいえ年初来では

S&P 500が18.95%上昇しているのに対してAT&Tは未だ6.46%の下落となっている。

第1四半期決算結果を受けてしばらく低迷し今後に不安を感じていたAT&T株だが、ここ最近は回復の兆しを見せつつあるのでこのまま堅調な株価推移を続けて欲しいものだ。

ただOpen RANの今後の進捗/効果や7月に年初来最安値を更新する原因となった最近ニュースの無い銅鉛被覆ケーブルの問題(自分が知る限り最後にアップデートがあったのは9月の最高財務責任者のアップデートにおいて)などが気にかかるところではある。

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