はじめに
OPECプラスは2024年6月の閣僚級会合で主要8ヶ国による自主減産(日量220万バレル)を2024年9月末まで延長する合意をしていた(これとは別にOPECプラスによる協調減産は日量366万バレルで2025年1月末まで延長に合意)のだが、その期限まで1ヶ月となり以降の方針に注目が集まっていた。
そんな中で、9月5日に自主減産を行っていた国々がバーチャル会議を行い、10月以降の自主減産について合意に達している。以下、その合意内容について整理/確認しておく。
2024年9月5日合意発表のOPECプラス自主減産アップデート
【2024年6月の閣僚級会合以降バーチャル会議前の動き】
- 2024年8月5日の共同閣僚監視委員会会(JMMC:Joint Ministerial Monitoring Committee)では、6月の閣僚級会合で合意した減産方針を維持することを確認
- 自主減産を実施する加盟国は市場の状況次第で、自主減産の段階的な縮小は一時停止もしくは撤回される可能性があることも再確認
- 2024年8月30日にロイター通信がOPECの複数関係筋からの情報として、日量220万バレルの自主減産を解除する計画の一環で10月から予定通り日量18万バレルの増産を進める予定と報道
- 2024年9月4日にブルームバーグが、複数の参加国代表が10月に予定する生産引き上げを遅らせる可能性について協議していると報道
【今回会議の合意内容】
- 日量220万バレルの自主的追加減産について11月末まで2ヶ月延長して実施することで合意したと発表
- 8ヶ国の自主減産は2024年12月から月単位で段階的に廃止される予定
- この生産調整は必要に応じて一時停止、または撤回するという柔軟性を持って実施する
【今後のOPECプラス会合予定】
- OPECプラス共同閣僚監視委員会(JMMC)は10月2日開催予定
- OPECプラス級閣僚会合(OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting)は12月1日に開催予定
まとめ
6月の閣僚級会合での決定及び8月の共同閣僚監視委員会での合意/確認と異なり、今回OPECプラス主要8ヶ国による自主減産が11月末まで2ヶ月延長となった。
過去半年のニューヨーク原油先物価格の推移を見てみると
6月に合意した自主減産はその期間が9月末まででその後段階的に縮小としたことが合意発表当初は嫌忌されて原油先物価格は下がったものの、その後は改めて評価されたのか上昇に転じ1バレル=80ドルを回復した。しかしそこからはアメリカの経済減速懸念や非OPECプラス加盟国であるアメリカの生産拡大による供給過多の懸念などから大きな上下動を繰り返しつつ下落傾向となり直近では年初来最安値を更新して1バレル=70ドルを割り込んでいる。
今回の自主減産延長合意は上述の様に6月の時とは状況が異なり、米国での利下げを睨んだ経済減速の懸念、それに付随する原油需要超過も見込まれることから原油価格の上昇余地は限定的な気がしている。そうなると自分の所有しているエクソン・モービル(XOM)の株価にも悪影響を及ぼす可能性がある。長期的に見れば原油価格が安くなればエネルギーに係る流通コストが低下し、その他企業には概ね好材料となるだろうからポートフォリオ全体としては必ずしも悪いことではないのだが、原油価格低下の効果が各企業の業績に表れるまでにはある程度時間がかかるだろうから、急速な原油価格の低下は回避してもらいたいものだ。ドル円為替と同様に。