はじめに
2026年8月5日(水)には自分の所有しているクラフト・ハインツ(KHC)の2026年第2四半期決算発表があった。
前回2026年5月の決算は市場予想を上回る売上、EPSとなり2.47%の上昇。その際には
「今後のクラフト株だが、決算を受けて上昇したものの、その勢いは長く続かなかったことを考えるとあまり期待は出来ず、この程度の株価水準が続くことになりそうだ。今回決算で垣間見えた新CEOによる業績改善が続き、目に見える結果を出し続けてくれることを願いたい。」
とあまり期待しない旨を書いており、実際の株価もパッとしなかった印象がある。
今回のクラフト・ハインツの四半期決算そして株価はどうなったのか。以下決算内容を確認し整理しておく。
クラフト・ハインツ2026年第2四半期決算概要
以下はクラフト・ハインツの企業サイトより引用・抜粋。
- 2026年第2四半期の売上高(Net Sales)は62億6200万ドル、前年同期は63億5200万ドルで前年同期比1.4%減

- 2026年第2四半期のクラフト・ハインツ帰属の純利益(損失)(Net income/(loss) attributable to common shareholders)は54億6000万ドルの損失、前年同期は78億2400万ドルの損失
- 2026年第2四半期の希薄化後一株あたり利益(Diluted EPS)は4.60ドルの損失、前年同期は6.60ドルの損失
- 2026年第2四半期の一時項目を除く調整後一株あたり利益(Adjusted EPS)は0.56ドル、前年同期は0.69ドルで前年同期比18.8%減

2026年見通し
2026年通期の見通しについては以下の通り。

- Organic Net Sales(既存事業成長率):-2.0%~-0.5%(前回の-3.5%~-1.5%から上方修正)
- Constant Currency Adjusted Operating Income(恒常為替ベース調整後営業利益率):-18%~-16%(前回の-18%~-14%から下方修正)
- Adjusted EPS(調整後EPS):2.03~2.09ドル(前回の1.98~2.10ドルから範囲を縮小)
- フリーキャッシュフローコンバージョン:110%(前回は100%)
その他
その他決算及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。決算発表説明は事前準備資料で行われ、カンファレンスコールでは質疑応答のみ。
- 第2四半期総括
- 第1四半期に築いた勢いは第2四半期にも引き継がれ、予想を上回る業績を達成
- 売上高に関しては、米国リテール、グローバル・アウェイ・フロム・ホーム(家庭外消費)、新興国市場における予想以上の好調な業績に牽引され、幅広い分野で計画を上回る成果を上げた
- こうした好調な動きは、消費者が依然として「価値」や「手頃な価格」を重視する中、当社のブランドが引き続き消費者に支持されるよう、彼らのニーズに寄り添う取り組みを重ねてきた結果
- 市場シェアの回復も順調に進み、これまでの投資が功を奏していることを実感しており、こうした状況を踏まえ既存事業売上成長率の通期見通しを引き上げる
- この勢いをさらに加速させるため、2026年に向けた追加投資額を1億ドル増額し、約7億ドルとする
- ブランドへの投資は正しい判断であり、2027年に向けてより強固な基盤を築くものと確信している
- 強調しておきたいのは、今回の投資増額は現在の取り組みがうまくいっていないからではなく、むしろ順調に進んでいるからこそ、その勢いをさらに強めるために行うものだということ
- 投資を増額することに伴い、為替変動の影響を除いた調整後営業利益のガイダンス(業績予想)の幅を絞り込む
- 全体として、2026年に向けた事業計画を前倒しで進めており、目標に変更はない。我々は、販売数量の拡大を主導する、持続可能かつ収益性の高い成長軌道へと回帰するための事業投資を継続していく
- 第2四半期業績
- 予想を上回るペースで推移していることは心強いものの、依然として取り組むべき課題は残っている
- 既存事業売上高は1.3%減少
- 米国リテール部門の落ち込みが主因で、イースターのタイミングによる100ベーシスポイントのマイナス影響が含まれている
- このタイミングを調整して第1四半期と比較すると、実質的な業績は改善している
- 調整後売上総利益率は前年並みで、インフレの影響を相殺するのに寄与した高い生産性によるもの
- 恒常為替レートベースの調整後営業利益は18.4%減少
- 予定されていたマーケティング費用の増加や、変動報酬費用の増加を反映したもの
- これらの要因を総合した結果、当四半期の調整後EPSは0.56ドル
- 運転資本の改善に牽引されてフリー・キャッシュ・フローは前年比10%増加
- 健全なバランスシートと相まって、これにより、レバレッジを適切に管理しつつ、自信を持って配当を維持することが可能となる
- 投資の優先順位

