はじめに
退職手続書類の内容確認(一般)(2020/9/26)で挙げた中で、個人的には一番重要度が高い退職金について、その手続きと実際をまとめてみる。
退職金(脱退一時金)について
退職金(脱退一時金)の選択
自分の中では退職金なのだが、書類上は脱退一時金と表現されていた。その金額を
- 将来60歳時点で年金または一時金を選択
- 退職時に一部を一時金で選択
- 全額を脱退一時金として受給
- その他(全額を再就職先などへ。移換/一部移換は出来ないとのこと)
とするのが主要なパターン。
自分の場合は3の全額支給を選択し、米国株の配当金で足りない生活費をそこから補充する形で60歳まで過ごす形を目論んでいる。配当金や手持ち現金に余裕があれば、60歳時点で受け取ることにしてその間運用してもらうという選択肢(一応企業年金は年率2(下限)~4(上限)%を想定しているらしい)もあるが、そこまでの余裕はない。
また、年金としての受取は「雑所得」となる点も自分に取っては嬉しくない。年金(雑所得)としての受取は、その際の収入、年齢、その間の運用等々の要素によってどうするのが得なのかわかりにくいのもネック。
自分の場合、60歳になると個人年金が税引前で年間200万円×10年間入って来る予定であり、60歳以降よりも現在の手持ち現金を増やすことが優先だろう。
そして考えておかなければならないのは一時金として受け取った場合の税金(退職所得)。以前まとめているのだが、
自分の一括退職金にかかる税金(所得税/住民税)(2019/9)
そこから差異はないか確認しておく。
以下は2020年9月時点での国税庁Webサイト(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1420.htm)に記載されている退職所得控除額のルール。
勤続年数(=A) | 退職所得控除額 |
20年以下 | 40万円 × A (80万円に満たない場合には、80万円) |
20年超 | 800万円 + 70万円 × (A – 20年) |
自分の場合は結局勤続年数24年という事らしい(外資系という事もあり複数回M&Aがあったのだが勤続年数は加算されていた)ので、
800万円+70万円×(24 – 20年)=1,080万円までが控除額となる。実際の退職金はこの控除額まで届かなかったので、退職金に関する税金は不要という事になる。
このブログはあくまで米国株投資の長期投資/バイアンドホールドを主体としているので、退職金額まで明記するのは憚られるのだが、このブログは自分の考えを整理するためにも利用しているので、一応正確な金額を書いておくと「9,444,500円」。これが多いか少ないかはさておき概ね自分の想定内の退職金であり、自分が退職の意思を伝えてから再度整理した引退後の生活プラン
来月末退職/完全リタイア、キャッシュフロー再確認(2020/9)
で書いていたパターン1~3、いずれの場合でもこの退職一時金約950万円と生活防衛資金で60歳まではキャッシュが不足することは無い計算となる。ただし最近の米国市場の下落っ振りからの配当減や配当停止が無ければ、なのだが。
退職金(脱退一時金)の提出書類
続いて実際に提出する書類に関しての整理。
自分の場合は一括受取なので、
- 選択書
- 一時金裁定請求書
- 退職所得の受給に関する申告書
の3つを提出する必要があるらしい。以下にその内容を確認する。
1. 選択書
これは明瞭で、先に挙げた脱退一時金受取の選択肢を選ぶ書類。社員情報などを記入し、自分が選ぶ「全額を脱退一時金として受給」にチェックを入れるだけ。
2. 一時金裁定請求書
書式を見るまではピンと来なかったのだが、実際に記入用紙を見てみると基本的には脱退一時金を受け取るための書類。住所・氏名や受領の銀行口座などを記入するだけ。
3. 退職所得の受給に関する申告書
これは退職所得に関する税金のための書類。これを提出しないと、自分で確定申告をして退職所得の課税分を調整しなければならなくなる。自分は米国株配当の二重課税を取り戻すため確定申告をしているので、どちらにしろ確定申告は必要なのだが余計な計算・手間を省くためにも当然提出しておく。
退職金は何時もらえるのか
ここまで金額や提出する書類についてはもらった資料で確認できたのだが、実際に退職金がいつ振り込まれるかについては明記されていなかった。
仕方がないので退職規程を確認してみると、
「一時金給付は、裁定の請求の手続が終了した後1月以内に支払う。」
との一文のみ。それでは「裁定の請求の手続」は何かというと、上記2の「一時金裁定請求書」を起点としての手続きらしい。ただ、これでは「裁定の請求の手続が終了」するタイミングが何時なのかは不明。
自分は10月退職なので11月には振り込まれると想定していたのだが、下手するとそれより後という可能性もあるのか。うーん、これは盲点だった。
まとめ
退職金の額、税金、手続き等についてまとめてみた。
退職金の額がはっきりした点、そして税金が想定通りかからない点を確認できたのは良かったのだが、退職金がいつ振り込まれるかは不明という当初想定していた期待とは違った結果になってしまった。
自分の場合は例え退職金の入金が遅れても生活防衛資金などがあるので恐らく大丈夫だが、預貯金が無く退職金を当てにし過ぎていたらタイミングによっては一時的に資金がショートする可能性もあるのかもしれない。
計画していた退職後のキャッシュフローだが、実際にはこの退職金の様にタイミングが判然としないものが多く、きちんとした計画を立てるのは難しそうだ。例えば既に書いた住民税についても、
総額については何となく想定できているのだが、実際にはどのタイミングでいくら納める必要があるのかは不明(6、8、10、1月が納期らしいが)であるし。
取りあえず生活防衛資金(預貯金)があって本当に良かった。実際には先にも書いた通り大丈夫だと思うのだが、こういう想定外の出来事があった場合(単に自分の想定が甘かったという面もあるが)、心理的な余裕が保てるというのは大きい。それにしても、なかなか思い通りにいかないものだ。