AT&T(T)の投資格付けアップデート(2023/8)

はじめに

昨日2023年8月29日(火)の米国市場は発表された米雇用動態調査(JOLTS)で求人件
数が約2年半ぶりの水準に減少したことで米連邦準備理事会(FRB)が9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で政策金利を据え置くとの見方が強まったこともあってか

3市場とも大型グロース株を中心に上昇。そんな中自分の所有しているAT&T株が

前日比で約4%上昇と市場の上昇幅を大きく上回っていた。調べてみると掲題のアナリストの投資格付けアップデートが影響した模様。以下そのアップデート内容について確認しておく。


CitigroupのアナリストMichael Rollins氏のAT&T投資格付けアップデート

投資格付け:Neutral/high riskからBuy/high riskに上方修正

目標株価:17ドルで変わらず

以下はMichael Rollins氏の投資格付けアップデートの要旨。AT&T個別ではなくAT&TとVerizon(VZ)についてのアップデート。

  • (鉛被覆ケーブルの)リスク可能性に関する通信会社の開示により、初期の反応や懸念は軽減されたが、潜在的な財務リスク(重大なものがあるとしても)については依然として不確実性があり完全な解決にはまだ数年かかる可能性はある
  • (鉛被覆ケーブルの)エクスポージャの可能性がある通信会社の時価総額は、最新の開示情報と当社の推定に基づく推定修復費用150億ドルに対し210億ドル減少している
  • 人員削減のレベルは落ち着いており、事業部門の業績は懸念されていたよりも好調のようだ
  • 業界のPostpaid電話の成長は、我々の事前の予想やコンセンサスを上回るペースで進んでおり、これは驚くべきことだ
  • コスト削減を達成しながら一連の値上げを推進することで将来のフリーキャッシュフローが改善すれば、純負債レバレッジの削減と配当支払いの支援につながるはず

まとめ

Michael Rollins氏は1月半程前に

続くAT&T(T)の投資格付け格下げによる下落(2023/7)

でAT&Tの投資格付けを下方修正(BuyからNeutral/high risk、目標株価22ドルから17ドル)していたのだが、今回は目標株価は据え置いたものの投資格付けを上方修正したことがAT&T株の上昇につながった模様。

ただ内容は通信業界全体(主にAT&TとVerizon)のものであり、AT&T個別に目新しい好材料があった訳ではない。そしてRollins氏はTモバイルUS(TMUS)を無線分野の最有力候補として維持するともしているので、AT&Tの今後が必ずしも安心できるわけではない。相変わらず「high risk」としているし。

過去3ヶ月のAT&T株の推移を見てみると

7月に入ってからの鉛被覆ケーブル報道、それを受けての投資格付け下方修正で大きく株価が下落し、その後情報開示等もあってやや持ち直したものの2023年第2四半期決算はさほど株価に影響せず、その後は市場の低迷もあって伸び悩む状況が続いていた。

昨日のアナリストアップデートが流れを変えるキッカケになってくれると有難いのだが、正直このアナリストの投資格付けアップデートだけではAT&T株が上昇に転じるのは期待薄だろう。恐らく2023年第3四半期決算前に講演などで開示されるであろうAT&T経営陣の最新情報アップデートで、このアナリストの見解を補完するような良い内容を提供してくれると良いのだが。

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