トランプ氏が新型コロナに関して対中報復を示唆(2020/5)

はじめに

2020年4月の米国株資産についてまとめている際に、掲題の今後に不安を感じる報道を見つけてしまったので、以下に整理してまとめておくことにする。


2020年5月1日のロイターの報道

以下はロイターの記事より引用・抜粋(元々はワシントン・ポスト誌が報じたもの)。

  • Trump made clear, however, that his concerns about China’s role in the origin and spread of the coronavirus were taking priority for now over his efforts to build on an initial trade agreement with Beijing that long dominated his dealings with the world’s second-largest economy.
    (しかし)トランプ氏は、コロナウイルスの起源と蔓延における中国の役割についての彼の懸念は、今のところ世界第2位の経済力で取引を支配してきた北京との最初の貿易協定を築く努力よりも優先されていることを明らかにした。
  • “We signed a trade deal where they’re supposed to buy, and they’ve been buying a lot, actually. But that now becomes secondary to what took place with the virus,” Trump told reporters. “The virus situation is just not acceptable.”
    「われわれが署名した通商合意は中国が(米国産品の)購入を増やすというもので、実際に多くを購入している。しかし、新型コロナで起きたことを優先すべきで、通商合意は二の次になった」「コロナを巡る状況は全く受け入れられない」とトランプ氏は記者団に述べた
  • Asked whether he would consider having the United States stop payment of its debt obligations as a way to punish Beijing, Trump said: “Well, I can do it differently. I can do the same thing, but even for more money, just by putting on tariffs. So, I don’t have to do that.”
    北京を罰する方法として米国に債務の支払いを停止させることを検討するかどうか尋ねられたトランプ氏は、「まあ、違うやり方でできる。同じことをすることができるが、関税を課すだけでもっとお金を稼ぐこともできる。だから、そうする必要はない」と述べた
  • Among the other ideas under consideration for retaliation against China are sanctions, new non-tariff trade restrictions and a possible effort to lift China’s sovereign immunity, two sources familiar with the matter said.
    中国に対する報復を検討している他のアイデアには、制裁、新たな非関税貿易制限、中国の主権免除を撤廃するための可能な取り組みなどがあると、この問題に詳しい2人の情報筋は述べています
  • The options are being discussed, informally for now, across government agencies including the State Department, White House National Security Council, Treasury Department and Pentagon, two of the sources said.
    オプションは、今のところ非公式に、国務省、ホワイトハウス国家安全保障理事会、財務省、国防総省などの政府機関全体で議論されていると、2人の情報源は述べています

まとめ

昨日5月1日(金)の米国市場は下落基調だったが、この報道もその一因だったのだろう。最も他にも、

  • アマゾン・ドット・コムが第1四半期決算は、新型コロナ感染拡大を受け生活必需品の注文が増加したことで増収となったものの、第2四半期については新型ウイルス感染拡大への対応費として約40億ドルを振り向けるとし、5年ぶりの営業赤字に転落する可能性があると警告した
  • 米供給管理協会(ISM)が公表した4月の製造業景気指数は41.5と、前月の49.1から低下し、2009年4月以来の低水準を付けた。ひと月としての低下幅は2008年10月以降で最大となった(ただし市場予想の36.0は上回っており、通常指数が市場予想を上回ると株価が上昇する傾向にあるのだが…)

といったニュースがあったので、トランプ氏の対中姿勢だけが下落の要因だったとは言い切れない。

ただし、ただでさえ経済や金融の不確実性が高い現状でこのような発言・姿勢を示すのは、政治的・国家的立場は別として、市場にとって好ましくないのは事実だろう。今後の動きに注意しなければならないなあ。

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