AT&Tがワーナーメディア分離後の配当等を発表(2022/2)

はじめに

昨日2022年2月1日は自分の所有株であるエクソン・モービル(XOM)の決算発表があり、その情報を整理しようと思っていたのだが、掲題のこのタイミングでは予期していないワーナーメディア分離に関する情報がAT&Tから発表された。

AT&T(T)株は現時点で株数を加味した直近の四半期受取配当が税引後約3000ドル、円ベースでは約33.5万円と自分のポートフォリオで一番多い配当であり、完全リタイアして配当金生活に入った現在は非常に重要な銘柄。

以下に発表内容を整理しておくことにする。


2022年2月1日のAT&Tのワーナーメディア分離アップデート

以下はAT&Tの企業サイトより引用・抜粋。

  • AT&T Board Approves Expected Post-Close Annual Dividend of $1.11 per share, Expected to be Among Highest Dividend Yields in Corporate America
    AT&Tの取締役会は、取引完了後に見込まれる1株あたり1.11ドルの年間配当を承認し、それはアメリカ企業の中で最も高い配当利回りの1つになると見込んでいます
  • All AT&T Shareholders to Receive an Estimated 0.24 shares of Warner Bros. Discovery (WBD) Common Stock for Each Share of AT&T Owned
    すべてのAT&Tの株主は、所有するAT&T1株あたりワーナーブラザースディスカバリー(WBD)普通株式を推定0.24株受け取ります
  • AT&T Shareholders to Own Approximately 71% of New WBD
    AT&Tの株主は新会社WBDの約71%を所有します

上記が詳細説明の前に書いてあった事柄で、主にこの3点についての発表となっている。

以下詳細を確認してみる。

配当

現在のAT&Tの年間配当は2.08ドル、発表された年間配当は1.11ドルで割合にすると46.6%の減少となる。

2021年5月時点では発表された数値の中間値を元に以下の様に分離後の配当を計算していた。

  • 配当原資:200億ドルx41.5%(中間値をとって)=83億ドル
  • 現在のAT&T発行株式数:71.4億株
  • 一株当たり年間配当:83億ドル/71.4億株=1.16ドル(四半期では0.29ドル)
  • 配当減割合:44.2%(中間値)

2021年12月にも配当の再確認をしておりその際は上限、下限も計算している。

  • 配当原資:200億ドルx40~43%=80億~86億ドル
  • AT&T発行株式数:71.4億株
  • 一株当たり年間配当:80~86億ドル/71.4億株=1.12~1.20ドル(四半期では0.28~0.30ドル)
  • 配当減割合:42.3~46.2%減(中間値44.2%)

つまり今回正式に発表された取引完了後のAT&T株年間配当(1.11ドル)は、自分がAT&Tより発表された数値を基にした計算の下限値(1.12ドル)を下回っていることになる

これは自分がAT&Tの企業サイトから発行株数を

71.4億株としている(2022年2月1日の情報でも)のに対し、今回の発表と同時にSEC(米証券取引委員会)に提出された資料では

72億株と発行株数の見積もりが違っていたため。確かに72億株で以前に発表された下限値で計算すると1.11ドルの年間配当となる。

AT&T株主に対する取引完了後の新会社(WBD)株

以前はAT&Tの株主に対して新会社(WBD)の株をどう割り当てるかについては明らかでなかったが、今回の発表でAT&Tの株主が新会社(WBD)の株をAT&T株1株につき0.24株付与されることが発表された。

以下はAT&T株100株を所有している場合のイメージ。

AT&Tと新会社(WBD)

AT&Tが新会社の71%、Discoveryが29%という点は以前に発表された内容と変わらない。

取引形態は、ワーナーメディアに対するAT&Tの持分100%をAT&Tの既存の株主に比例配分でスピンオフし、続いてワーナーメディアとディスカバリーを合併する取引で、2022年第2四半期に完了する予定。

今回の発表からspin offという言葉を使っており(以前はsplit/spin out)、AT&Tは株式交換(exchange of shares:SECへの提出資料の表現)ではなくspin offの方が市場の意に沿うとしている。

その他新たになった情報としては、新会社の名称はWarner Bros. Discovery, Inc.でティッカーシンボルはWBD。WBD普通株はNASDAQに上場する予定という点などだろうか。


まとめ

この発表を受けてAT&Tの株価は

4%を超える大幅下落。同日の米国市場は

前半低調だったものの後半にはプラスに転じて終わっていることを考えると、かなりの下落だったと言える。

これはやはり発表された分離後のAT&T年間配当が、以前に発表されていた範囲の下限値だったことに起因するのだろう。先日の四半期決算の際には

「3月のvirtual analyst eventでは決算発表ではあまり具体的に触れられていなかったワーナーメディア分離の詳細がはっきりして、その内容がプラスに働いてくれることを期待したい。期待外れで更なる下落を呼ぶ可能性もあるのだが・・・。」

と書いていたのだが、3月のvirtual analyst event前にワーナーメディア分離に関する情報がアップデートされ、配当が想定の下限という期待外れで下落してしまうという悪いパターンとなってしまった。

今回の発表に関しては勿論ガッカリしたのだが思ったほどショックは受けていない気がする。それはAT&Tの分離後配当は以前発表されていた数値の下限値であるものの、自分は数値の下限値ではなく半減することを既に配当金生活のキャッシュフローに反映していることが影響しているのかもしれない。キャッシュフローにおいて収入は少な目に、支出は多めに見積もるというスタンスで計画を立てて置いて本当に良かった。中間値を正としていたらもっとショックを受けて大急ぎでキャッシュフローの見直しをしていたことだろう。

最後になるが昨日の下落で配当減という悪材料を織り込んでしまって、これ以上のAT&T株価下落につながらないと良いのだがなあ。

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