年齢と投資スタンス
2018年5月からこのブログを書き始め、半年ほど過去の投資状況を振り返りながらまとめてきたのだが、過去の投資データを整理している中で、年齢に応じて投資へのスタンスが変わって来ていると思った。
これは自分の生活を取り巻く環境が年齢を重ねるごとに変化してきているためで、良い悪いの問題ではないのだが、その違い/移り変わりを明確にすることは自分の投資スタンス/スタイルを見直すのに役立つのではないかと思う。
投資スタイルという点では、投資を始める前と過去の投資そして現在の投資とで大きな違いはないと思っているのだが、実際にその中身が年齢に応じてどう変わってきたかについて、なるべく客観的に整理してみることにしよう。
30代前半(2001~2004年)
投資資金
この時期の投資資金は結構ブレが大きかった。
2001年(7月から):
投資を始めた当初で様子を見ながらおっかなびっくり投資。半年で83.5万円
2002年:
投資に慣れてきて、どんどん投資をしていた。1年で326.5万円。購入も2月を除いた毎月実施
2003年:
投資が赤字だったせいか、落ち着いてきたせいか、投資資金は240万円に減少。購入も3ヶ月に1度に落ち着いてきた。この年でポートフォリオ銘柄がほぼ揃う
2004年:
投資資金は150万円に減少。実際のところこの時期の年間の投資はこれ位が適当だったのかもしれない
最初の頃は物珍しさからか積極的に投資をしていたが、一時の熱が冷めてからは落ち着いたといった様子。2004年位から投資資金と生活のバランスが取れて来たのではないだろうか。それ以前も投資資金の捻出に無理をした記録はないのだが、投資開始初期は投資をすることに偏重していたような気がする。
購入銘柄選定
この時期の購入銘柄選定優先順位は、
- 投資を始める前に決めたポートフォリオ銘柄を揃えること
- その中で割安/値頃感のあるものを買い増すこと
の2点が基本スタンス。いわゆるナンピン買いに近い購入をしていた。結果としてポートフォリオ銘柄は揃ったが、いくつかの銘柄に投資が集中してしまうことになった。特に多かったのはBMY(ブリストル・マイヤーズ スクイブ)とSUNW(サン・マイクロシステムズ)だろうか。結果的にはその時期にBMYへ投資を集中したことは良かったと言えそうだが。
2004年からは年4回の購入に落ち着いてきた。それまでの経験と楽天証券のMarketSpeedの無料使用の縛りであるのだが、これは今も続けていて、株価購入のタイミングと株式購入の資金をある程度まとめるという点で良いのではないかと思っている。1ヶ月に1度では資金も貯まらないし、半年に1度では割安のタイミングを逸する可能性が大きくなってしまうので。
その他考慮要素
30代前半で投資に係わる主な考慮事項としては、
- 奨学金の返済を毎年していた
- 大体毎年昇給あり
- 結婚するかどうかは不明
といったところだろうか。
【奨学金返済】
奨学金に関しては、大体年間10万円強を返済していた様子。大学は私立であったが文系であったし、今と比べると学費が安かったのでこの程度の支払いで済んでいた。従って投資資金の捻出に関しては特に大きな影響は無かったと言える。
【サラリー/雇用】
サラリーに関しては、外資系企業ということもあり同年代に比べれば多かったはず。年1回海外の上司と年棒交渉をしていた。査定が悪ければ減棒もあったのだが、昇給無しはあっても減棒まではなかったので、投資資金に直接的な影響は無かった。ただし、成績(個人、会社共に)が悪ければ、減棒やリストラがあるということは認識していた。一方で、30代前半という事を考えれば、最悪の場合でも転職すれば同じ程度の条件の企業はあったと考えており、サラリー/雇用に関しては大きな危機感は抱いていなかった。
【結婚】
結婚に関してはこの時期はまだ可能性があったかもしれない。投資資金、生活防衛資金とは別に預貯金もしていた。
30代後半(2005~2009年)
投資資金
30代後半の2005年から2009年にかけての投資資金はほぼ右肩上がりだった。
2005年:
2004年から投資額は増えて年間の投資は195万円
2006年:
2005年から投資額は増えて年間の投資は250万円
2007年:
2006年から投資額は増えて年間の投資は316万円
2008年:
この年は世界金融危機が本格化した年でもあったせいか、前年とほぼ変わらずの年間310万円の投資に留まる
2009年:
世界金融危機は続いていたが年間の投資は400万円
2005~2007年は前の年に比べて着実に投資資金を増やしていた。この時期は損益がプラスになってきたこともあったので、投資額を増やしていたのだろう。
2008年以降は世界金融危機のために資産は暴落していたので、2008年は様子見もあったのか前年と同じ程度の投資額。しかし2009年は下落傾向が続いたにも関わらず投資資金が増加していた。
購入銘柄選定
この時期の購入銘柄選定優先順位は、
- 割安/値頃感のあるものを買い増すこと
の一点に従って淡々と購入を続けていた。
その結果、2005年ぐらいまではBMY(ブリストル・マイヤーズ スクイブ)、サブプライムローン問題が顕著になってからはC(シティグループ)の2銘柄にほとんど投資をしたことになる。
