はじめに
2024年7月30日(火)の米国市場閉場後には自分の所有株の一つであるモンデリーズ・インターナショナル(MDLZ)の2024年第2四半期決算発表があった。
前回の四半期決算では市場に比べてやや下落し
「今後のモンデリーズ株だが、次回決算まではここ数ヶ月と同様に市場のカカオ価格に連動する動きが続きそうな気がする。そして次回決算時に期間中の業績がどうであったか、そして下半期の見込みがどうなるかで大きく動くのだろう。モンデリーズが今回決算で発表した目論見通り物事が進んでくれればいいのだが、個人的にはそこまで自信は持てないので、あまり期待しないでおくことにしよう。」
と書いてカカオ価格の影響を気にしていたのだが、今回の決算そして株価はどのような結果となったのか。以下にモンデリーズの決算内容を整理しておくことにする。
モンデリーズ2024年第2四半期決算概要
以下はモンデリーズ・インターナショナルの企業サイトより引用・抜粋。
- 2024年第2四半期のレポートベース純売上高(Reported Net Revenues)は83億4300万ドルで前年同期比1.9%減
- 2024年第2四半期の調整後希薄化1株当たり利益(Adjusted Diluted EPS)は0.86ドルで前年同期比19.4%増(恒常為替ベースでは25.0%増)
2024年通期見通し
2024年通期の見通しは以下の通り。
- 既存事業純売上成長率(Organic Net Revenue growth):3~5%
- 調整後EPS成長率(恒常為替ベース):HSD(High Single Digit、一桁台後半)
- フリーキャッシュフロー:35億ドル超
- 自社株買い:~20億ドル
- インフレ上昇率:HSD(High Single Digit、一桁台後半)
以上の主な項目はいずれも前回四半期決算時と変わらず。
その他
その他決算発表/アナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。
- 2024年第2四半期中に価格を約4.7%引き上げ、販売量は2.2%減少
- 2024年第2四半期中に配当と自社株買いにより11億ドルを株主に還元
- 四半期配当を@0.425ドルから@0.47ドルに増額(11%)
- 効果的なコスト管理と価格設定により利益が力強く伸び、今年上半期は好調な業績を達成できた
- また欧州での年間価格設定も無事に完了し、売上高と数量の成長という点で下半期に向けて好位置につけている
- 新興市場では引き続き勢いが見られ、当社は持続可能な長期成長を推進するためにブランドに多額の投資を続けていく
- 堅調なフリーキャッシュフローも続き、上半期で15億ドルを生み出した
- 事業環境は引き続き厳しくダイナミックだが、チームは長期成長戦略の実行に注力し機敏に行動していく
- 消費者の傾向は地域によって異なるが、全体的にはインフレが沈静化するにつれて販売量の伸びが回復し始めている
- 最近のカカオ原料コストの高騰は広く議論されているが、主要作物の初期兆候が明るいことから市場はまもなくより持続可能な価格に修正されると予想
- 北米の消費者の状況に関する質問
- 依然として軟調だが安定しつつある
- 賃金が約4%上昇しているのに対し食料品価格は1%上昇していることから、消費者は昨年の同時期よりも自信を持ち始めているが高価格が依然として懸念事項
- 北米に関してはプロモーション、より安価な商品パックの提供、流通の促進を考えている
- 現在のガイダンスでは下半期の売上高成長を加速する必要があるが、という質問
- 最も大きな影響を与える要因は数量成長に回帰する必要があるヨーロッパ。既に混乱は乗り越え、我々はそれを達成できると確信している
- 現時点では年間の売上ガイダンスの上限に達する見通し
- 今年の商品コストはほぼ100%固定されているため、その点でもサプライズはない
- 欧州の状況に関する質問
- 一般的に、欧州の消費者は所得は増加し、インフレは緩和し、雇用はかなり安定しており、北米の消費者よりも良い状況にあると感じている
- 英国は欧州にとって重要であり昨年は比較的低かった信頼感が高まっている。フランスとドイツという他の2大国についても、経済指標の見方はまちまちだが、信頼感は昨年を上回っている
- 従って価格設定が完了した現在、堅調な成長は下半期も続くと感じており、かなり好調になると予想している
- ここ数年、成長が順調に進んでいるにもかかわらず、フリーキャッシュフローのガイダンスは30億ドルの水準で停滞しており、今年のガイダンスは35億ドル。フリーキャッシュフローのガイダンスを将来引き上げる可能性があるか、という質問
- 昨年はコーヒー関連の税金を支払わなければならず、今年はおそらく8月に返済することになる一時的な支出が予想されるが、明らかに一時的な影響であるこれらの支出を除けば、当社のキャッシュフローは40億ドル以上になる
- 従って質問に対する答えは、継続的に40億ドル以上を目指すことは間違いないという事になる
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2024年第2四半期の純売上高(Reported Net Revenues)は83億4300万ドル、市場予想の84億5000万ドルを下回っている
- 2024年第2四半期の調整後希薄化1株当たりの利益(Adjusted Diluted EPS)は0.86ドル、市場予想の0.79ドルを上回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算内容を受けてモンデリーズ・インターナショナルの株価は
前日比1.94%の上昇。同日の米国市場が
米半導体大手のアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が決算で今年通期の人工知能(AI)向け半導体の売上高見通しを上方修正したことを受けて、大型ハイテク銘柄が上昇したためS&P 500、NASDAQ総合が大きく上昇し、ダウ工業平均も前日比プラスで終えているがモンデリーズはダウの上昇を大きく上回っている。ちなみに同日FOMC会合もあったのだが、こちらによる変動は少なかった模様。
売上は市場予想に届なかったものの、EPSは市場予想を上回り、通年見通しも堅持したこと。そして冒頭に挙げたカカオ価格についての懸念がある程度決算発表で払拭されたことが株価上昇につながったのだろう。
決算後数日を含めた年初来のモンデリーズ株の推移を市場(S&P 500)と比べてみると
2024年第1四半期決算以降はあまり変動の無い動きだったのだが、5月下旬からは市場の上昇に反して下落傾向。しかし7月半ばからの市場が下落傾向となった頃からやや持ち直し、決算を受けての上昇後した8月に市場が大きく下落したにもかかわらず株価が上昇して年初来2%下落まで持ち直している。
今後のモンデリーズ株だが、堅調な決算だったことや市場の下落にかかわらず上昇している事を考えると、まずまず堅調な株価推移が期待出来そうではある。ただし、8月に入ってからの米国株式市場の急落を考えると、それにつられて冴えない動きをする可能性も拭えない。早く米国株式市場が落ち着きを見せて、モンデリーズも決算を受けての上昇が長続きしてくれるといいのだが。