はじめに

昨日2022年9月1日の米国市場は

と開場直後はジャクソンホール会議以降4営業日下落の流れを受けてか前日比下落で始まったものの、午後になって買いが強まり最終的にはNASDAQ総合を除いて前日比プラスとなった。

そんな中自分の所有しているボーイング（BA）が

4%を超える市場と比較して大きな下落となっていた。

調べてみると掲題の件がボーイング株の下落に関係しているようだ。以下ボーイング737 MAX 10に関する状況について整理しておくことにする。

ボーイング737 MAX 10の認証に関する整理

前提

ボーイング737 MAXには7、8、9、10の型式があり、主力は737 MAX-8だが2019年の墜落事故を契機として運行停止となり2020年12月から737 MAX-8、9型機米国で運航再開をしている。737MAX7と10はまだ航空会社には納入されていない。

2022年12月までの年内認証が重要視される理由

737 MAX7と10は運航に向けてFAAから型式証明を取得しなければならないのだが、FAAは2020年に新型航空機の認証手続き方法を変更しており、コックピットの警報に関する新たな安全基準に関する期限を22年12月下旬に設定している。

そのため2022年12月までに型式証明が取得できない場合、現状では737 MAXが装備していないコックピット内の警告システムEICAS（Engine Indicating and Crew Alerting System：エンジン計器・乗員警告システム）を新設しなければならない。

その結果、新たなパイロット訓練を設ける必要や737 MAX-8とは別のコックピットとして扱われるためパイロットのライセンスを共通化できなくなり、余分なコストと時間がかかる可能性がある。

直近の737 MAX 10に関する報道

いずれもロイターの報道より引用・抜粋

【8月30日】

ライアンエアーの最高経営責任者（CEO）Michael O’Leary氏へのインタビュー

“I think Boeing accepts that it won’t get certified by year end, but I suspect that Congress will approve an extension to that certification process out into early 2023”
「ボーイングは年末までに認証を取得できないこと受け入れていると思いますが、議会はその認証プロセスを2023年初頭まで延長することを承認するのではないかと思います」
“It makes no sense to call on a company like Boeing to redesign the cockpit or redesign safety systems… So I would urge Congress not to demand a redesign”
「ボーイングのような企業にコックピットや安全システムの再設計を要求するのは無意味です…。したがって、私は議会に再設計を要求しないよう強く求めます」

【9月1日】

ボーイングの商用機製品マーケティングスペシャリストJohn Dyson氏へのインタビュー

“The MAX 7, that’d be the first one to come in. The MAX 10 will be right behind that”
（具体的な認証取得の日付に関する質問に対して）「MAX 7が最初でMAX 10はそのすぐ後になるだろう」

これだけでは時期が分からないのだが、ロイターの記事では

Boeing Co expects the 737 MAX 7 will be certified by the end of the year and the larger MAX 10 in the first half of 2023
ボーイングは737 MAX 7が年内に、大型のMAX 10が2023年上半期に承認されると想定している

となっている。これが昨日のボーイング株が大きく下落した理由だろう。

まとめ

ロイターの報道を中心にボーイング737 MAX 10に関する状況について整理してみたが、正直またボーイングの商用機に問題か、という印象。ここ数年ボーイングは737 MAX、787 Dreamlinerに関する不具合、問題が頻発している。8月にはようやく787の納入が再開されて上昇基調になるのではという期待もしたのだが、過去1ヶ月の株価は市場も低調ではあるのだが思った程良くはないし