はじめに
昨日2021年4月28日には、自分が所有しているボーイング(BA)の2021年第1四半期決算発表があった。
2020年10月末で完全リタイアして配当金生活に入った身としては、ボーイング自体は昨年来配当停止をしているため配当再開までは微妙な銘柄と言えなくもないが、ゼネラル・エレクトリック(GE)の航空機事業(Aviation)に及ぼす影響や、配当がいつ再開されるのかという点でやはり所有銘柄の中では気になる銘柄ではある。
以下に昨日の決算内容について確認し、整理しておく。
2021年第1四半期決算発表
以下の内容はボーイングの企業サイトより引用・抜粋。
- 2021年第1四半期の売上高(Revenues)は152億1700万ドルで、前年同期比10%減少
- 2021年第1四半期の純損失(Net Loss)は5億6100万ドルの損失、前年同期は6億4100万ドルの損失
- 2021年第1四半期の一株当たり損失(Loss Per Share)は0.92ドルの損失、前年同期は1.11ドルの損失
- 2021年第1四半期の調整後中核事業一株当たり損失(Core Loss Per Share)は1.53ドルの損失、前年同期は1.70ドルの損失
- 2021年第1四半期のフリーキャッシュフローはマイナス36億7800万ドル、前年同期はマイナス47億3000万ドル
- 2021年第1四半期の財務状況は総債務が636億ドル、前四半期と変わらず
事業部ごとの業績は以下の通り。
【Commercial Airplanes(商用機部門)】
- 2021年第1四半期の商用機の引き渡しは77件、前年同期は50件で54%の増加
- 売上は42億6900万ドルで前年同期比31%減。主に787型機の納入が減少したことを理由として挙げている
- 損失は8億5600万ドル
- 受注残は4000機以上で2830億ドル
【Defense, Space & Security(防衛・宇宙・セキュリティ部門)】
- 売上は71億8500万ドルで前年同期比19%増
- 利益は4億500万ドル
- 受注残は610億ドル。うち31%は海外からの注文
【Global Services(グローバル・サービス部門)】
- 売上は37億4900万ドルで前年同期比19%減
- 利益は4億4100万ドルで前年同期比38%減
- 主にCOVID-19によるサービス需要の減少に起因している
2021年の見通しについては今回も提示されず。
その他決算及びアナリストとのカンファレンスコール関連
- 大統領専用機(VC-25B)に関連して3億1800万ドルの税引き前損失を計上。2018年7月に大統領専用機として利用する「747-8」型機2機を総額39億ドルで受注し、2024年12月までの納入を予定していたが、今月に入りサプライヤーのGDCが内装を完成しなかったとして同社を提訴している
- アナリストとのカンファレンスコールで737MAXの納入を停止したことを明らかにした。これはまたボーイング737MAX機がトラブル(2021/4)でまとめた事と関連している。また電気系統の問題がいつ解決できるか見通しは示せなかった
- 以下最高経営責任者(CEO)David Calhoun氏のアナリストとのカンファレンスコールでの発言要旨
- “We view 2021 as a critical inflection point for our industry”
「2021年を私たちの業界にとって重要な転換点と見なしています」 - “We’re also monitoring the global trade environment, in particular US-China
relations”
「また世界の貿易環境、特に米中関係を監視しています」 - “China represents 25% of the global growth in our industry over the next decade”
「中国は今後10年間の業界における世界成長の25%を占めています」 - “We now assume that the remaining non-US regulatory approvals will occur this year, with approval in China most likely now in the second half of the year”
「現在(737MAXに関する)米国以外の規制当局の承認は今年行われると想定しており、中国での承認は今年の後半になる可能性が最も高いです」
- “We view 2021 as a critical inflection point for our industry”
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2021年第1四半期の売上高(Revenues)は152億1700万ドル、市場予想の150億8000万ドルを上回っている
- 2021年第1四半期の調整後中核事業一株当たり損失(Core Loss Per Share)は1.53ドルの損失、市場予想の0.90ドルの損失より悪い
- 2021年第1四半期のフリーキャッシュフローはマイナス36億7800万ドル、市場予想の33億4000万ドルより悪い
となっている。
まとめ
上記の様な決算内容を受けてボーイングの株価は
2.89%の下落。同日のダウ工業平均が0.48%、S&P 500が0.08%、NASDAQが0.28%といずれも下落したことを差し引いてもそれなりに大きな下落。
ただ個人的な感想としては、決算の内容やアナリストとのカンファレンスコールであった737MAXの出荷停止そして再開の見通しを明らかに出来なかった事などを考えると、よくこの程度の下落で済んだという気がする。
とはいえボーイングの年初来の株価は
現時点では市場とほぼ同じだが、3月中旬位から段々と下がっている。これは米国など一部ではコロナ感染者数は減少しているものの、世界全体で見ると3月位から再び感染者数が増加傾向にあることと関係しているのではないかと思われる。
この考え方が正しいとすると、737MAXの納入停止などと併せて、ボーイングの株価はしばらく振るわない様な気がする。
2021年1月の2020年第4四半期決算のまとめ時には
「欧米のCOVID-19状況を考えると次四半期の業績にあまり期待は出来ない気がするが、モルガン・スタンレーのアナリストの仮説通り、コロナワクチンの接種に伴って2021年後半ぐらいには旅客需要が改善され、それに伴いボーイングの業績も回復すると良いのだが。」
と書いたのだが、再びコロナ感染者数が増加していることを考えると2021年後半よりもボーイングの本格的な業績回復は遅れる様な気がする。