デュポン(DD)2024年第2四半期決算(2024/7)

はじめに

2024年7月31日(水)には自分の所有銘柄であるデュポン・ドゥ・ヌムール(DD)の2024年第2四半期決算が発表された。

前回決算時には予想よりも在庫調整、中国の低迷が早く回復したこともあり8%を超える上昇となったが、

「今後のデュポン株だが、決算内容からするとまずまずの株価推移が期待できそう。懸念材料としては次回決算時に今回の決算発表で言及していた第2四半期後半の回復が見られるかどうか。それが期待外れに終わると再びの急落もある点は認識しておいた方がいいだろう。」

と書いており、今回の決算で更なる回復が出来たのかが重要としていた。実際の決算結果及びそれを受けてのデュポン株はどうなったのか。以下決算内容と株価の動きを確認し整理しておく。


デュポン・ドゥ・ヌムール2024年第2四半期決算概要

以下の情報はデュポン・ドゥ・ヌムールの企業サイトより引用・抜粋。

  • 2024年第2四半期の総売上(Net Sales)は31億7100万ドル、前年同期は30億9400万ドルで前年同期比2%増
  • 2024年第2四半期のGAAPベース継続事業における希薄化後1株当たり利益(GAAP EPS from continuing operations)は0.40ドル、前年同期は0.55ドルで前年同期比27%減
  • 2024年第2四半期のNon-GAAPベース調整後1株当たり利益(Adjusted EPS)は0.97ドル、前年同期は0.85ドルで14%増

事業部別業績

【Electronics & Industrial部門】

売上は前年同期比15%増の15億800万ドル。事業の買収・売却や為替の影響を除いた既存事業売上高(Oragnic Sales)は8%増。営業EBITDAは前年比20%増、営業EBITDAマージンは前年比1.2%増。

【Water & Protection部門】

売上は前年同期比7%減の13億9100万ドル。事業の買収・売却や為替の影響を除いた既存事業売上高(Oragnic Sales)は6%減。営業EBITDAは前年比7%減、営業EBITDAマージンは前年比0.1%増。

2024年見通し

2024年通期及び2024年第3四半期の見通しは以下の通り。

【2024年通期】

  • 総売上(Net Sales):124億ドル~125億ドル(前回の121億ドル~124億ドルから上方修正)
  • 営業EBITDA(Operating EBITDA):30億6000万ドル~31億1000万ドル(前回の29億ドル~30億5000万ドルから上方修正)
  • 調整後一株当たり利益(Adjusted EPS):3.70~3.80ドル(前回の3.45~3.75ドルから上方修正)

【2024年第3四半期】

  • 総売上(Net Sales):~32億ドル
  • 営業EBITDA(Operating EBITDA):~8億1500万ドル
  • 調整後一株当たり利益(Adjusted EPS):~1.03ドル

その他

その決算発表資料及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。

  • 2024年5月22日に経営陣の変更を発表し、6月1日から有効
    • 最高経営責任者(CEO):Edward D. Breen氏からLori D. Koch氏
    • 最高財務責任者(CFO):Lori D. Koch氏からAntonella B. Franzen氏
    • Edward D. Breen氏は常勤取締役会長へ
  • 2024年5月22日に以下の3つの異なる上場企業に分割する計画を発表。分割は18~24ヶ月以内に完了する予定
    • 新デュポン:ウォーターソリューションを除くウォーター&プロテクション部門の既存事業、インダストリアルソリューション部門の大半の事業(ヘルスケアを含む)、およびコーポレート部門の事業(接着剤を含む)
    • エレクトロニクス:半導体ソリューションや先進エレクトロニクス製品
    • ウォーター:最先端のろ過技術を備えた総合的なウォーターソリューションプロバイダー
    • 現在優先課題としているのは、エレクトロニクスとウォーターの経営幹部の任命と、取締役会の任命を含むコーポレートガバナンス面の完了。現在2025年初頭の発表を予定している
  • 2024年6月25日に大手医療機器会社Donatelle Plasticsの買収を発表し、7月29日に買収を完了
    • 買収条件は非開示
  • 第2四半期の結果は明らかに有望であり、数量の回復が財務改善の重要な原動力となった
  • また生産性と業務の卓越性を推進するという継続的な取り組みと、昨年11月に発表した再編措置による継続的なコスト削減も、売上高の増加、利益率の拡大、キャッシュフローの改善に貢献している
  • W&Pの第2四半期の売上高は14億ドルで前年同期比7%減少したが、前四半期比20%以上の増加が見られ、回復が進行中であることが確認された
  • 3社分割後のPFAS訴訟の責任についての質問
    • コルテバ(CTVA)との契約に基づき、過去12ヶ月のEBITDAに応じてPFAS負債の比例配分を引き受けることになる
    • 問題となっている消火泡剤におけるコルテバの曝露は3%~7%の範囲であり、水関連の訴訟を和解したときと同じように計算すると、我々の責任は3%~7%の3分の1程度の枠に当てはめることが出来る
  • Donatelleの買収効果についての質問
    • 年間売上で7500万ドルの貢献を見込んでいる
    • 1年前に買収したSpectrumが持っていない大手医療機器OEMとの関係やツールからクロスセリングのチャンスがある

市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2024年第2四半期の総売上(Net Sales)は31億7100万ドル、市場予想の30億5000万ドルを上回っている
  • 2024年第2四半期のNon-GAAPベース調整後一株当たり利益(Adjusted EPS)は0.97ドル、市場予想の0.85ドルを上回っている

となっている。


まとめ

上記の様な決算を受けてデュポン・ドゥ・ヌムールの株価は

前日比4.09%の上昇。同日の米国市場が

米半導体大手のアドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)が決算で今年通期の人工知能(AI)向け半導体の売上高見通しを上方修正したことを受けて、大型ハイテク銘柄が上昇したためS&P 500、NASDAQ総合が大きく上昇し、ダウ工業平均も前日比プラスで終えていることを考えてもかなり評価された様だ。ちなみに同日FOMC会合もあったのだが、こちらによる変動は少なかった模様。

市場を上回る売上、EPSに加えて、通期見通しを引き上げたことが市場に好感されたのだろう。

決算後数日を含めた年初来のデュポン株の推移を市場(S&P 500)と比べてみると

5月頭の第1四半期決算での大幅上昇を受けて冒頭に挙げた様にそこそこ上昇してくれるのかと思ったのだが、実際には市場(S&P 500)の上昇に比べるとほぼ変わらずの株価化推移。それでも7月半ばからの市場下落局面でもほぼ変わらずの動きだったことを思うと底堅い動きだったとも言える。そして決算で上昇したが、8月に入ってからの市場下落には抗えずに株価は年初来とほぼ変わらずとなっている。

今後のデュポン株だが決算後8月の株価は市場と同様振るわないものの、決算自体は良かったことを考えるとある程度底堅い動きが続きそうな気はする。大幅上昇は望めないだろうが、市場が下落傾向になってもこの株価水準を維持してもらいたいものだ。

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