米FDAがタバコのニコチン規制案を撤回(2019/11)

はじめに

昨日はダウ工業平均、S&P 500共に下落していた(ダウが0.4%、S&Pが0.38%の下落)のだが、自分が所有しているアルトリア・グループ(MO)がその流れに反して3.24%も上昇していた。

市場が下落しているにもかかわらず、アルトリア株が上昇していたのには何らかの理由があると思い確認してみたところ、掲題のニュースが報じられたためのようだ。以下にその内容を整理しておくことにする。


実際の事象

アメリカ合衆国保健福祉省(The Department of Health and Human Services)が半年ごとの見直しで更新する当局が取り組んでいる規制予定一覧(Regulatory Agenda)から、「タバコのニコチン含有量を依存性が生じない水準まで引き下げる案(Tobacco Product Standard for Nicotine Level of Certain Tobacco Products; Request for Information )」が消えていた。

元々の案の概要は以下。

このRIN:0910-AH86というRegulation Identifier No.が11月19日までは、Regulatory Agendaとして掲載されていたらしいのだが、確認してみたところ確かに無くなっていた。以下はFDAに関連するAgendaで、上図の右下の方にあるAgenda Stage of Rulemaking: Proposed Rule Stageの最新情報。

これに関してFDA(Food and Drug Administration)のスポークスマンMichael Felberbaum氏は以下の様に述べている。

  •  “does not mean the agency does not consider them a priority or will not continue to work on their development.”
    (当局がそれらを優先事項と見なさない、または展開に取り組み続けないという意味ではない)
  • “The agency has focused on regulations that reflect its most immediate priorities,”
    (当局は当面の優先事項を反映した規制に焦点を合わせている)
  • “FDA continues to gather evidence and data on an ongoing basis regarding all tobacco products.”
    (FDAはすべてのタバコ製品に関する証拠とデータを継続的に収集している)

まとめ

この「タバコのニコチン含有量を依存性が生じない水準まで引き下げる案(Tobacco Product Standard for Nicotine Level of Certain Tobacco Products; Request for Information )」がそのまま遂行されていれば、タバコ販売の大幅な減少につながっただろうという推測は付く。

逆にこの案が取り下げられたことで、米国内でのタバコ販売の減少に多少なりとも歯止めがかかるだろう、という推測でアルトリア・グループの株価が上昇したのだろう。

確かに最近の米国のタバコに関する規制は、電子タバコに関連するものの優先度が高いのは各種報道からも明らかではあるので、それ以外のものに関しての優先度が下がるのは納得感はなくもない。

また最近一部の行政当局は、タバコ規制におけるFDAの役割に疑問を呈してもいる。ホワイトハウス国内政策評議会のトップであるジョー・グローガンは、今月初め、FDAのタバコ規制を「時間の大きな無駄」と呼び、FDAは医薬品に焦点を当てるべきだとも述べている。

タバコに関する規制は米国に限らず、今後も引き続き議論されていくだろう。その結果がどうなるのかは全く想像ができないのだが、アルトリア及びフィリップ・モリスの(少数ではあるが)株主である自分としては、その状況を把握し投資に活かす様に心掛けたい。

こういう状況の不安定さを踏まえると、長期投資/バイアンドホールドというスタンスでは今年6月にアルトリア株を追加購入したのは良くない選択だったのかもしれない。救いなのは、今のところは追加購入した際の株価と昨日の上昇後の株価がほぼ変わっていない点だろうか。

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