シティグループ(C)2020年第2四半期決算発表(2020/7)

はじめに

昨日2020年7月14日の米国市場開場前に、自分の所有銘柄であるシティグループ(C)の2020年第2四半期決算発表があった。

先に結果から言ってしまうと、

約4%の大幅下落。一方でダウ工業平均は2.13%、S&P 500は1.34%それぞれ上昇しており、自分のポートフォリオも、

シティを除いて昨日はプラスという結果だった。

以下にシティグループの決算内容を整理して、なぜこれほど下がったのかを確認しておくことにする。


シティグループ2020年第2四半期決算発表の概要

以下の内容はシティグループ企業サイトの発表資料より抜粋・引用。

  • 収入(Revenues)は197億6600万ドルで前四半期より5%減、前年同期比5%増
  • 純利益(Net Income)は13億1600万ドルで前四半期より48%減、前年同期比73%減
  • 1株あたり純利益(EPS)は0.50ドルで前四半期より52%減、前年同期比74%減
  • 純金利マージン(調達金利と貸付金利の差)は前四半期の2.48%から2.17%に減少

ここでその他に気になるのは、青点線で囲ってある貸し倒れ引当金(Net ACL(Allowance for Credit Losses)Build)を今四半期も56億ドル積み増している点。前四半期の決算資料ではNet LLR(Loan Loss Reserve)Buildという言葉を使っていたが金額からして意味合いは同じだろう。これは同じく7月14日に決算を発表したJPモルガン、ウェルズ・ファーゴ共に同じ傾向。米銀は景気が急には回復しないと見込んでこのような措置を取っているのだろう。

また、米銀ストレステストで頻繁に出てきた中核的な自己資本(CET1)比率は、

前四半期に比べてやや改善しており、この状況下にあっても一定の財務基盤の安定性はあるとは思われる。

最高経営責任者(CEO)のMichael Corbat氏はシティの財務基盤に関して決算資料の中で以下の様に語っている。

  • “We entered this crisis from a position of strength. During the quarter, our regulatory capital increased and our CET1 ratio improved to 11.5%, comfortably above our new regulatory minimum of 10%. We continued to add to our substantial levels of liquidity and our balance sheet has plenty of capacity to serve our clients. With a sharp emphasis on risk management, we are prepared for a variety of scenarios and will continue to operate our institution prudently given this unprecedented situation,”
    「私たちは強固なポジションでこの危機に突入しました。 当四半期中、規制資本は増加し、CET1比率は11.5%に向上しました。これは、新しい規制の最小値である10%を上回っています。 当社は引き続き相当な水準の流動性を追加し、バランスシートはクライアントにサービスを提供する十分な能力を備えています。リスク管理に重点を置いて、私たちはさまざまなシナリオに備えており、この前例のない状況を考慮して慎重に私たちの機関を運営し続けます」

まとめ

今四半期の主要指標を市場予想と比べてみると、

  • 収入(Revenues)は197億6600万ドルで、アナリスト予想の191億2000万ドルを上回る
  • 1株あたり純利益(EPS)は0.50ドルで、アナリスト予想の0.28ドルを上回る

と市場予想を上回る結果になった。

それでも純利益が前年同期比73%のマイナスというのが、昨日シティが株価を下げた要因だろうか(ちなみにJPモルガンは前年同期比51%のマイナス)。

確認のため昨日の主な米銀株を確認してみたところ、

プラスだったのはJPモルガンだけだったのか。バンク・オブ・アメリカの下げ幅が少ないのはまだ決算発表をしていないからだろう。ウェルズ・ファーゴは最終損益が23億ドルの赤字で、赤字転落は世界金融危機時の2008年10~12月期以来11年半ぶりであり、配当もこれまでの51セントから10セントへと大幅に削減するとのことなので株価が下落したのは納得できる。

ただシティグループがウェルズ・ファーゴに近い株価下落しているのは、今一つ理解しかねるところ。上に挙げた純金利マージンの低下も影響しているのだろうか。

いずれにせよシティの状況は、アナリストとのカンファレンスコールでCEOのMichael Corbat氏が述べたように、

  • We are in a completely unpredictable environment for which the models have no cycles to point to. The pandemic has a grip on the economy, and it doesn’t seem likely to loosen until vaccines are widely available.
    我々はモデルが指し示すサイクルがない、まったく予測できない環境にいます。パンデミックは経済を掌握しており、ワクチンが広く利用できるようになるまで(こうした状況が)緩和される可能性は低いでしょう

ということなのだろう。何とかこれ以上状況が悪化しないことを期待したいのだが、まだまだ不透明な状況は続きそうだ。

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