ウォルトディズニー(DIS)2023年1Q決算(2023/2)

はじめに

2023年2月8日(水)の米国市場閉場後には自分の所有銘柄であるウォルト・ディズニー(DIS)の2023年第1四半期決算発表があった。

前回の第4四半期決算を受けて10%以上の大幅下落をし、

「今後のディズニー株だが、米国では12月8日から始まる予定の広告付きディズニー・プラス動画配信がどの程度業績に貢献するかに注目したい。これ次第では2024年のディズニー・プラス黒字化も現実的になる可能性はある。逆にこれも期待外れに終わると、一層の株価下落が起こる可能性もあると思われる。」

と書いていたが今回の決算結果とその後の株価はどうだったのか。以下決算内容を確認し整理しておく。


ウォルト・ディズニー2023年第1四半期決算概要

以下は、ウォルト・ディズニーの企業サイトより引用・抜粋。

  • 2023年第1四半期の売上高(Revenues)は235億1200万ドル、前年同期は218億1900万ドルで前年同期比8%の増加
  • 2023年第1四半期の特定項目を除く一株当たり利益(Diluted EPS excluding certain items)は0.99ドル、前年同期は1.06ドルで前年同期比7%の減少

事業部別業績

事業部ごとの業績は以下の通り。

【Disney Media and Entertainment Distribution】

Disney Media and Entertainment Distributionの売上は前年比1%増の147億7600万ドル、営業利益/損益は前年の8億800万ドルの利益に対して1000万ドルの損失。

Linear Networksは国内は堅調だったものの、国外が広告費が振るわなかったことと為替の悪影響を受けたために前年に比べて売上、利益が減少している。

DTCの売上は13%増加しているものの、営業損失は前年から更に拡大している。営業損失の理由は主に番組制作、インフラ投資コストが嵩んだため。

Content Sales/Licensing and Otherの営業損失が拡大しているのはTV/SVOD等の配信減少、間接費の増加を理由として挙げている。

Direct-to-Consumerの中核をなすディズニー・プラス、ESPN+、Huluの2023年第1四半期末有料視聴者数と月平均利用額は以下の通り。

【有料視聴者数(単位100万)】

ディズニー・プラスの加入者数は1億6180万。前四半期は1億6420万だったので240万の減少となり、ディズニー・プラス開始後初めて加入者数が減少した。これは主にクリケットに関する放映権を失ったインドのディズニー・プラス・ホットスターで解約が380万あったため。

ESPN+は前四半期から60万増、Huluは前半期から80万増。

【月平均利用額】

平均利用額が前年比で減少しているサービスは、他のサービスと抱き合わせて値引きされたプランを契約する顧客が増えたことや為替の悪影響を理由として挙げている。

【Disney Parks, Experiences and Products】

Disney Parks, Experiences and Productsの売上は87億3600万ドル、前年同期は72億3400万ドルで21%増加、営業利益は30億5300万ドル、前年同期は24億5000万ドルで25%増加。上海での閉鎖やインフレによりコスト増があったものの、来園者の増加や園内での支出増加が寄与している。

その他

その他決算発表及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。

【戦略的組織再編の発表】

上記の通りDisney Entertainment、ESPN、Disney Parks, Experiences and Productsの3部門に再編。再編の目的はリーダーにより大きな権限を与え、彼らのコンテンツが財務的にどのように機能するかについて責任を負わせること。

【総額55億ドルのコスト削減策を発表】

  • 非コンテンツコストの削減額はインフレ調整前で合計約25億ドル(マーケティング50%、人件費30%、その他20%)。うち10億ドルの削減が既に進行中
  • 従業員を約7000人削減
  • スポーツ以外のコンテンツで今後数年で30億ドルの削減を目標

【2023年中の配当再開】

  • 2020年にCOVID-19の影響で停止していた配当について、年末までに取締役会に配当の再開を承認するよう依頼する予定
  • 最初は控えめな配当だが、時間の経過とともにそれを増配していきたいと考えている

決算発表後にアクティビストのNelson Peltz氏が委任状争奪戦からの撤退を表明

自分は追い切れていなかったのだが、2023年1月12日にアクティビストのNelson Peltz氏が率いるTrian Fund Managementがウォルト・ディズニー取締役選任を目指して関連書類を米証券取引委員会(SEC)に提出しており、開示資料では発行済み株式の約0.5%に当たる約9億ドル相当のディズニー株を保有していた。

しかし今回の決算発表における組織再編、コスト削減案などを受けてPeltz氏は9日のCNBCでのインタビューで「Now Disney plans to do everything we wanted them to do(今やディズニーは我々が彼らに望んだことすべてを計画している)」、「We wish the very best to Bob, this management team and the board(ボブ(CEO)、経営陣、取締役会の幸運を祈っています)」、「The proxy fight is over(委任状争奪戦は終了しました)」などと発言し、委任状争奪戦からの撤退を表明している。


市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2023年第1四半期の売上高(Revenues)は235億1200万ドル、市場予想の233億9000万ドルを上回っている
  • 2023年第1四半期の特定項目を除く一株当たり利益(Diluted EPS excluding certain items)は0.99ドル、市場予想の0.74ドルを上回っている
  • 2023年第1四半期末のディズニー・プラス総加入者数は1億6180万、市場予想の1億6400万を下回っている

となっている。


まとめ

上記の様な決算内容を受けてウォルト・ディズニーの株価は

1.27%の下落。同日の米国市場は

3市場いずれも下落しているがディズニーの下落幅はそれよりも大きくなっている。

決算内容やその他発表を見る限りでは悪くない決算結果だったと思われ、実際に開場直後は

前日比で5%を超える上昇だったのだが、市場と同じ様に時間の経過とともに下落して結局マイナスで終わっている。市場を上回る下落の理由が今一つ分からないが想像するとPeltz氏が取締役選任を目指したのが明らかになった1月12日以降の株価が

市場に比べて大きく上昇していたので、Peltz氏の委任状争奪戦からの撤退を受けて利食い売りが行われたのかもしれない。

それでも前回の四半期決算2022年11月8日に大きく下落し2022年末までは冴えない株価が続いていたディズニー株だが

2023年に入ってからは大きく上昇している。今後も2023年に入ってからの上昇基調が続くのか、それとも決算を受けて変化があるのかに気を付けておきたい。組織再編の効果が早めに現れてくれるといいのだが。

そして控えめではあるが2023年中に配当を再開する見込み。ただし自分のディズニー所有株数は150株とごく少数であり、2020年1月の最終半期配当(ディズニーは四半期ではなく半期配当だった)が@0.88ドルで、再開後の配当が控えめとしていることから実際には微々たるものなのだろうが気持ち的には良いニュース。無配よりはマシなので長い目で見守っていきたい。

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