2024年6月のOPECプラス会合結果(2024/6)

はじめに

2024年6月2日(日)にはOPECプラスの閣僚級会合(OPEC and non-OPEC Ministerial Meeting)が開催された。

閣僚級会合は2023年11月30日以来約半年ぶりだが、共同閣僚監視委員会(JMMC:Joint Ministerial Monitoring Committee)がほぼ2ヶ月に1度開催されており、直近2024年4月会合では、2023年11月に合意された2024年1~3月期の減産に合意した国々が、4~6月期も日量約220万バレルの減産を継続することで合意している。

今回の会合では7月からOPECプラスがどういう方針を取るのかが注目されていたが、その結果はどうだったのかを以下に整理しておく。


2024年6月2日のOPECプラス会合まとめ

今回会合前までの削減規模は日量586万バレル。2024年末までの協調減産分が日量366万バレル、2024年6月末までの8ヶ国による自主減産が日量220万バレル。

【会合前の状況】

  • 5月2日のロイター報道
    • 自主減産している国3人の関係筋は減産延長の可能性が高いとし、うち1人は減産が2024年末まで延長される可能性があるとした
    • 他の1人の関係者はOPECプラスが何らかの変更を決定するにはサプライズ的な需要増が必要だろうとコメント
    • 関係者は正式な協議はまだ開始されていないとし、うち1人はOPECプラスはまだ延長についてどちらかに傾いてはいないとコメント
  • 5月14日のOPEC発表月報(Monthly Oil Market Report)
    • 2024年の世界石油需要が前年比で日量225万バレル、2025年は日量185万バレルそれぞれ増えるとする従来見通しを据え置き
    • OPEC産原油の需要予測の公表を廃止し、OPECと非加盟産油国でつくるOPECプラスで生産する原油の需要予測に切り替えることを発表
    • 一定の需要下振れリスクはあるものの、年初から続く勢いは2024年以降の世界経済成長にさらなる需要上振れの余地をもたらす可能性がある
  • 5月24日のOPEC発表
    • 6月1日に予定されていたOPECプラスの閣僚級会合を6月2日に開催
    • また当初計画していたウィーンでの対面ではなく、オンラインで開催
    • 開催方式や日程の変更に至った理由は示されず

【会合結果】

  • 協調減産の枠組み(日量366万バレル)を2025年末まで1年間延長
  • 8ヶ国による自主減産(日量220万バレル)を2024年9月末まで延長
    • 自主減産は2024年10月から2025年9月にかけて段階的に縮小

【会合後のコメント】

  • サウジアラビアのアブドルアジズ・エネルギー相
    • われわれは金利が低下し、経済成長の軌道が改善するのを待っている
    • 需要が不十分なら減産縮小の一時停止や撤回もあり得る

OPECプラス会合を受けた原油関連の動き

OPECプラス会合が日曜日開催だったため月曜日までの動きを確認する。

【ニューヨーク原油先物価格】

過去1ヶ月を概ね1バレル=78~80ドルの範囲内に収まっていたのだが、5月最終週に入ってからは下落基調となり、OPECプラスを受けた翌日は1バレル=74ドル台にまで下がりこれを書いている時点ではさらに1バレル=72ドル台まで下がっている。

【エクソン・モービル(XOM)株】

自分が所有するエクソン・モービル株は5月下旬の原油先物価格と株式市場の悪いところが反映されてしまった印象。それでも月末5月31日の反発(この日は米国株式市場が大幅高だった)で持ち直した株価が、やはりOPECプラス後に大きく下落してしまっている。


まとめ

現在行われている協調減産自体は2025年末まで延長されたものの、自主減産が9月末までの延長に留まり、その後自主減産を段階的に縮小するとしたことが市場に嫌忌されているようだ。

年初来のニューヨーク原油先物価格の推移を見てみると

4月初旬までは上昇基調だったがその後下落基調に転じ、これを書いている現在時点では先に書いた様に1バレル=72ドル台となりほぼ年初と同等の水準となっている。

一方のエクソン・モービルを見てみると

4月上旬まではニューヨーク原油先物価格と同様に上昇基調であり、その後原油下落基調と同様にやや下落はしているもののその幅は限定的で、年初来では市場(S&P 500)を上回るパフォーマンスとなっている。

思ったよりも原油先物価格の下落に抵抗できているエクソン・モービル株だが、今後の先行きは不透明だろう。2024年4月26日の2024年第1四半期決算時

「今回の決算を受けて下落したものの原油先物価格がある程度高価格を維持しているので大きく株価が崩れることは無いと思うのだが、~」

と書いていたのだが、今回のOPECプラス会合を受けての下落でその前提が崩れてしまった。ここから一段の下落が始まるのか、それともここひと月の様に踏みとどまれるのか注目していきたい。

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