米財務省の長期国債買い戻し強化発表と自分の資産(2026/8)

はじめに

2026年8月19日(水)の米国株式市場は

と前日比ややプラスとなっているのだが、自分の米国株ドル資産は

前日比3万ドルを超える1.49%の減少。そしてそれは

と主力である米銀株のシティグループが約2.7万ドル減(3.49%減)となったことが大きい。更に加えて円ベース資産も見てみると

とドル資産の減少に加えてドル円為替がドル安に振れたこともあって、1日で600万円を超える減少となっている。

理由を調べてみると掲題の件が原因の様だった。以下にその内容を確認すると共に市場や自分の資産の動きについて整理しておく。


2026年8月19日、米財務省の長期国債買い戻し強化の発表内容

以下は米財務省のプレスリリースより引用・抜粋。掲載されたのは米東部夏時間8:30頃。

  • 米財務省は、長期の利付国債( longer-dated nominal coupon securities:残存期間10年超20年以下および20年超30年以下の区分)を対象とする流動性支援のための買い入れオペの規模を、少なくとも2倍に拡大します。これにより1回あたりの上限額は現在の20億ドルから少なくとも40億ドルとなります
  • この変更は2026年9月9日より適用され、当該四半期の国債発行計画期間の残り(2026年11月4日まで)にわたり実施されます。財務省は、今後の買い入れ規模に関する詳細を、2026年11月4日に予定されている次回の四半期国債発行計画発表(Quarterly Refunding)の際に公表する予定です
  • 今回の買い入れオペ規模の拡大は、長期利付国債の区分において、市場参加者から継続的かつ強力な需要(買い意欲)が寄せられていることを踏まえ、同区分への流動性支援を強化しようとする財務省の意図を反映したものです。実際、長期国債を対象とした買い入れオペにおいては、質の高い売り注文が日常的に大量に寄せられています
  • 更新された暫定的な国債買い入れスケジュールは、後日公表される予定です

プレスリリースは以上で、買戻し資金の調達方法については明らかにしていない。市場では短期債の発行を増やし、長期債の一部を置き換えることになるのでは、という見方が有力とされている。


米財務省の長期国債買い戻し強化の背景/金利政策への影響

今回の米財務省の長期国債買い戻し強化の動きには以下の背景が考えられる。

  • 前日2026年8月18日の米債券市場では、米30年国債利回りが一時5.3%台後半に達し、2007年以来、約19年ぶりとなる高水準を記録した
    • 長期金利の高騰は、企業の調達コストや米国の住宅ローン金利に影響を及ぼし、景気を冷やす可能性がある
    • 利回りが高くなりすぎる(国債価格が安くなりすぎる)と、買い手が消えて国債市場が機能不全に陥る(流動性がなくなる)恐れがある
  • 米国の連邦債務残高が初の40兆ドルの大台に迫っていた
    • 減税で歳入が抑制される一方、社会保障関連支出や利払い費が急増しているのが原因と見られている
    • 増税か歳出削減、あるいはその両方を実行しなければ、本格的な債務危機が発生しかねないとの見方も出ている
    • 実際2026年8月19日の米国市場閉場後に、米財務省は連邦政府債務総額が初めて40兆ドルを突破したと発表している
      • 市場で保有される米国債が32兆2660億ドル、政府内保有分が7兆7820億ドル

また今回財務省が長期国債買い戻し強化を発表したことで、米連邦準備制度理事会(FRB)の金利政策にも影響が出ると考えられる。

2026年7月末のFOMC後にウォーシュFRB議長は「名目金利、実質金利ともに大幅に上昇しており、前回FOMC会合以降に生じた上昇の一部は、ここ数十年で最も顕著なものだった」、「市場は今後も適切と判断する方向と規模で反応し続けるだろうし、これはポジティブなことだと見ている」と発言していたのだが、今回の財務省の発表はウォーシュ議長の市場の動きを見守るという立場とは異なるものであり、今後のFRBの金利政策の舵取りはより一層困難になったように思われる。