- 改めて申し上げるが、当社は市場シェアの目標に基づき、投資の優先順位を定めている
- シェアの「維持(HOLD)」を目指すブランド
- その地位を守るための支出を行う
- シェアの「勝利(WIN)」を目指すブランド
- 選別的な投資を行う
- シェアの「大きな勝利(WIN BIG)」を収める好機にあるブランド
- それに見合った重点的な投資を行う
- シェアの「維持(HOLD)」を目指すブランド
- この投資により「HOLD(維持)」、「WIN(獲得)」、「WIN BIG(大幅な獲得)」という3つのポートフォリオ・グループすべてにおいて、昨年から改善傾向が見られ、市場シェアは2025年の21%から年初来で36%へと上昇している
- 改めて申し上げるが、当社は市場シェアの目標に基づき、投資の優先順位を定めている
- 2026年の事業計画について
- 我々の目標は、魅力的なフリー・キャッシュ・フローを継続的に創出しつつ、販売数量の拡大を主導する、持続可能かつ収益性の高いトップライン(売上高)の成長を実現すること
- そのために、米国事業の立て直しと、海外市場(リテールおよびアウェイ・フロム・ホームの両チャネル)における成長の加速に向けた明確な計画を策定し、実行に移している
- 米国事業については、2025年に行った投資を基盤とし、今年初めには製品力の強化、特定の価格戦略、マーケティング、営業、研究開発(R&D)に対して6億ドルの追加投資を発表した
- 上半期の業績が予想を上回ったことを受け、さらに1億ドルを追加投資する
- この1億ドルの追加投資は、好機を捉えた加速策としてマーケティングに集中投下し、中核ブランドのブランド・エクイティ構築やイノベーションの支援を図る
- 北米における事業運営体制の簡素化も継続しており、組織全体での説明責任の強化と意思決定の迅速化を推進している
- 海外事業では、成長の加速に向けて「ハインツ(Heinz)」ブランドと新興国市場における販売網の拡大が成長を牽引することになる
- 2026年下半期には、新興国市場における成長がさらに加速すると見込み
- 事業体制の変更
- 2026年7月1日付で、「新興国市場(Emerging Markets)」に含まれている欧州諸国は、「欧州・太平洋先進国地域(Europe and Pacific Developed Region)」へと移行する
- 本日の業績は従来の体制に基づくものだが、第3四半期からは新体制の下での報告を開始する
- 資本配分について
- 配当の維持と投資適格の信用格付けの維持という、極めて明確な優先順位に変わりはない
- 強固なバランスシートと安定したフリー・キャッシュ・フロー創出力を背景に、事業への投資や配当の継続、規律ある形での負債削減およびレバレッジ管理を行いながら、市場の変動にも柔軟に対応できる体制を整えている
- 手元資金を活用して6月に満期を迎えた19億ドルの負債を償還
- 直近では2027年満期の負債10億ドルについても繰り上げ償還を実施
- より長期かつクーポン(利率)の高い社債を対象とした米国での公開買付け(テンダー・オファー)の資金を調達するため、新たにユーロ建て社債を発行
- 支払利息の削減と実質的なレバレッジ低減(デレバレッジ)を実現し、大きな成果を収めた
- 2026年のネット・レバレッジ(純負債/EBITDA倍率)は3.3倍以下となる見込みであり、その後約2年で目標水準まで低下させる道筋も明確になっている
- 通期見通し
- Organic Net Sales(既存事業成長率)は-2.0%~-0.5%
- SNAP(低所得者向け食料支援プログラム)給付額の減少による約100ベーシスポイントのマイナス影響が織り込まれており、この点に変更はない
- Adjusted Gross Profit Margin(調整後売上総利益率)は50~10ベーシスポイントの低下(以前のガイダンスでは75~25ベーシスポイントの低下)
- 今回の見通し修正は、約4%の効率化目標、4%をわずかに上回るインフレ率、そして価格・製品・パッケージへの投資を反映したもの
- 当社のガイダンスは、インフレ率が第4四半期に向けてピークに達するという前提に基づいている
- 市場環境は依然として不透明だが、現時点での見通しとして2027年度通期のインフレ率は4%~5%の範囲になると予想
- これに備え、その影響を可能な限り相殺すべく、生産性向上に向けた取り組みを積極的に強化している
- Constant Currency Adjusted Operating Income(恒常為替ベース調整後営業利益率)は-18%~-16%(前回は-18%~-14%)
- 前述の通りマーケティング投資のさらなる拡大や、変動報酬の増加による影響が反映されており、これらはトップライン(売上高)見通しの改善によって一部相殺されている
- Adjusted EPS(調整後EPS)は2.03~2.09ドル(前回は1.98~2.10ドル)
- 約24.5%の実効税率が含まれる
- Organic Net Sales(既存事業成長率)は-2.0%~-0.5%
- 第3四半期見通し
- 既存事業売上高は2.5%減から1.0%減
- グローバル・アウェイ・フロム・ホーム部門は一桁台前半の成長見込み
- 新興国市場では、前年同期比での業績が第2四半期に比べて改善する見込み
- 米国リテール部門では、シェア動向の継続的な改善が見込まれるものの、第2四半期に見られた在庫の前倒し需要の影響により、第3四半期の連結業績には80ベーシス・ポイントのマイナス要因が生じると予想
- また、投資の拡大計画を反映した販促活動のタイミングによっても、マイナスの影響が生じる見込み
- 調整後営業利益については、主に投資をさらに拡大することから、25%減から23%減の範囲で減少すると予想
- 投資を拡大することに伴い、調整後売上総利益率が前年同期比で低下するという想定も織り込まれている
- 既存事業売上高は2.5%減から1.0%減
- 質疑応答
- 来年の予想インフレ率は4~5%の範囲であり、クラフトは生産性の向上によって可能な限りそれを相殺しようとするという説明の意図は
- 先ほどのコメントで伝えたかったのは、マクロ経済の不確実性や、我々が直面しているあらゆる課題にもかかわらず、来年のインフレ見通しは恐れるべきものではないということ
- こうした状況にもかかわらず、来年は管理可能な年で、売上原価の項目も含め、2027年に向けた当社の準備状況には満足している
- 消費動向について
- 全体として消費動向は改善傾向にある
- 第4四半期には消費動向を最高水準にまで高めて今年を締めくくり、確かな勢いを持って2027年を迎えたいと考えている
- 現時点で業績見通しを示したり2027年の話をするのは時期尚早だが、消費動向に関する勢いは確実に高まっている。予想よりも減少幅が抑えられたからといって、勝利を祝うような状況ではないが、事態は正しい方向に向かっている
- 参考までに申し上げると、7月の時点ですでに改善が見られており、段階的な改善が見込まれる
- 投資額の今後について
- 投資額は第3四半期と第4四半期はほぼ均等になる
- 2027年については、現時点で具体的なガイダンスをお示しするのは時期尚早だが、適切な投資水準を検討する上では、第4四半期の支出ペース(ランレート)を基準にするのではなく、2026年をベースイヤー(基準年)として捉えるべき
- 当社が(下半期に)追加の1億ドルを支出するのは、それが可能であり、強固な立場にあるからだと強調しておきたい
- 1億ドルを追加できるという事実は、2027年を、ボリューム主導型の持続可能なシェア成長を推進するための強力なマーケティング支出によって、まさに理想的な年と捉える上で非常に役立つ
- 明確にしておくが、投資が来年度に繰り越されることは想定していない。この2026年が基準となる
- ディズニーとの提携の詳細について(2026年7月に長期にわたる包括的な戦略的提携を発表した)
- ディズニーとのパートナーシップにはとても興奮している
- ウォルト・ディズニーとできること、彼らが持つ象徴的なキャラクター、共同ブランディング、マーチャンダイジング、ライセンス供与、パーク、クルーズライン、ホテルでの展開など、あらゆることを考えてみてほしい
- ディズニーとは本当にたくさんのエキサイティングなことができるだろう
- 彼らは素晴らしいパートナーであり、優れたマーケティング会社で、消費者にとって、彼らは非常に意味深く、感情に訴えかける存在
- ディズニーとのパートナーシップを通じて、そうした感情的なつながりを築けることを、私たちはとても楽しみにしている
- 来年の予想インフレ率は4~5%の範囲であり、クラフトは生産性の向上によって可能な限りそれを相殺しようとするという説明の意図は
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2026年第2四半期の売上高(Net Sales)は62億6200万ドル、市場予想の61億1000万ドルを上回っている
- 2026年第2四半期の一時項目を除く調整後一株あたり利益(Adjusted EPS)は0.56ドル、市場予想の0.53ドルを上回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算を受けてクラフト・ハインツ株は