BMYは別としてCへの投資は今振り返ってみると危険だったと思う。結果として破綻することはなく、2018年現在では配当もそれなりに出してくれているので良かったのだが、もう少し別の考え方があったかもしれない。例えばこの時期にCではなく配当の高い銘柄を購入していれば、資産は今より少なかったかもしれないが、年間配当は大きくなっているだろう。
その他考慮要素
30代後半で投資に係わる主な考慮事項としては、
- 奨学金の返済は2005年に完了
- 昇給なし。勤務先の会社から一律5%の給与カット。2008年に別会社に買収される。給与形態も変更
- 結婚するかどうかはまだ不明
といったところだろうか。
【奨学金返済】
奨学金に関しては2005年に借入額を返済し終える。これで借金は無くなった。
【サラリー/雇用】
2005年位から年棒はほぼ変わらない状態になる。2007年に会社の業績不振のため全社員のサラリーが一律5%カット。そして2008年には別の外資系企業に買収されるという事態になってしまった。幸い給料は据え置きだったが、自分が頑張っても雇用が保証されているわけではない、ということを現実問題として認識することになった。またこの時期には給与形態が単純年棒から年棒+インセンティブに変更になっている。
買収された時点での転職という選択も頭に浮かんだが、買収後の条件がサラリー/職務も変わらないこと、そしてまだ30代後半ということもあったので、とりあえずは買収された企業で様子を見ることにした。
【結婚】
30代前半と同様の認識。
40代前半(2010~2014年)
投資資金
40代前半の2010年から2014年にかけての投資資金は以下の通り。
2010年:
この年だけ年間投資は300万円
2011~14年:
年間投資は400万円
昇給もしないため、投資資金はほぼ変わらずだった。
購入銘柄選定
この時期の購入銘柄選定優先順位は、
- 割安/値頃感のあるものを買い増すこと
- 所有銘柄でポートフォリオの割合が少ないものを買い増すこと
- 配当を意識した銘柄選択
という傾向だった。
2012年まではまだ世界金融危機のダメージから抜け出せていなかったC(シティグループ)への投資、それ以降は自分のポートフォリオが少数銘柄に集中投資をしている形になってしまっていたため、意識して所有割合の少ない銘柄に分散投資をしていた。
銘柄でも配当率が高いものを明確に選び始めたのはこの頃。資産自体はプラスになり始めたがそれを全部現金化してもリタイアは難しい資産額だったため、余程のことが無ければバイアンドホールド/長期投資を続けて売却をしないのだろうなあ、と考え始めた。売却で十分な資金を得られないのであれば、受取配当を増やすことでも資産を増やす必要があるという認識を強くした時期でもある。
その他考慮要素
40代前半で投資に係わる主な考慮事項としては、
- サラリーに関してはほぼ変わらず
- 結婚に関しては無い方向で人生設計を
といったところだろうか。
【サラリー/雇用】
サラリー自体はほぼ変わらなかったため投資金額もほぼ変わらず。ただし、部門/役割が1年ごと位に変更になって、上司も短期間でいなくなったり、同僚もリストラされるケースが増えてきて、会社への危機感が一層強まった時期ではある。ただし、40代前半という年齢もあり転職をするのは難しいのだろうなという認識もあった。一方で2013年からは定年年齢の延長が段階的に始まっていたりもしている。
【結婚】
さすがに40代になると結婚は出来ないという認識に。この年になって家庭を持って生活スタイルを根本から変えるのは、自分には無理だと思い諦めた時期である。
40代後半(2015年~)
投資資金
40代後半の2015年からの投資資金は以下の通り。
2015年:
年間の投資は1,400万円。上の40代前半の【結婚】のところで書いた様に、結婚は無いものとしたので、その可能性を排除せずに持っていた1,000万円を投資に回した
2016年:
年間の投資は1,000万円。2015年と同様に結婚の可能性が無くなったため、定期預金の満期分600万円を投資に回す
2017年:
年間の投資は400万円。
2018年:
現在までの投資は300万円。12月に100万円投資予定で年間では400万円予定。
40代後半は結婚の可能性が自分の中で無くなったこともあり、主にその為に預貯金していた資金を投資に回したため、2015年、2016年と投資額が増えている。ただし、40代になってからの年間投資金額のベースは400万円と変わらず。
購入銘柄選定
この時期の購入銘柄選定優先順位は、
- 配当率が高い
- 割安/値頃感のあるものを買い増すこと
という様に配当率優先になっている。
2015年の投資資金が多かったタイミングで、初期に想定したポートフォリオには入っていない配当率の高いT(AT&T)を初めて購入している。それ以降も基本的には配当が高めで割安感のあるものを購入し続けている。