同日の市場の動き

米国主要3株式指数

冒頭に挙げた通りほぼ横ばい。概ね財務省の発表による米国債利回り低下、つまり調達コスト低下がやや安心感をもたらしたと言える。ちなみに今週の米国市場は米国債利回り上昇、つまり調達コスト上昇への懸念もあって、

8月17日(月)

8月18日(火)

と主要3株式指数はいずれも続落していた。

ちなみにCMEのフェドウォッチツールにおける9月のFOMCでの金利政策確率は

  • 2026年8月18日の2026年9月FOMCでの政策金利確率
    • 3.50%~3.75%(金利据え置き):63.9%
    • 3.75%~4.00%(0.25%利上げ):36.1%
  • 2026年8月19日の2026年9月FOMCでの政策金利確率
    • 3.50%~3.75%(金利据え置き):67.3%
    • 3.75%~4.00%(0.25%利上げ):32.7%

と元々据え置きが優勢だった前日からやや据え置き確率が上昇している。

米国10年債

米財務省の発表があった米国東部夏時間8:30は上記チャートのCST(米国中部時間)では7:30。

利回り高騰への警戒感からか前日比で0.5%ほど低下して取引を開始し、米財務省の発表を受けて更に利回りは低下して一時前日比1.5%近くまで低下。その後は方向感のはっきりしない動きが続き一時前日比0.75%程度まで下落幅を縮小する局面もあったが、最終的には前日比1.13%下落で取引を終えている。

ただこの日は利回りが低下したとはいえ、取引終了後にあった米連邦債務残高が40兆ドルを超えたという発表は反映されておらず、財務省の買戻し強化の効果もはっきりとはしていないため、今後の動向には不透明感が漂う。

ドル円為替

米財務省の発表があった米国東部夏時間8:30は上記チャートのGMT(英国標準時)+1では13:30。

米財務省の発表前は1ドル=159円台前半だったが、発表を受けて1ドル=158円台前半までドル安に。米財務省の発表により米長期国債の利回りが低下し日米金利差が縮小したことで、短期的にドル売り/円買いが優勢になった結果だろう。

ただ日本市場が本格化するとややドル高となり、これを書いている米国市場開場前の時点では更にドル高傾向となって1ドル=158.7円台まで値を戻している。

米大手銀行株

冒頭に挙げた様に自分ポートフォリオ主力銘柄であるシティグループ(C)は3.46%下落。その他米大手銀行株は1.6%台の下落となっている。

銀行のビジネスモデルは、短期金利で預金を集め、それを長期金利で企業や個人に貸し出すことで発生する長短金利差(利ざや)が主な収益源の一つであるため、今回の発表による長期金利の低下による利ざや(収益性)の縮小懸念が主たる下落要因だろう。そして相変わらずシティはこういった業界全体の下落局面での下げ幅が大きいのが気にかかる。


まとめ

以上、2026年8月19日の米財務省による長期国債買い戻し強化発表と市場の動きについてまとめてみた。

市場自体の動きはそれ程大きくは無かったのだが、冒頭に挙げた通り今回の米財務省発表による長期金利低下から、自分のポートフォリオの主力であるシティが利ザヤ低下の懸念で下落、そしてドル円為替も日米金利差縮小からドル安という悪材料が重なったことで、自分の資産はドル円ともに大きく減少してしまった。まずはこの日で米財務省の発表内容が株価、為替に反映されたのかに注目したい。連日の資産大幅減少とならなければいいのだが。

そして今月半ばのCPI結果時点で困難の度合いを深めていたFRBの金利政策が、より一層難しくなった点も忘れてはいけない。次回9月末のFOMCまでの主要経済指標がどうなるか、そして今月末のジャクソンホール会議でウォーシュFRB議長がどういった発言をするのか、それらに応じて市場がどう反応するのかを注視していきたい。

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