はじめに
先月2021年9月の自分の米国株投資資産のまとめの中で、自分の所有銘柄であるブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMY)株が2021年9月のひと月で8月末の66.86ドルから9月末59.17ドルへと下がり
- マイナス11.5%
- ドルベースのマイナス約1.7万ドル(9月に1万ドル超のマイナスとなったのはBMYのみ)
と散々なパフォーマンスだった。
そしてこの状況は10月に入っても変わらず、昨日10月8日(金)のブリストル株の終値は
ダウ工業平均が0.03%、S&P 500が0.19%、NASDAQが0.51%いずれもマイナスではあったがそれを大幅に上回る下落となっている。
昨日のブリストルの株価下落は掲題の目標株価等がアナリストによりアップデートされたことに拠るものと思われるが、ここではそのアナリストの見解と併せてここ最近のブリストル株の低下原因について整理してまとめておくことにする。
2021年10月8日のBMY株アナリストアップデート
【BarclaysのアナリストCarter Gould氏のアップデート】
投資格付け:Equal-Weightで変わらず
目標株価:71ドルから68ドルに下方修正
【Morgan StanleyのアナリストMatthew Harrison氏のアップデート】
投資格付け:Equal-Weightで変わらず
目標株価:71ドルで変わらず
アップデートの具体的な内容については確認出来なかった。
最近のブリストル・マイヤーズ株の下落とその要因
過去3ヶ月のブリストル・マイヤーズ株と市場(S&P 500)の推移を見てみると以下の様になっている。
ブリストル株は8月下旬から右肩下がり。市場も9月は下落基調ではあったがブリストル株程ではない。特段ブリストル固有の報道があったとは記憶していないので、同業他社(ファイザー:PFE、メルク:MRK)とブリストル株を比較してみると
ファイザー(紫)は8月中旬まではCOVID-19ワクチンのおかげで上昇していたものの、やはり8月下旬からブリストルと同じ様に右肩下がり。
メルク(MRKは9月中旬まではブリストル株とほぼ同じパフォーマンスだったが、9月下旬にはやや上向きとなり10月1日は大幅に上昇している。10月1日の上昇はCOVID-19経口治療薬「モルヌピラビル」が「軽・中等症患者の入院・死亡リスクを50%低下させた」との治験結果を公表したため。
これらCOVID-19関連の影響を取り除いてみるとファイザーもメルクもブリストルと同じ様に低調なパフォーマンスだったと見ることができ、製薬全般が低調だったと言える。
その原因を考えてみると、
- 現在下院の民主党員はメディケア(高齢者向けの公的医療保険)が製薬会社と薬価を交渉できるようにする法案に取り組んでいて、これは製薬業界に10年間で推定5000億ドルの影響を与えるとされている
事が原因なのだろう。
まとめ
昨日2021年10月8日のブリストル株大幅下落はアナリストが目標株価を引き下げたことが原因で、ここ1~2ヶ月のブリストル株下落傾向は現在議論されている薬価に関する法案が要因だと思われる。
ただ今後10年間で年間収益の500億ドルが減少するというのはかなりの影響がある様に思える一方で、米製薬業界全体での2020年収益は5390億ドルであり割合では約9%の減収、そしてブリストルの収益のうち35%強は米国外と影響は限定的な可能性もある。
また3人の穏健な民主党員と共和党が現在の形で法案に反対票を投じているため、実際にこの法案がそのまま通過するかは確定ではない。
こういったことを考えると薬価に関する法案はこれ程製薬業界の株価に影響を及ぼさなくてもいい(下がり過ぎ)のではと個人的には思ったりもしているのだが、市場では製薬銘柄の下落傾向が続いているのが現実。
この下げが止まるには、どういう形であれ薬価に関する法案の結論が出ること、今月10月27日予定のブリストルの第3四半期決算をはじめとする製薬業界の決算が悪くないことといったきっかけが必要な気がする。早くこの下落傾向から回復に向かって欲しいものだが、今しばらくは我慢が必要かもしれない。