対中追加関税とJCペニーのペニーストック化(2019/5)

はじめに

長らく低調が続いている自分の所有株である、米小売業のJCペニー(JCP)の株価が遂に1ドルを割ってしまった。

株価が1ドルを割ったので、いわゆる「ペニーストック(1株当たり1ドル未満で取引される株式)」と呼ばれる状態になったという事になる。

元々低調ではあったが、その契機となった対中追加関税に関する米消費関連各社のコメントをロイターがまとめていたので、併せて整理しておく。


自分が所有してからのJCペニーの株価

これまでのJCペニーの購入履歴は以下の通り。

2003年3月:購入金額189.1ドル。取得株数10株。取得価額@18.91ドル

2013年3月:購入金額11,266.85ドル。取得株数740株。取得価額@15.225ドル

合計の購入金額は11,456ドル、総取得株数は750株。これまでの平均取得価額は@15.2746ドル。そこからのJCP株を追加購入はしていない理由については、以前ナンピン買いと割安/値頃感の違いとしてまとめている。

購入してから現在のまでのJCペニーのチャートは以下の様になっている。

何より恐ろしいのは一時期株価が70ドルを超えていた点だろうか。それが様々な要因により2014年以降は10ドルを割りこみ、下落のスピードを速めて遂に1ドルを割ってしまった。これまでは1ドルを割ることは無かったのだが…。

いずれにせよ、自分の中では2013年3月に購入してからは塩漬け状態。1万ドル超の投資が10分の1以下の数百ドルの価値となってしまったが、現在はほぼ諦めている。このペニーストック化した状態で短期売買を繰り返して利ザヤを狙うというやり方もあるのかもしれないが、自分の長期投資/バイアンドホールドというスタイルではないし、自分にその才覚が無いことは承知しているので、その選択はなし。

ちなみに自分の所有銘柄で1ドルを割ったのはこれで2回目(だと思う)。最初は投資を始めた2001年に購入したエクソダス・コミュニケーションズ(EXDSQ)。これはあっという間に米破産法の対象で無価値証券になってしまった銘柄。いわゆるITバブル崩壊の走りの時期だったなあ。

その他にはシティグループ(C)も世界金融危機の際に、1ドルを割り込む寸前(確か時間内では1ドルを割った気もする)まで行ったがそこから何とか持ち直している。

JCペニーは恐らくエクソダス・コミュニケーションズのパターンに近いのだろうなあ…。


対中追加関税による米消費関連各社への影響

JCペニー株が1ドルを割る要因の一つとなった、2019年5月のアメリカの対中追加関税だが、表題の記事をロイターが2019年5月23日にまとめているので、以下引用する。

米トランプ政権による中国製品への輸入関税引き上げを受け、多くの米消費関連企業が業績に悪影響が及ぶとの懸念を示した。

米政府は先週、中国からの輸入品2000億ドル相当に対する関税率を10%から25%に引き上げた。トランプ大統領は、加えて3000億ドル相当の製品についても追加関税をちらつかせており、発動すれば中国から米国への輸入品ほぼ全てが対象となる。

各社のコメントをまとめた。

◎家電量販ベスト・バイ(BBY)

ハバート・ジョリー最高経営責任者(CEO)は「25%の関税により価格が上昇し、米消費者に影響が及ぶだろう(”The impact of tariffs at 25% (proposed to be enacted) will result in price increases and will be felt by U.S. consumers,”)」と述べた。

◎ホームセンターのホーム・デポ(HD)

同社は2018年に関税により10億ドルの影響を受けているが、足元で発表された追加関税で製品の年間コストがさらに10億ドル増える見通し。

エドワード・デッカー執行バイスプレジデントは、新たな関税の影響は総売上高の1%に満たないため、対処可能との見方を示した。

◎百貨店のJCペニー(JCP)

ジル・ソルタウCEOは、全輸入品を対象とする追加関税が発動すれば「より重大な影響(a more meaningful impact)」を受けるとの見通しを示した。

◎百貨店のコールズ(KSS)

主に関税の影響を受けるのは中国から輸入している商品やアクセサリーの事業で、衣料と靴は今のところ影響を受けていない。中国由来の商品は全体の20%程度。

◎小売店のウォルマート(WMT)

ブレット・ビッグスCEOは先週ロイターのインタビューで、「関税引き上げにより顧客向けの価格が上昇するだろう(”Higher tariffs will lead to higher prices for customers,”)」とした上で、顧客への影響を最小限にとどめるよう努力すると述べた。

◎百貨店のメーシーズ(M)

ジェフリー・ジェネットCEOは22日の投資家向け電話会議で、10日に発動された追加関税は「特に家具事業にある程度影響(have some impact, particularly on our furniture business)」すると説明。ただ、その影響を和らげることが可能と考えていると述べた。

◎衣料小売りのラルフ・ローレン(RL)

ジェーン・ニールセン最高財務責任者(CFO)は先週の投資家向け電話会議で「現在までに発動した関税による影響は限られている(”The tariffs enacted to date have a limited impact on our business,”)」と説明。ただ、複数のシナリオを想定し、長期的な影響を和らげるためサプライチェーンの多様化を進めているとした。

◎食品のデルモンテ・フーズ

グレッグ・ロングストリートCEOは先週ロイターに対し「関税だけの問題ではない。輸送コストも労働コストも上がっている(”It’s not just tariffs. Transportation costs are up, labor costs are up,”)。インフレ的な環境であり、多くの物で価格に転嫁せざるを得なくなるだろう”It’s an inflationary environment. A lot of that’s going to have to be passed on. The consumer is going to have to pay more for a lot of critical goods.”」と述べた。


まとめ

JCペニーに関しては1ドル割れになってしまい、今までの下落振りから心構えはしていたが、無価値証券化がより現実的になってきた、というのが自分の認識。1万ドル超の損失は痛いのだが、ここは素直に諦めるしかないだろう。それ以上の追加投資をしなかっただけマシ、と考えて自分を納得させるしかない。

それよりも米消費関連企業のコメントが、各社それぞれで興味深く色々考えさせられる。以下は2019年5月のダウ工業平均のチャート。

今のところ対中追加関税発動からの米国市場は上下動を繰り返して方向感がまだ見えない気がする。実際に経済への影響が現れ、株価に反映されるにはもう少し時間がかかるのだろう。後1ヶ月すると自分の米国株購入タイミングになるので、引き続き注意が必要。ただ、今の状況でどの株を購入するのが良いのか、非常に悩ましい。6月後半の予定している購入までにも、う少し状況が明瞭になると良いのだが。

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