はじめに
2024年4月25日(木)には自分の所有銘柄であるGEベルノバ(GEV)の2024年第1四半期決算発表があった。
GEベルノバに先立って2024年第1四半期決算を発表したGEエアロスペースのまとめで触れた様に、ゼネラル・エレクトリックが2024年4月にゼネラル・エレクトリックはGEエアロスペースとGEベルノバに分割している。
分割して以降はあまりパッとしない株価推移していた印象のあるGEベルノバだが、GEエアロスペース決算発表時には大幅上昇しており、今回のGEベルノバ単体の決算内容そしてそれを受けての株価がどうなったか気になるところ。以下に内容を確認し整理しておく。
2024年第1四半期決算概要
以下の内容は、GEベルノバの企業サイトより引用・抜粋。GEエアロスペースの決算では分割前のゼネラル・エレクトリック(GEベルノバ、GEエアロスペースを含む)の決算結果もあったが、GEベルノバの決算はGEベルノバ単体のものとなっている。
- 2024年第1四半期の総売上高(Total Revenues)は72億6000万ドル、前年同期は68億2200万ドルで前年同期比6%の増加
- 2024年第1四半期の調整後一株あたり利益(Adjusted EPS)は0.41ドルの損失、前年同期は1.25ドルの損失
- 2024年第1四半期のフリーキャッシュフロー(純現金収支・Free Cash Flow)は6億6100万ドルの流出、前年同期は8億1400万ドルの流出
事業部別業績
【Power(電力事業)】
- 受注(Orders):50億2900万ドルで前年同期比25%増加
- 売上(Revenues):40億3500万ドルで前年同期比16%増加
- EBITDA(Segment EBITDA):3億4500万ドルで前年同期比1億6800万ドル増加
- EBITDAマージン(Segment EBITDA margin):8.6%で前年同期比4.0%増加
【Wind(風力発電事業)】
- 受注(Orders):11億5000万ドルで前年同期比40%減少
- 売上(Revenues):16億3900万ドルで前年同期比6%減少
- EBITDA(Segment EBITDA):1億7300万ドルの損失で前年同期は2億6000万ドルの損失
- EBITDAマージン(Segment EBITDA margin):10.6%の損失で前年同期は14.8%の損失
【Electrification(電化事業)】
- 受注(Orders):35億7100万ドルで前年同期比7%減少
- 売上(Revenues):16億5100万ドルで前年同期比24%増加
- EBITDA(Segment EBITDA):6600万ドルで前年同期は3000万ドルの損失
- EBITDAマージン(Segment EBITDA margin):4.0%で前年同期は2.3%の損失
2024年見通し
2024年の通期見通しは以下の通り。2024年1月の決算時にGEベルノバ単体の見通しは提示済みで、3月のInvestor Daysでは1月と変わらず。
- 売上(Revenue):340億~350億ドル(前回と変わらず)
- 調整後EBITDAマージン(Adj. EBITDA margin):一桁台半ばの上方(High- end MSD)(前回と変わらず)
- Free cash flow:7億~11億ドル(前回と変わらず)
その他
その他決算発表及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。
- 2024年第1四半期はすべての事業セグメントで利益率が大幅に拡大して堅調な業績となり、心強い年初のスタートとなった
- 電力事業は引き続き堅調で、今後も脱炭素に伴う旺盛な需要が見込まれる
- 風力発電事業は北米の顧客がプロジェクトの許認可手続きを続けているため陸上(Onshore)の受注が大きく減少した。認可手続きを通過するタイミングについては不明
- 電化事業は最も急速に成長しているセグメントであり、強力な需要と価格動向を考慮すると中期的に最も期待できるセグメントである
- 2024年第1四半期のフリーキャッシュフローは流出となったが通期見通しは変更しておらず、残りの3四半期で14~18億ドルのフリーキャッシュフロー創出を見込んでいる
- (第1四半期の結果は期待を上回っていると解釈すべきか。下半期も好調を維持できるか)1年について考える時私たちは常に、年の前半ではなく後半に向けてより焦点を当てている。そして第1四半期は年間で比較的小規模な四半期だが、価格設定、生産性、コスト削減、注文で見られたパフォーマンスは非常に良好だった
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2024年第1四半期の総売上高(Total Revenues)は72億6000万ドル、市場予想の73億2000万ドルを下回っている
- 2024年第1四半期の調整後一株あたり利益(Adjusted EPS)は0.41ドルの損失、市場予想は0.36ドルの損失
となっている。
まとめ
上記の様な決算を受けてGEベルノバの株価は
前日比1.46%の上昇。同日の米国市場が
いずれも前日比下落しているのと比べるとまずまずの結果だったと言える。開場直後は売上、EPS共に市場予想を下回ったこともあり市場と同様に前日比下落(最大で5%超下落)でスタートしたものの、時間経過と共に上昇して前日比プラスで終えている。上昇に転じた理由ははっきりしないが、EBITDA、EBITDAマージンに改善の兆しが見られ、下半期への期待感が高まったことが原因だろうか。
分割後(4月2日から取引開始)のGEベルノバ株の推移を市場(S&P 500)と比べてみると
分割直後は4営業日連続下落と冒頭に書いた印象の通りだったが、その後は方向感に乏しいもののやや持ち直していた。そしてGEエアロスペースの決算発表で大幅上昇(分割前GEからGEエアロスペース分を除いたGEベルノバ分の決算内容が評価された)し、今回の決算で上昇し決算後数日もまずまずの結果だった。
こういう状況を考えるとGEベルノバ株は分割前のInvestor Daysで
「分割後の両社ともこのペースを維持して欲しいものだが、直近の決算内容や今回のInvestor Dayでの株価の動きを見る限りではGE Vernovaの方はあまり期待できないのだろうなあ。」
と想定していたよりは良いパフォーマンスとなるかもしれない。風力発電事業がやや気にかかるが、この調子を維持して欲しいものだ。