中国でのボーイング737NG型機墜落と今後の影響(2022/3)

はじめに

ロシアによるウクライナ侵攻が始まってからは、ウクライナ情勢の不透明さと日々の上下動の激しさもあって自分が所有している個別の米国株についての動向確認はあえて控えめにしてきたのだが、昨日はウクライナ情勢に必ずしも依存せずに株価へ影響を及ぼすと思われる掲題のボーイング機墜落事故があったので、現時点での情報を整理しておくことにする。


2022年3月21日の中国東方航空ボーイング737NG型機墜落事故まとめ

下記の情報は2022年3月22日時点のもので調査の進展に伴い変わる可能性あり。

【事故の概要】

  • 2022年3月21日、中国東方航空のボーイング737NG800型機が中国南部の広西チワン族自治区で墜落
  • 中国民用航空局(CACC)によると事故機には乗客123人、乗員9人の合わせて132人が搭乗

【事故機体】

  • 墜落したのはボーイング737NG800型機(NGはNext Generationの略)
  • これは2019年3月の墜落事故から長らく運行停止となったボーイング737MAX型機の前世代機(737MAX型機は第3世代、737NG型機は第2世代)
  • 737NG800型機は、2018年時点でボーイングがまとめたデータによると7000機を超える納入がされ、死亡者を出す事故は8件とジェット旅客機の中で有数の安全性があった

【墜落原因】

  • これを書いている2022年3月22日時点での墜落事故原因は未だ不明(推測は多々あり)
  • 飛行経路を追跡するサイト「フライトレーダー24」によると、高度2万9100フィートで航行していた事故機は15秒後に高度が9075フィートまで急激に下がっていた

2022年3月21日のボーイング株価

墜落事故のあった3月21日のボーイング株は

3.59%の下落。同日の米国市場は

いずれも下落しているがボーイングの下落幅は当然それよりもかなり大きい。

ただし開場後一時180ドル台、前日比6%超の下落となった局面がある事を考えるとよくこの程度で収まったとも言える。


まとめ

過去ひと月のボーイング株を振り返ってみると

ウクライナ情勢もあり一時170ドル近くまで落ち込んだ株価もここ数日はやや上向きとなっていただけにこの墜落事故の影響がどう出るかについては注意しておきたい。

また今回の事故が中国東方航空で発生したことが気に掛かる。というのも中国では未だ737MAX型機の運航停止が続いているのだが、2022年3月までには737MAX型機の中国への引き渡しが再開されるとしていたボーイングの見通しに影響を与える可能性がある点。

3月15日にロイター通信が業界筋の話として737MAXが3月14日にシアトルを出発して中国にある完成工場に向かったことを報道しており、中国での737MAXの運航がそろそろ再開されそうな気配もあったのだが、今回の事故でその見込みがズレる可能性も考えられる。

今回の事故機737NG型機には737MAX型機の墜落原因となった機器は搭載されていないとのことなので737MAX型機との関連性は薄いと思われるのだが、737MAXの運航停止が主要市場で最も長く続いている中国は厳格な安全要件を課しているのでボーイング全体の安全性を問題視する可能性もあるのではないだろうか。

そして同じくロイター通信は業界筋の話としてボーイングは既に中国の顧客向けに既に140機以上のMAXを製造済みとの報道もしているので、運航再開が延びる様なことがあると更にボーイングの業績に影響を与えることになる。

とはいえ先に述べた様に昨日のボーイング株は3.59%下落と自分が考えていたよりも下落幅が小さかったので上記の様な懸念は自分の考え過ぎなのかもしれない。

墜落事故の原因ははっきりしていないので今後ボーイング株及び中国での737MAX運航再開がどうなるかは不透明だが情報には気を付けておきたい。

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