2024年3月発表の米消費者物価指数と市場(2024/3)

はじめに

2024年3月20、21日にはFOMC会合が行われたのだが、その政策決定における重要な判断材料となる米消費者物価指数(CPI)の3月発表分を認識していないことに気が付いた。

確認してみると米国時間2024年3月12日(火)に2024年2月の米消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)が米労働統計局から発表されていたのを見落としていた。

自分が認識していなかったということは市場に与えた影響がそれ程大きくなかったものと思われるが、遅ればせながら以下に簡単に整理しておく。


2024年3月12日米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)発表の2024年2月消費者物価指数(CPI)

以下の情報は米労働省労働統計局の発表資料より引用・抜粋。

  • 2024年2月の前月比消費者物価指数(季節要因調整済)は0.4%の上昇、市場予想も0.4%の上昇

  • 2024年2月の前年比消費者物価指数(季節要因調整済)は全品目では3.2%上昇、市場予想は3.1%の上昇。変動の大きい食品及びエネルギーを除いたいわゆるコアCPIは前年比3.8%上昇、市場予想は3.7%の上昇、前月比では0.4%の上昇、市場予想は0.3%の上昇

  • 家庭用食品(Food at home)は前年比1.0%上昇。2024年1月は前年比1.2%上昇
  • 電気代(Electricity)は前年比3.6%上昇。2024年1月は前年比3.8%上昇
  • 住居費(Shelter、主に家賃。サービス分野で最大の構成要素でCPI全体の約3分の2を占める)は前年比5.7%上昇。2024年1月は6.0%上昇

労働統計局の発表資料によれば、総合CPIでは前月比での上昇のうち60%余りを住居費とガソリンが占めている。

そしてブルームバーグの算出によると、住宅とエネルギーを除いたサービス価格は前月比0.5%上昇と、伸びは前月の0.8%から鈍化しているとのこと。


同日の市場の動き

米国株式市場

今回のCPI結果は市場予想を上回る伸びとなったものの米国株式市場は何故か上昇。

オラクル(ORCL)が前日時間外後の決算発表でエヌビディアと約1週間の間に共同発表を行う予定だと明らかにしたことを受けて11.7%、エヌビディア(NVDA)が7.2%上昇しているのにS&P 500、NASDAQ総合が引っ張られ、コアCPIも市場予想を上回ったものの減少傾向が続いていることが好感されたのだろう。

米国10年債

こちらは今回のCPI結果を受けて、2024年の利下げ時期が遅れる可能性から利回りが上昇している。

ドル円為替

CPIの発表があった米EST8:30は上記ドル円チャートのBST12:30。そのタイミングでドル高に振れたもののその後は発表前と同水準まで値を戻している。


まとめ

前回のCPIではやはり市場予想を上回る伸びを示して株式市場は下落、国債利回りは上昇、ドル円為替はドル高へと大きく変動したのと今回は大きく異なり、今回のCPIは市場予想を上回る伸びを示したものの、株式市場は上昇、国債利回りは上昇、ドル円為替はドル高となったものの時間経過と共にCPI前水準と変わらずと判断に苦しむ結果に終わっている。

この時点では6月の米利下げ開始がやや後退したようだが、冒頭に書いた通りこれを書いている現在では既に3月のFOMC会合を終えているので今後の見通しについてはそちらを参照。このCPI結果がFOMCにどう判断されたのだろうか。

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