ウォルトディズニー(DIS)2023年3Q決算(2023/8)

はじめに

2023年8月9日(水)の米国市場閉場後には自分の所有銘柄であるウォルト・ディズニー(DIS)の2023年第3四半期決算発表があった。

前回2023年5月の決算発表時には

「今後のウォルト・ディズニー株だが、ディズニー・プラス加入者数が予想より振るわなかったことや、先に挙げた脚本家のストやフロリダ州との対立が解決するまではパッとしないパフォーマンスが続きそうだ。」

「ディズニー・プラス加入者数以外はそれらの懸念材料が解決されれば株価上昇に寄与する可能性があるが、ディズニー・プラス加入者数はDTC事業の業績に大きな影響を及ぼすのでこれが改善されないとテーマパーク事業の好調が続いてもディズニー株は厳しい状況が続く気がする。」

と書いていたのだが今回の決算結果とその後の株価はどうだったのか。以下決算内容を確認し整理しておく。


ウォルト・ディズニー2023年第3四半期決算概要

以下は、ウォルト・ディズニーの企業サイトより引用・抜粋。

  • 2023年第3四半期の売上高(Revenues)は223億3000万ドル、前年同期は215億400万ドルで前年同期比4%の増加
  • 2023年第3四半期の特定項目を除く一株当たり利益(Diluted EPS excluding certain items)は1.03ドル、前年同期は1.09ドルで前年同期比6%の減少

事業部別業績

事業部ごとの業績は以下の通り。

【Disney Media and Entertainment Distribution】

Disney Media and Entertainment Distributionの売上は前年比1%減の140億400万ドル、営業利益/損益は前年比18%減の11億3400万ドル。

Linear Networksはケーブルテレビを含む放送事業が制作費増加や広告減少により売上/営業利益共に前年に比べて減少している。

DTCの売上は9%増加し、営業損失は前年から半減している。改善の主な理由として値上げとマーケティング費用削減を挙げている。

Direct-to-Consumerの中核をなすディズニー・プラス、ESPN+、Huluの2023年第3四半期末有料視聴者数と月平均利用額は以下の通り。

【有料視聴者数(単位100万)】

前四半期まではDisney+ Hotstarを加えたディズニー・プラスの合計加入数をTotal Disney+として提示していたが、今四半期からフォーマットが変わってTotal Disney+の提示はなし。

計算するとディズニー・プラスの加入者数は1億4610万。前四半期は1億5780万だったので1170万の減少となり、3四半期連続で加入者数が減少したことになる。これはクリケットに関する放映権を失ったインドのディズニー・プラス・ホットスターで解約が1250万あった他、今四半期も前四半期に続き北米で30万加入者数が減少している。

ESPN+は前四半期から10万減、Huluは前四半期から10万増。

【月平均利用額】

全体的には前四半期とほぼ変わらず。

【Disney Parks, Experiences and Products】

Disney Parks, Experiences and Productsの売上は83億2600万ドル、前年同期は73億9400万ドルで13%増加、営業利益は24億2500万ドル、前年同期は21億8600万ドルで11%増加。主に前年同期COVID-19のため3日間の営業だった上海ディズニーリゾートが今四半期は全期間開園していることが寄与している。

その他

その他決算発表及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。

  • 7月にRobert A. Iger最高経営責任者(CEO)の任期を2年延長して2026年までとすることを発表
  • コスト削減規模は2月に発表した55億ドルを上回る見通し
  • 第3四半期に動画配信サービスからの一部コンテンツ削除やライセンス契約の解除、従業員のレイオフ関連費用などを反映し、減損およびリストラ関連費用として26億5000万ドルを計上
  • ディズニー・プラス関連
    • ディズニー・プラスの広告なしプランを10月12日から従来の月額11ドルから14ドルに値上げ(27%)
    • 同様にHuluの広告なしプランも従来の月額15ドルから18ドルに値上げ(20%)
    • ディズニー・プラスとHuluの広告付きプランはそれぞれ月額8ドルで据え置き
    • 11月1日からカナダ及びヨーロッパの一部でディズニー・プラスの広告付きプランを開始
    • 9月6日から米国でディズニー・プラスとHuluをバンドルした広告なしのサービスを開始
  • 家族や友人とアカウントを共有する最良のオプションを模索中で、今年後半には共有ポリシーに関する追加条項を含む加入者契約の更新を開始し、2024年中に収益化を促進する戦略を展開予定

前四半期に懸念されていたフロリダ州におけるビジネスリスクについては、カンファレンスコールでも質疑含めて話題に上らず(解消したのかは不明)。

また脚本家及び俳優のストライキについてもそれ程話題にはならず、コンテンツ制作費がストライキの影響もあり従来の300億ドルから270億ドルに減少すると述べるにとどまっている。


市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2023年第3四半期の売上高(Revenues)は223億3000万ドル、市場予想の225億ドルを下回っている
  • 2023年第3四半期の特定項目を除く一株当たり利益(Diluted EPS excluding certain items)は1.03ドル、市場予想の0.95ドルを上回っている
  • 2023年第3四半期末のディズニー・プラス総加入者数は1億4610万、市場予想の1億5480万を下回っている

となっている。


まとめ

上記の様な決算内容を受けてウォルト・ディズニーの株価は

前日比4.88%上昇。同日の米国市場が

発表されたCPI結果を受けて開始直後は上昇したものの最終的にはほぼ前日と変わらずで終わったのと比べるとかなりの上昇幅となっている。

売上が市場予想に届かなかったことや米国のディズニー・プラス加入者数が前四半期に続き僅かながらも減少したことが懸念材料ではあるが、市場予想を上回るEPS、ディズニー・プラスの値上げ、共有アカウントへの施策計画などが好感されたのだろう。

決算後数日を含めた年初来のディズニー株は

前回5月の決算発表を受けて急落した後は低調な株価が続いていたのが、今回の決算前からやや上昇に転じて決算も無難に乗り切った。ところが決算後は市場の低迷もあってか再び下落傾向に転じてしまっており、年初来安値も視野に入ってきている(ディズニーの下落の明確な要因は不明)。

決算後のディズニー株の動きを見る限りでは今後もあまり期待は出来なさそうだ。脚本家/俳優のストライキが重しとなっている可能性もあるので、それが解決することでディズニーの株価も改善することを願いたい。

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