シティグループ(C)2023年第2四半期決算(2023/7)

はじめに

2023年7月14日(金)から米国企業の四半期決算発表が本格化した。いつもの様に自分の所有している銘柄ではJPモルガン・チェース(JPM)、シティグループ(C)などの米銀株が先陣を切って決算を発表している。

2023年の米銀ストレステストをまずまず無難に乗り切ったシティだったが、その他大手米銀に比べてシナリオに対する回復力が弱いとされており他行に比べて今一つの株価推移であったため、最新の四半期決算の内容が気になるところ。以下シティの2023年第2四半期決算を確認し整理しておく。


シティグループ2023年第2四半期の決算概要

以下の内容はシティグループ企業サイトの発表資料より抜粋・引用。

  • 収入(Total Revenues)は194億3600万ドルで前四半期より9%減、前年同期比1%減
  • 純利益(Net Income)は29億1500万ドルで前四半期より37%減、前年同期比36%減
  • 希薄化後1株あたり純利益(Diluted EPS)は1.33ドルで前四半期より39%減、前年同期比39%減

米国での高金利もあって純金利収入(Net Interest Income:NII)が139億ドルと前四半期比4%、前年同期比で16%増加しているものの、非金利収入(Non-Interest Revenues)が前四半期32%減、前年比28%減となっている。

また今四半期の貸し倒れ引当準備金(ACL(Allowance for Credit Losses)Build and Other)は3億2000万ドルとなっており、総与信費用は18億2400万ドル(前四半期は19億7500万ドル)となっている。

そして先月発表があった最大5000人の人員削減に関わるコスト増(第2四半期に約2億ドル)や、市場部門の収入が13%減の46億ドル、投資銀行部門の手数料収入が24%減の6億1200万ドルとなったことが純利益(Net Income)が前四半期より37%減、前年同期比36%減の主な要因となっている。

2023年第3四半期及び通期見通し

2023年第3四半期及び通期見通しは以下の通り。

主なものをピックアップすると以下の点がある。

【第3四半期】

  • 経費(Expenses)が企業再編やリスクコントロールのため前四半期比で増加見込み

【通期】

  • Revenues(収入):780億ドル~790億ドル(前四半期から変わらず)
  • Net interest income excluding Markets(純金利収入):460億ドル超(前四半期の~450億ドルから増加)
  • Expenses(経費):~540億ドル(前四半期から変わらず)

その他

その他アナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。

  • 2024年末までに以下の3点を通じて経費曲線を改善することに引き続き取り組んでいる
    • インフラストラクチャの最新化、管理の自動化、および顧客エクスペリエンスの向上に必要な変革やその他のリスクおよび管理の取り組みへの投資
    • 簡素化の一環としてグローバルの消費者向けビジネスを縮小
    • スリムな組織モデルを通じて経費ベースを削減
  • 第2四半期終了時点でシティグループの普通株式Tier 1自己資本比率は13.3%。これは第2四半期の総額20億ドルの自社株買戻し及び配当を行った後の要件を100ベーシスポイント上回っている
  • 私たちが(FRBの)ストレス資本バッファーの増加に失望したと聞いてもショックは受けないでしょうが、非金利収益の観点から私たちのモデルとFRBのモデルの違いをよりよく理解するためにFRBと積極的に対話していく

質疑では経費に関する見通しの質問が多かった印象。


市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2023年第2四半期の収入(Total Revenues)は194億3600万ドル、市場予想の193億6000万ドルを上回っている
  • 2023年第2四半期の売却を除いた希薄化後1株あたり純利益(Diluted EPS)は1.33ドル、市場予想の1.31ドルを上回っている

となっている。


まとめ

上記の様な決算結果を受けてシティグループの株価は

前日比4.05%の下落。同日の米国市場が

ほぼ横ばいだったのに比べるとかなり見劣りがする結果となってしまった。

日中の動きを見てみると

開場直後は前日と同等の水準で始まったが、その後は時間経過と共に下落が進み上記の様に大きく落ち込んで終えている。売上、EPSが市場予想を上回ったものの、やはり前月比、前年比に比べて低調な四半期であったことが影響したのだろう。

また同日の主要米銀株が

となっており、同日同じく決算を発表したJPモルガン・チェース(JPM)、ウェルズ・ファーゴ(WFC)の決算内容と比べて見劣りがしたのも下げ幅を拡大する要因となったかもしれない(バンク・オブ・アメリカ(BAC)の決算発表は7月18日)。

年初来のシティ株を見てみると

2023年6月末の米銀ストレステストを乗り切った後は方向感が定まらない動きが続き、決算発表前の3営業日は連続して上昇して年初来5%プラスだったのだが、決算を受けて年初来とほぼ変わらず程度の水準になってしまった。

気になる今後だが、10月13日に予定されている2023年第3四半期決算発表までは大きなイベントはなし。決算発表当日の下落でマイナス要因が株価に反映されてしまっていればいいのだが、しばらくは冴えない株価が続きそうな気もする。我慢の期間が続きそうだ。

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