はじめに
昨日2022年2月8日に自分の持ち株であるデュポン・ドゥ・ヌムール(DD)の2021年第4四半期決算が発表された。
デュポン・ドゥ・ヌムール株は現在は85株しかなく自分のポートフォリオの中では約6500ドルと資産額は少ない銘柄であるが、元々米国株投資を始めた際に選択したデュポン(やはりティッカーシンボルはDD)がM&Aや三社分割などをしたため資産額が少なくなった銘柄で、同じBasic Materialsセクターのダウ・インク(DOW)にも2万ドル近く投資しており業界動向を把握する上の参考にもなるので何かと気になる銘柄ではある。
以下決算内容を確認し整理しておく。
デュポン・ドゥ・ヌムール2021年第4四半期決算概要
以下の情報はデュポン・ドゥ・ヌムールの企業サイトより引用・抜粋。
- 2021年第4四半期の総売上(Net Sales)は42億7100万ドル、前年同期は37億5000万ドルで前年同期比14%増
- 2021年第4四半期の継続事業による1株当たり利益(Earnings(Loss) per common share from continuing operations – diluted)は0.47ドル、前年同期は0.60ドルの損失
2021年第4四半期の継続事業による1株当たり利益が前年に比べて大きく減少しているのは、主に昨年は一時的な所得税控除があり今四半期はそれが無くなったため。
- 2021年第4四半期のNon-GAAPベース調整後一株当たり利益(Adjusted EPS)は1.08ドル、前年同期は0.70ドルで前年同期比54%増
各事業部ごとの業績は以下の通り。
Electronics & Industrial部門:
売上は前年同期比19%増の14億6700万ドル。事業の買収・売却や為替の影響を除いた既存事業売上高(Oragnic Sales)が9%増、7月1日に買収が完了したLaird Performance Materialsが売上に10%寄与している。
Water & Protection部門:
売上は前年同期比16%増の14億1500万ドル。既存事業売上高が販売量が12%、価格が5%それぞれ上昇したことで17%増加し、為替で1%減少となっている。
Mobility & Materials部門:
売上は前年比12%増の12億6200万ドル。販売価格が16%したものの、出荷量は3%減少となっている。出荷量の減少はサプライチェーンの制約、主に半導体の不足による世界的な自動車生産縮小によるものとしている。
2022年通期見通し
2022年通期及び第1四半期見通しは以下の通り。
【2022年通期】
- 総売上(Net Sales):174億ドル~178億ドル
- 営業EBITDA(Operating EBITDA):43億ドル~45億ドル
- 調整後一株当たり利益(Adjusted EPS):4.60ドル~4.90ドル
【2022年第1四半期】
- 総売上(Net Sales):41億7500万ドル~42億7500万ドル
- 営業EBITDA(Operating EBITDA):9億4000万ドル~9億8000万ドル
- 調整後一株当たり利益(Adjusted EPS):0.94ドル~1.00ドル
見通しにはMobility & Materials部門の売却が含まれており、予定されているRogers Corporationの買収は含まれていない。これら売却、買収についてのアップデートは前回の四半期決算の発表内容から特になし。
その他
その他事項としては以下の様なものがある。
- 2021年末の長期債務は106億3200万ドルで2020年末の156億1100万ドルから約50億ドル減少
- 2023年3月31日に失効する新しい10億ドルの株式買戻しプログラムが取締役会に承認されたことを発表
- 1株あたり0.33ドルの第1四半期配当を発表。これは前回の四半期配当0.30ドルから10%増加
今回まで過去2年半(10四半期)、更に言うとダウ・デュポンから三社分割して以来据え置きだった配当の増配が発表されている。
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2021年第4四半期の総売上(Net Sales)は42億7100万ドル、市場予想の40億ドルを上回っている
- 2021年第4四半期のNon-GAAPベース調整後一株当たり利益(Adjusted EPS)は1.08ドル、市場予想の0.98ドルを上回っている
- 2022年通年の調整後一株当たり利益(Adjusted EPS)見通しは4.60ドル~4.90ドル、市場予想は4.86ドル
となっている。
まとめ
上記の様な決算を受けてデュポン・ドゥ・ヌムールの株価は、
6.32%の上昇。同日の米国市場は
いずれも1%前後の上昇だったがそれを加味してもデュポンの株の上昇幅は大きい。
市場予想を上回る売上及び一株当たり利益、約2年半前に三社分割して以来初めての増配、新規の自社株買いプログラムなどポジティブな内容が多かったことが株価大幅上昇に寄与したのだろう。
年初来の株価推移を市場(S&P 500)と比べてみると
昨日の上昇がなければ市場と同程度のパフォーマンス。
一方で過去1年の推移を見てみると
昨年6月後半から10月末までの低迷からは脱しつつあるようにも見える。
インフレ圧力は強く2022年第1四半期もその状況は続くと見込んでいるものの、製品価格の引き上げ(2021年第4四半期は7%価格引き上げ)などで上手く対応しているように見受けられるので、今後どう推移するのかは不透明ではあるが何とか堅調に推移して欲しいものだ。