任意継続/国民健康保険検討と配当の申告不要制度(2020/10)

はじめに

2020年9月14日に退職/完全リタイアを決断してから、

退職の意思を伝えました(2020/9/14)

退職書類一式が届きその内容を確認し、

退職手続書類の内容確認(一般)(2020/9/26)

引継ぎも大体終わったので、本格的に完全リタイアに向けての出費面での最終検討をし始めている。

今回は健康保険について、任意継続にするか国民健康保険にするか整理してみる。


事前に確認しておくべきだったこと

最初に書いておくが、もっと事前に健康保険料については十分に検討しておくべきだった。予想以上にお金がかかるというのは認識していたのだが・・・。

以下に他人にとっては当たり前の事かもしれないが、自戒の意味を込めて事前確認するべきだったポイントをまとめておく。あくまで自分のまとめなので間違いの可能性もあるし、現時点(2020年9月)の情報を元にしている点には注意。自分で確認することが重要

自分の加入している健康保険組合の情報を事前に確認しておくこと

これは「自分の加入している」という点がポイント。事前にWebで一般的な情報については色々調べていたのだが、これが失敗というか不十分だった。

そもそも健康保険組合は大きく分けて

  • 協会けんぽ(全国健康保険協会)
  • ○○○○健康保険組合(組合健保)

の2種類があるらしい。Webでよく情報が引用されているのは「協会けんぽ」で、実際に自分が所属している会社は「組合健保」だった。当然所属している健康保険組合によっていろいろ変わってくる。

例えば、退社後に任意継続をする場合はそれまでの給与に応じて健康保険料の上限が決まっているのだが、その「上限額は健康保険組合によってまちまち」。自分の組合健保の場合は、協会けんぽよりも健康保険料の上限が高くなっており、任意継続を選択する場合は自分が想定していたよりも高くなることが判明した。詳しくは後述するが、けんぽの上限は約「35,000円」、自分の組合健保の上限は約「63,000円」だった。

介護保険料も計算に入れておくこと

40~64歳までは介護保険第2号被保険者となり、介護保険料が健康保険料とは別にかかることを忘れずに。確かに給与明細では健康保険と介護保険が別で引き落とされていたのだが、自分の想定からは漏れていた。これは痛かった。働いている時は健康保険に比べて額が小さい様に見えたが退職して会社が折半してくれていた分がなくなる、これは大きい。

後期高齢者支援金分も忘れないこと

事前に任意継続を検討している時は、

  • 健康保険料
  • 介護保険料

を支払えばいいのか、と思っていたのだが、自分の住んでいるところのホームページで再度国民健康保険を確認してみると、

  • 医療分
  • 後期高齢者支援金分
  • 介護分

の3つの合計で国民健康保険料を決定していた。この「後期高齢者支援金分」というのがよく分からなかった。Webで調べてみたのだが未だによく分からない。

自分の中で無理やり整理をつけると(間違っている可能性もあるので注意)、

  • 任意継続の健康保険料=国民健康保険の医療分+後期高齢者支援金分

という事なのだろう。いずれにせよ、国民健康保険の場合の後期高齢者支援金分も自分の想定からは抜け落ちていた。

上記を踏まえてのまとめ

僅か前にまとめた退職後の出費見積もりで健康保険料は月4万円と見込んでいたのだが、上記の確認により、

  1. 任意継続の場合、自分の加入している健保の上限は4万を超える
  2. 任意継続の場合、1に加えて見込んでいなかった介護保険料がかかる
  3. 国民健康保険の場合、見込んでいなかった後期高齢者支援金分が必要

という事が判明。以下では実際に任意継続した場合、国民健康保険の場合それぞれ実際いくらかかりそうかシミュレーションをしてみる。


任意継続の場合

まず前提として任意継続は2年間。一度決めたら変更不可という前提がある。

自分の加入している健保の「標準報酬および保険料」を確認してみたところ、自分の給与では上限を超えるので、健保の上限保険料を払うことになる。正確な額にするのは憚られるので、100円台を切り上げると、

  • 健康保険料:月額「50,000円」
  • 介護保険料:月額「13,000円」
  • 合計:「月額63,000円」

となる。先に書いた想定の4万円を月で2.3万円上回ってしまう事になる。年間では27万6000円の上振れとなってしまった。これは痛い。痛すぎる。


国民健康保険の場合(退職時所得がベース)

自分の場合は、先に挙げた

  • 医療分
  • 後期高齢者支援金分
  • 介護分

毎に均等割額、所得割額を支払う事になる。

均等割額は居住している限り納めなければならない金額(と自分では認識している)なので、これは所得に限らず共通。

問題は所得割額でこれがまた分かりにくい。所得割額の計算には賦課標準額というのが必要になるのだが、この定義がよく分からない。

賦課標準額=総所得金額等から住民税の基礎控除額(33万円)を差し引いた金額

とされているが、そもそも総所得金額等がよく分からない。調べてみると

総所得金額等=「前年の総収入」から「必要経費」を差し引いた金額(扶養控除などの所得控除は、控除の対象になりません)

とあるが結局どう具体的に計算するのかさっぱり分からない。間違っている可能性もあるがとりあえず

総所得金額等=源泉徴収票にある「給与所得控除後の金額」

としてみる。

また保険料は前年の所得状況が判明する6月に年度単位で計算するとのこと。

10月退社なので、今年分は「給与所得控除後の金額」、来年分は「給与所得控除後の金額」×10/12として、任意継続と同じ様に100円台を切り上げる(後期高齢者支援金分と介護分は按分)と、

【2020年10月~2021年6月】

  • 医療分:月額「52,500円」
  • 後期高齢者支援金分:月額「15,833円」
  • 介護分:月額「14,166円」
  • 合計:月額「82,500円」

