GEの航空機リース事業売却報道について(2021/3)

はじめに

数日前にゼネラル・エレクトリック(GE)に関して

UBSのアナリストがGE目標株価引き上げ(2021/3)

で整理した際にも以下の様に書いていたのだが、

「最後に、来週の米東部時間2021年3月10日午前8時から10時までの予定で2021 GE Investor Outlookが開催されるので、そこでまたGEの株価に大きな変化があるかもしれないので注意しておきたい。個人的には期待込みでポジティブな状態が続いていると思うのだがどうなるか。」

その2021 GE Investor Outlook前に掲題のニュースが想定外に報道された。明日3月10日の2021 GE Investor Outlookで詳細が明らかになるかもしれないが、日本時間3月9日で分かっていることとその報道を受けてのGEの株価についてまとめておく。


2021年3月7日のウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の報道

第一報は3月7日(日)にWSJが行っておりその後他の報道機関でも後追いされている。以下は基本WSJ誌の報道より引用・抜粋。

  • General Electric Co. is nearing a $30 billion-plus deal to combine its aircraft-leasing business with Ireland’s AerCap Holdings NV, according to people familiar with the matter
    この件に詳しい人々によると、ゼネラル・エレクトリックは航空機リース事業をアイルランドのエアキャップ・ホールディングスNV(AER)と統合する300億ドル以上の取引合意に近づいています
  • Though details of how the deal would be structured couldn’t be learned, it is expected to have a valuation of more than $30 billion, some of the people said.
    取引がどのように構成されるかについての詳細は知ることができませんでしたが、300億ドル以上の評価があると予想されると一部の人々は述べています
  • An announcement is expected Monday, assuming the talks don’t fall apart.
    会談が物別れに終わらないことを前提として、月曜日に発表が予定されています

この航空機リース事業GE Capital Aviation Services(GECAS)は、旅客機や貨物機合わせて1600機以上を保有する世界大手で、2020年12月末時点での関連資産総額は約350億ドルとのこと。

ロイターがGEとエアキャップにコメントを求めたが、GEは憶測にコメントしない(the company doesn’t comment on rumor or speculation)と述べ、エアキャップからのコメントは得られなかったとしている。


Bank of AmericaのアナリストAndrew Obin氏がGE目標株価引き上げ

この報道を受けて早速Bank of AmericaのアナリストAndrew Obin氏がGEの目標株価を引き上げている

投資格付け:Buyを維持

目標株価:14ドルから15ドルに上方修正

以下はAndrew Obin氏の目標株価引き上げの要旨。

  • “If reports are correct, monetizing GECAS would be received positively by many industrial investors, in our view”
    「我々の見解では、報道が正しければGECASの収益化は多くの産業投資家に好意的に受け止められるだろう」
  • “A smaller GE Capital would simplify GE‘s story”
    「GEキャピタルが小さければ、GEのストーリーは簡素化されます」

Obin氏はまたGEキャピタルの価値見積もりをマイナス100億ドルからマイナス50億ドルに引き上げている。


まとめ

上記の様な報道、目標株価の引き上げを受けて3月8日米国市場閉場後のGEの株価は

4.19%の上昇。同日のダウ工業平均が0.97%の上昇、S&P 500が0.54%の下落、NASDAQが2.41%の下落だったのと比較するとかなり大きな上昇幅となった。

ちなみにエアキャップ・ホールディングスNV(AER)の株価は、

13.25%上昇とGEをさらに大幅に上回る上昇で取引を終えている。

WSJの報道では物別れに終わらなければ月曜日に発表が予定されているとの事だったが、実際には両社からは発表されず。ただ他の報道によると週内にも合意との報道があったので、物別れに終わったと言う訳ではないのだろう。

以下は直近1ヶ月のGEと市場(DOW30、S&P 500)の動き。

市場がほぼフラットなのに対してGEは20%を超える上昇となっている。

一応アナリストの目標引き上げや、利益率の高いGEの航空機部門(Aviation)の業績に関係するボーイング(BA)株の上昇につられる等GE株価上昇の理由はそれなりにあるのだが、それにしてもここひと月のGE株の上昇は少し急すぎる気がする。

とはいえ、ではどれ位の株価が適当なのかと考えてみるとGEに限らず自分にはサッパリなのだが、それが分かるようであれば長期投資/バイアンドホールドではなく短期売買を繰り返すべきだろう。

いずれにせよ2021年3月8日閉場後の自分のGE株は以下の様になっている。

約1年前の2020年3月7日閉場後の時点では、

と投資額の半分にまで落ち込んでいたことを思えば、よくここまで回復したものだ。

個人的にはまずは取得価額である@16.21ドルを上回ってくれると有難いのだが、ここひと月程の急激な上昇の反動がある可能性や、今回の航空機リース事業売却もまだ合意した訳ではないことを念頭においてまだまだ気長に待つとしよう。

いずれにせよ配当金生活に入った今となっては、GE株には投資額を上回るよりも配当を増やしてくれることを期待したい。今は四半期の一株あたり配当@0.01ドルだものなあ。

追記

アップロードしようと思ったら、ロイター通信がエアキャップ・ホールディングスのコメントを報道していた。

  • AerCap said the outcome of the talks has yet to be determined and there can be no guarantee that an agreement will be reached.
    エアキャップは、交渉の結果はまだ決定されておらず、合意に達する保証はないと述べた
  • “No further statements will be made by the issuers or the company regarding this matter until the time of the conclusion of those discussions”
    「これらの議論が終了するまで、この問題に関して発行者や会社はこれ以上の声明を出さない」

この報道がまたGEの株価に影響を及ぼすのかどうか。個人的には明日3月10日の2021 GE Investor Outlookでこの売却に関して言及されると思うのだが。

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