ボーイング(BA)2022年第3四半期決算発表(2022/10)

最後に追記有。

はじめに

2022年10月26日(水)には自分が所有しているボーイング(BA)の2022年第3四半期決算発表があった。

ボーイングは2022年7月の第2四半期決算以降は良いニュース

ボーイング787納入再開を受けての株価確認等(2022/8)

と悪いニュース

ボーイング737 MAX 10の年内認証が困難か(2022/9)

がそれぞれあってそれらが今回の決算にどう影響を及ぼしたかが気になるところ。以下決算内容を確認し整理しておく。


ボーイング2022年第3四半期決算発表

以下の内容はボーイングの企業サイトより引用・抜粋。

  • 2022年第3四半期の売上高(Revenues)は159億5600万ドルで、前年同期比4%増加
  • 2022年第3四半期の純損失(Net Loss)は33億800万ドルの損失、前年同期は1億3200万ドルの損失
  • 2022年第3四半期の一株当たり損失(Loss Per Share)は5.49ドルの損失、前年同期は0.19ドルの損失
  • 2022年第3四半期の調整後中核事業一株当たり損失(Core Loss Per Share)は6.18ドルの損失、前年同期は0.60ドルの損失

  • 2022年第3四半期のフリーキャッシュフローは29億600万ドル、前年同期はマイナス5億700万ドル

  • 2022年第3四半期の財務状況は総債務(Total Consolidated Debt)が572億ドル、前四半期と変わらず

事業部別業績

【Commercial Airplanes(商用機部門)】

  • 2022年第3四半期の商用機の引き渡しは112件、前年同期は85件で32%の増加
  • 売上は62億6300万ドルで前年同期比40%の増加
  • 損失は6億4300万ドル、前年同期は6億9300万ドルの損失
  • 受注残は4300機以上で3070億ドル

【Defense, Space & Security(防衛・宇宙・セキュリティ部門)】

  • 売上は53億700万ドルで前年同期比20%減
  • 利益は27億9800万ドルの損失で前年同期は4億3600万ドルの利益。主に見積もり製造コストとサプライチェーンコストの上昇により、特定の案件での契約当時の固定価格開発プログラムで28億ドルの損失が発生
  • 受注残は550億ドル。うち31%は海外からの注文

【グローバルサービス部門】

  • 売上は44億3200万ドルで前年同期比5%増
  • 利益は7億3300万ドルで前年同期比14%増

その他

  • アナリストとのカンファレンスコールで今年の737MAXの納入機数見通しを下方修正
    • 当初は575機
    • 7月に400機台前半
    • 今回375機
  • 2022年通年でキャッシュフローを黒字化する目標は変更なし
  • SECへの提出資料Quarterly 10-Qの中で、認証取得が滞っている737MAX 7/10に関して認証が得られなければ「we might choose to discontinue the MAX 7 and/or MAX 10」と打ち切りの可能性に言及(既に受注した分はMAX 8や9に振り替えることで対応)

市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2022年第3四半期の売上高(Revenues)は159億5600万ドル、市場予想の175億5000万ドルを下回っている
  • 2022年第3四半期の調整後中核事業一株当たり損失(Core Loss Per Share)は6.18ドルの損失、市場予想の0.11ドルの利益よりも悪い
  • 2022年第3四半期のフリーキャッシュフローは29億600万ドル、市場予想の10億2000万ドルを上回っている(ただし約15億ドルの税金還付が含まれる)

となっている。


まとめ

上記の様な決算結果を受けてボーイング株は

8.77%の大幅下落。同日の米国市場は

S&P 500、NASDAQ総合がマイクロソフト(MSFT、7.7%下落)、アルファベット(GOOGL、9.1%下落)の大幅下落に引っ張られマイナスになったが、それを上回る下落振り。

決算内容を見る限りフリーキャッシュフロー以外は市場予想を下回り、737MAXの納入見通しも引き下げ、サプライチェーンの問題や労働力不足などが続いていることなどからこの下落は致し方ないところだろう。

年初来のボーイング株は

市場(S&P 500)に比べて14%程悪いパフォーマンスとなっており、決算内容を踏まえると今後も急速に改善するとは思えない。


補足

ボーイングの決算発表翌日10月27日の米国市場は

メタ・プラットフォームズ(META)の24.6%急落もあってハイテク銘柄の割合の高いS&P 500、NASDAQ総合は下落したのだが、そんな中ボーイング株は

何故か4.46%も上昇している。

決算内容を踏まえると続落してもおかしくないと思っていたので調べてみると

  • 現在737MAXの運航が再開されていない中国において、中国南方航空が予約サイトを見る限り10月30日に737MAX便を運航する予定であることが確認された
  • 決算発表を受けてSusquehanna、Wells Fargo、R.W. Baird、Morgan Stanleyのアナリストがボーイングの目標株価を引き下げたのだが、その範囲は180~213ドルと最も低いSusquehannaの見込みでも27日の終値より約34%高く、上昇余地がありそう
  • インターナショナル・エアラインズ・グループ(IAG)が株主が50機の737-8-200型機とボーイング737-10型機を発注する契約を承認したことを発表(100機のオプションを含む)

といった情報が重なったためらしい。まだまだ方向感の定まらない株価の動きが続きそうだが、何とかこういった細かい事を積み重ねて業績・株価が自分が想定するより早期に回復して欲しいものだ。


追記

上述の中国南方航空が10月30日に737MAX便を運航する予定は結局キャンセルとなった。

ただしこれは737MAX自体の問題ではなく、中国全体でCOVID-19による規制措置が続きフライトが多数キャンセルされたことが原因らしい。

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