はじめに
2024年11月5日(火)には自分の所有銘柄であるデュポン・ドゥ・ヌムール(DD)の2024年第3四半期決算が発表された。
前回7月の決算時には市場を上回る売上、EPSに加えて、通期見通しを引き上げたことで4%を超える上昇となったが、
「今後のデュポン株だが決算後8月の株価は市場と同様振るわないものの、決算自体は良かったことを考えるとある程度底堅い動きが続きそうな気はする。大幅上昇は望めないだろうが、市場が下落傾向になってもこの株価水準を維持してもらいたいものだ。」
と書いていた。
今回の決算結果及びそれを受けてのデュポン株はどうなったのか。以下決算内容と株価の動きを確認し整理しておく。
デュポン・ドゥ・ヌムール2024年第3四半期決算概要
以下の情報はデュポン・ドゥ・ヌムールの企業サイトより引用・抜粋。
- 2024年第3四半期の総売上(Net Sales)は31億9200万ドル、前年同期は30億5800万ドルで前年同期比4%増
- 2024年第3四半期のGAAPベース継続事業における希薄化後1株当たり利益(GAAP EPS from continuing operations)は1.13ドル、前年同期は0.62ドルで前年同期比82%増
- 2024年第3四半期のNon-GAAPベース調整後1株当たり利益(Adjusted EPS)は1.18ドル、前年同期は0.92ドルで28%増
事業部別業績
【Electronics & Industrial部門】
売上は前年同期比13%増の15億5100万ドル。事業の買収・売却や為替の影響を除いた既存事業売上高(Oragnic Sales)は10%増。営業EBITDAは前年比22%増、営業EBITDAマージンは前年比2.1%増。
【Water & Protection部門】
売上は前年同期比2%減の13億8200万ドル。事業の買収・売却や為替の影響を除いた既存事業売上高(Oragnic Sales)も2%減。営業EBITDAは前年比1%増、営業EBITDAマージンは前年比0.7%増。
2024年見通し
2024年通期及び2024年第4四半期の見通しは以下の通り。
【2024年通期】
- 総売上(Net Sales):~123億6500万ドル(前回の124億ドル~125億ドルから上方修正)
- 営業EBITDA(Operating EBITDA):~31億2500万ドル(前回の30億6000万ドル~31億1000万ドルから上方修正)
- 調整後一株当たり利益(Adjusted EPS):~3.90ドル(前回の3.70~3.80ドルから上方修正)
【2024年第4四半期】
- 総売上(Net Sales):~30億7000万ドル
- 営業EBITDA(Operating EBITDA):~7億9000万ドル
- 調整後一株当たり利益(Adjusted EPS):~0.98ドル
その他
その決算発表資料及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。
- 8月末に大手医療機器会社Donatelle Plasticsの買収を完了
- 2024年第3四半期の業績は、すべての主要な財務指標が前期比で改善し、好調な業績が続いていることを反映している
- Electronics & Industrial部門は先進的なチップとAI技術の需要に牽引され、2桁の売上成長を遂げた
- Water & Protection部門は価格圧力により売上高が前年比2%減少したが、医療用パッケージングと中国での販売数量安定化において改善の兆しを見せている
- Electronics & Industrial部門とWater & Protection部門の分離は5月に発表した18~24ヶ月の予定よりも早い時期に完了する見込み
- 2025年第1四半期末までに各社の取締役および主要な経営幹部の任命を発表できる予定
- 2024年第4四半期はElectronics & Industrial部門での通常の季節的要因による減少が見込まれるが、これまでの好調な業績やWater & Protection部門の回復が見込まれるため通期見通しを引き上げた
- 質疑応答
- 分離時期に関する質問
- 順調に物事が進めば2025年12月に完了
- 現金投資に関する質問
- 設備投資額は売上高の5%未満に抑え、投資水準を慎重に維持する計画
- 今年度および来年度には、多額の設備投資や追加の自社株買いは予定されていない
- 現金は主に分離に関する費用に使用されるだろう
- 中国の状況について
- 明らかに最悪の時期は過ぎたと思う。第1四半期から第2四半期にかけて連続的に改善が見られ、第3四半期に入っても再び改善が見られた。第4四半期に入っても継続的に改善が続くと予想している
- 分離時期に関する質問
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2024年第3四半期の総売上(Net Sales)は31億9200万ドル、市場予想の32億400万ドルを下回っている
- 2024年第3四半期のNon-GAAPベース調整後一株当たり利益(Adjusted EPS)は1.18ドル、市場予想の1.03ドルを上回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算を受けてデュポン・ドゥ・ヌムールの株価は
前日比4.67%の上昇。同日の米国市場が
いずれも1%を超える上昇となった事を差し引いてもデュポンの上昇幅は大きい。売上高は市場予想に届かなかったもののEPSは予想を上回り、好調なAI需要や中国市場の改善を踏まえて通期見通しを引き上げたことが市場に評価されたのだろう。
決算後数日を含めた年初来のデュポン株の動きを市場(S&P 500)と比べてみると
年初に2023年第4四半期の暫定決算を本決算に先立って発表し、その内容が低調だったことから約14%の急落となったがその後は徐々に株価を回復し、5月の2024年第1四半期決算では想定よりも回復が早そうなことが好感され8%の上昇、その後はほぼ横ばいの時期が続き9月半ばから上昇したものの長くは続かず10月に入ってからは下落傾向が続いていた中、今回の決算を受けて上昇。しかし決算から1週間が経った現在の株価は第3四半期決算発表前の水準に戻ってしまっている。デュポンの決算後、トランプ氏が大統領選に勝利した影響なのだろうか。
今後のデュポン株だが好調な第3四半期決算を受けて株価は上昇したもののその後は市場と同様伸び悩んでいる事を考えると、市場の流れに反して上昇する程の勢いは無さそうだ。トランプ氏が大統領選に勝利したことで今後の関税政策を睨んだ影響が懸念されるが、何とかこの水準の株価は維持し、年初の株価を割るような事態は避けて欲しい。