資産はプラスになっているのだが、これまで長期投資/バイアンドホールドを続けてきた結果、所有銘柄が10倍になったりすることはほぼ無いだろう、つまりキャピタルゲインだけでリタイアするのは困難と現実を再認識し、配当(インカムゲイン)重視に切り替えている。年齢が若ければ株が急騰する可能性は、投資をする期間がまだ長いので無くもないが、40代後半になるとその可能性は低いと考えざるを得ない。
その他考慮要素
40代後半で投資に係わる主な考慮事項としては、
- 自分がリストラの対象になる可能性の検討
- 健康/体力
- リタイアした際の生活/生活費検討
というところ。
【サラリー/雇用】
会社の状況は40代後半になっても変わらず、組織変更や断続的な人員削減が続いており、自分がその対象になっても不思議はない。さらに人手が少なくなってやることは増えても、サラリーは変わらない状況。こういったことを踏まえて早期リタイアも現実的な選択肢となってきている。
【健康/体力】
幸いにも大病などは経験していないのだが、やはり加齢と共に体力が落ちてきていると感じることが40代後半になってから多くなってきている。ここ最近は60代になっても働く雰囲気が社会的に普通になりつつあるが、自分としては出来ることならそれは避けたい。お金があっても体力がついていかなくては仕方がないし、その逆に健康であっても金銭で選択が限られる状況は避けたいところ。
【リタイア後の生活】
配当金(インカムゲイン)がいくらあれば、生活できるのかを具体的にシミュレーションして考えるようになったのも40代後半から。漠然と考えていたものを現実として捉え始めている。現時点では資産を多少取り崩せば大丈夫な気もするのだが、自分の生活スタイルから考えるともう少し配当金を意識した投資にするべきかもしれない。
まとめ
投資を始めた30代前半から現在40代後半までの投資状況とそれに関する考慮事項をつらつらと書いてみたが、以下にまとめてみる。
年齢で変わらなかったもの
【バイアンドホールド/長期投資】
これはブログのタイトルでもあるので当然ではあるのだが、多少時期によって凸凹があるものの投資初期のITバブル崩壊や世界金融時期の資産がマイナスの時も米国株投資は続けてきた。その結果、何とか年間税引後配当金300万円が見えてきている。
【無借金】
初期の30代前半で奨学金を払い終えてからは借金はしていない。家を買うという一大イベントが無かったことは、投資資金の捻出という点で有利に働いている。
【独身】
30代までは結婚も視野に入っていたが、40代になって諦めた。良い点悪い点双方が考えられるし、それも個人的な判断基準に拠るところが大きいのだが、タイトルのバイアンドホールドと年齢という点から見れば、投資資金の捻出という点では有利に働いている。結婚を諦めた40代後半からはその準備としていた預貯金も投資に回すことが出来た。
年齢で変わったもの
【配当重視】
投資を始めてから10年ぐらいは配当金はあまり重視しておらず、貰えれば嬉しい程度の認識だったのが、40代、特に後半になってから配当金だけで生活を賄うことが出来ないか、という点を中心に投資銘柄を考えるようになってきた。これは株式の上昇だけではリタイア/老後生活が難しそうだ、という認識に変わってきたため。まだ若い内であれば、株式の急騰も期待できたかもしれないが、さすがに50歳近くになってくるとその可能性は低そうだという事にイヤでも気付かざるを得ない。最初から配当重視の銘柄に投資をしていた方が良かったかもしれないが、あくまで結果論であるので何とも言えないところ。
【サラリー/雇用】
サラリーに関してはベースは30代後半からはほぼ変わってはいないのだが、給与形態の変更でインセンティブが入って来ているので多少は増えている。また雇用に対する考え方は、会社の業績悪化に伴う一律給与カットや、買収、買収後の組織再編による継続的なリストラ等々で、いつまで働くか/働けるかといった点を真剣に考えるようになってきている。
【法制度】
投資に直接係わる法制度で大きく変わったものはない(と認識している)のだが、2013年施行の定年65歳までの延長や現在も議論されている年金支給開始時期などは、老後のプランに影響が大きい。
自分はそもそも年金がちゃんと支給されるかが不安だったことも投資を始めた理由の一つであるので、老後のプランには国の年金をシミュレーション対象から外しており、貰えればラッキーぐらいの認識なので影響はほぼ無い。しかし、今後投資や配当に係わる法改正が起こる可能性が無いとは断言できないので、その点も留意する必要があるだろう。
【健康/体力】
既述ではあるが、加齢と共に体力は確実に落ちてきているし、こればかりは若い時には具体的に想像するのが難しいところ。40代になってからは、自分の健康/体力と資産のバランスを考えた投資(配当重視)に変わって来ている。
大きなポイントはこれ位だろうか。自分としては加齢に伴う上記の様な要因を踏まえて投資スタンスの最適化を図ってきたつもりではあるのだが、今後も気を付けていきたい。
来年には50代になるのだが、50代になってからの投資失敗は30代の時とは違って回復するのが非常に困難だと思われるので、恐らく投資面での危険性を極力取り除くような投資スタンスを目指すことになるだろう。