【2021年7月~2022年6月】

  • 医療分:月額「48,000円」
  • 後期高齢者支援金分:月額「16,000円」
  • 介護分:月額「15,000円」
  • 合計:月額「79,000円」

となる。先に挙げた任意継続の場合を更に月額で1万6000円上回り、想定していた4万円のほぼ倍という事になる。

2022年7月以降は次の国民健康保険の場合(引退後所得がベース)の金額となる。


国民健康保険の場合(引退後所得がベース)

2020年9月時点での税引後年間所得が約340万円程度なので、それをベースとして計算してみると、

  • 医療分:月額「22,000円」
  • 後期高齢者支援金分:月額「7,000円」
  • 介護分:月額「7,000円」
  • 合計:月額「36,000円」

となり、これは元々想定していた4万円に近い金額となる。

ただ色々調べてみると、上場株式等の配当所得等は申告不要制度を選択することで、国民健康保険の計算対象にはならないらしい。以下は「配当 健康保険料」でGoogle検索をした際に一番上に表示された藤沢市のページより引用・抜粋。

ただし、国民健康保険料は住民税の課税の取り扱いに準ずるため、確定申告をして上場株式等の譲渡所得等や上場株式等の配当所得等の所得額が発生する場合であっても、次のとおり手続きをして、住民税の課税方法として申告不要制度を選択した場合は、保険料の算定対象となる所得には含まれません。

自分の居住している地域のホームページではここまで詳しく説明されていなかったが、自治体ごとに税率の違いはあっても課税方法に違いは無いと考えられるので、これが機能するとした場合の健康保険料は均等割分だけになり、100円台を切り上げると、

  • 医療分:月額「4,000円」
  • 後期高齢者支援金分:月額「2,000円」
  • 介護分:月額「2,000円」
  • 合計:月額「8,000円」

となる。今まで上に書いてきた金額と桁が違うので、にわかには信じ難い。もらっている配当金の額は同じなのに、書類提出するだけで健康保険料が1/4以下になるのだろうか。本当にこれで良いのか逆に不安になる。

以下に各パターンの実際の支払額を計算してみる。


ケースごとのシミュレーション

とりあえず退職後から5年間で計算してみる。

1-1. 2年間の任意継続(以降は配当収入分の所得が保険料の算定対象)

2020年11月~2022年10月:63,000円×24ヶ月=1,512,000円

2022年11月~2025年10月:36,000×36ヶ月=1,296,000円

5年間平均月額:46,800円

1-2. 2年間の任意継続(以降は申告不要制度が適用されて配当収入分の所得が保険料の算定対象外)

2020年11月~2022年10月:63,000円×24ヶ月=1,512,000円

2022年11月~2025年10月:8,000×36ヶ月=288,000円

5年間平均月額:30,000円

2-1. 国民健康保険へ移行(配当収入分の所得が保険料の算定対象)

2020年11月~2021年6月:82,500円×8ヶ月=660,000円

2021年7月~2022年6月:79,000円×12ヶ月=948,000円

2022年7月~2025年10月:36,000円×40ヶ月=1,440,000円

5年間平均月額:50,800円

2-2. 国民健康保険へ移行(申告不要制度が適用されて配当収入分の所得が保険料の算定対象外)

2020年11月~2021年6月:82,500円×8ヶ月=660,000円

2021年7月~2022年6月:79,000円×12ヶ月=948,000円

2022年7月~2025年10月:8,000円×40ヶ月=320,000円

5年間平均月額:32,133円


まとめ

長々と書いてきたが自分の場合のパターンを再度まとめてみると2020年11月からの5年間の保険料は、

A. 2年間の任意継続+以降は配当収入分の所得が保険料の算定対象:月額平均46,800円

B. 2年間の任意継続+以降は配当収入分の所得が保険料の算定対象外:月額平均30,000円

C. 国民健康保険へ移行(配当収入分の所得が保険料の算定対象):月額平均50,800円

D. 国民健康保険へ移行(配当収入分の所得が保険料の算定対象外):月額平均32,133円

となり、とりあえずは2年間の任意継続を選択するのが一番割安と思われる。

後は2年後に本当に「上場株式等の配当所得等は申告不要制度を選択することで、国民健康保険の計算対象にはならない」というのが正しければ、月4万円と見込んでいた当初見積もりの甘さを挽回できる(A、B)のだが、結果が明らかになるのは2022年の6月以降ということになる。取り合えずは忘れず申告不要制度を申請しておかなければ。

もしその見通しも誤っていた場合(C、D)でも、5年間でなく60歳までと期間を延ばせば月4万円には至らなくとも5年間の月額平均よりは下がっていくので、引退後のキャッシュフローが破綻する可能性は少ないだろう。

ただ、2022年6月までは当初想定よりも健康保険料が高くなってしまう点には注意して、完全リタイア後の生活を送る必要が出てきた。繰り返しになるが「事前に健康保険料については十分に検討しておくべき」だったと心底思う。願わくば、他の完全リタイア後の出費にかかわる想定に誤りが無いことを期待したい。こういった間違いの積み重ねで、リタイア後プランの見直しや崩壊につながることは避けなければならない。逆に申告不要制度の様に有利に働くかもしれない事柄も見落としている可能性もあるので、アンテナは張り続ける必要がある。

最後に国民健康保険料の納付についてだが、

まとめて納めていただいても国民健康保険料額の割引はありません。 口座振替の1年前納につきましても同様に割引はありません

との事なので、自分の手持ちキャッシュの具合を見ながら支払っていくことにしよう。上記の通り完全リタイア後2年の健康保険料は、当初想定より上振れしてしまっているので最初は前納などはせずに淡々と払っていくのが無難だろう。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

コメントの入力は終了しました。