前日比3.42%の下落。同日の米国市場が

SpaceXと半導体大手アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)の下落からハイテク銘柄中心の下げとなったが、それらと比べてもクラフト株の下げ幅はかなり大きい。
売上、EPSは市場予想を上回り、通期見通しの一部も上方修正したのだが、下半期に追加で1億ドルの投資コストが発生すること、それにより恒常為替ベース調整後営業利益率見通しが下方修正となったこと、投資効果が具体的に見えてこないことなどが嫌忌されたようだ。
決算後数日を含めた年初来のクラフト株の推移を市場(S&P 500)と比べると

前回2026年5月の決算でそこそこ(2%程度)上昇したが、その後しばらくは大きな上下動を繰り返したが前回決算前の株価水準まで下がるという冒頭に書いた印象の状況が6月中旬まで続く。しかしそこから自分の印象とは異なり6月下旬からは上昇傾向となって年初来高値を更新していたが、決算前にやや下落。そして迎えた今回決算でも下落となり、その後は下落傾向が数日続いたが、直近2営業日ではやや値を戻している。
今後のクラフト株だが、今回決算での下落とその後数日下落傾向となっていた(直近2営業日はやや回復)ことを考えると上昇傾向に転じるとは考えにくい。何とかこの年初と同等の株価水準を維持して、次回第3四半期決算では今回決算での株価下落の一因となった積極的な投資が効果を出してくれることを願いたい。