シティグループ(C)2024年第1四半期決算(2024/4)

はじめに

2024年4月12日(金)から米国企業の四半期決算発表が本格化した。いつもの様に自分の所有している銘柄ではJPモルガン・チェース(JPM)、そしてシティグループ(C)の米銀株が先陣を切って決算を発表している。

前回2024年1月の2023年第4四半期決算は発表に先立って

シティグループが決算発表に先立ち費用計上を開示(2024/1)

でまとめた様に費用計上を報告して何かと不穏だったのだが、決算自体は無難に乗り切りその後も堅調な株価推移を続けている印象。

そんな状況の中実際の2024年第1四半期の決算内容はどうだったのか、そしてそれを受けて株価はどう動いたのか。以下確認し整理しておく。


シティグループ2024年第1四半期の決算概要

以下の内容はシティグループ企業サイトの発表資料より抜粋・引用。

  • 収入(Total Revenues)は211億400万ドルで前四半期比21%増、前年同期比2%減
  • 純利益(Net Income)は33億7100万ドルで、前四半期は18億3900万ドルのマイナス、前年同期比27%減
  • 希薄化後1株あたり純利益(Diluted EPS)は1.58ドルで、前四半期は1.16ドルのマイナス、前年同期比28%減

今四半期の貸し倒れ引当準備金(ACL(Allowance for Credit Losses)Build and Other)は計6200万ドル(前四半期は15億5300万ドル)、総与信費用は23億6500万ドル(前四半期は35億4700万ドル)と大きく減少。ただこれらは最近四半期ごとに増減が激しく一貫した方向性は見出せていない。

2024年通期見通し

2024年通期見通しは以下の通り。

  • Revenues(収入):800億ドル~810億ドル(前四半期から変わらず)
  • Net interest income excluding Markets(Markets以外の純金利収入):前年比微減(前四半期から変わらず)
  • Expenses(経費):535~538億ドル(前四半期から変わらず。ただしFDIC special assessment:特別賦課金は除くという言葉が追加)

その他

その他決算発表資料及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。

  • 2024年第1四半期に配当と自社株買い戻しを通じて15億ドルを株主に還元
  • 2024年第1四半期に退職金と連邦預金保険公社(FDIC:Federal Deposit Insurance Corp)基金への支払いで4億8300万ドルを計上
  • 部門別の業績は以下の通り
    • Services:純利益14億9400万ドル(前四半期は7億7600万ドル、前年同期は12億9600万ドル)
    • Markets:純利益13億9500万ドル(前四半期は純損失1億3400万ドル、前年同期は18億4800万ドル)
    • Banking:純利益5億3600万ドル(前四半期は純損失3億2400万ドル、前年同期は5500万ドル)
    • Wealth:純利益1億5000万ドル(前四半期は500万ドル、前年同期は1億5900万ドル)
    • U.S. Personal Banking(USPB):純利益3億4700万ドル(前四半期は2億100万ドル、前年同期は4億200万ドル)
  • カンファレンスコールでの主な発言
    • 今年の経済成長は多くの市場で減速する見通しで、状況は総じてディスインフレ傾向にある
    • 2023年9月に発表した組織簡素化は先月で終了した。その結果当社の戦略と完全に一致し、それを促進するよりクリーンでシンプルな管理構造が実現した
    • 約7000のポジションが削減され年間実行率で15億ドルの経費が削減される。これらの取り組みと滞留コストを排除するために当社が講じている措置を組み合わせることで、中期的には累積年換算ランレートで20億ドルから25億ドルの経費削減がもたらされる
    • 特定の規制プロセスや規制報告に関連するデータの自動化などを正しく実現することに尽力しており、そのために必要な投資は自己資金で賄うことを目指している

市場予測との比較

今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、

  • 2024年第1四半期の収入(Total Revenues)は211億400万ドル、市場予想の204億ドルを上回っている
  • 2024年第1四半期の希薄化後1株あたり純利益(Diluted EPS)は1.58ドル、市場予想の1.23ドルを上回っている
  • 2024年第1四半期の純金利収入(NII)は135億700万ドル、市場予想の128億5000万ドルを上回っている

となっている。


まとめ

上記の様な決算結果を受けてシティグループの株価は

前日比1.70%の下落。同日の米国市場も

いずれも1%を超える下落となっているがそれと比べてやや下げ幅が大きい。

ただ日中の動きを見てみると

開場直後は前日終値を上回っており、その後前日比マイナスに転じて横ばい状態となっている。シティの決算自体はまずまず評価されたものの、同日決算発表のあったJPモルガン・チェース(JPM)が

6.47%の大幅下落であったため、同じ米銀のシティがその下げに引っ張られた側面があるかもしれない。

年初来のシティ株の推移を市場(S&P 500)と比べてみると

2月半ばまでは方向感がはっきりしない動きだったが、その後、特に3月半ばから4月頭にかけて大きく上昇。それ以降はやや下落傾向となっているが、それでも市場を上回るパフォーマンスとなっている。

今回の決算結果を受けて、4月に入ってからの下落傾向が加速してしまうのか、それとも踏みとどまるのかに注目。また銀行株は米連邦準備理事会(FRB)の金利政策、そしてその参考となる経済指標に影響される面もあるので、4月発表のCPIで不透明さを増したそちらにも注意しておきたい。

ちなみに決算発表翌営業日の2024年4月15日(月)もシティは

1.88%の下落。同日の米国市場が

上昇して始まったものの結局大きく下落して終えているので仕方ないとも思えるが、その他大手米銀株はそんな中でも

いずれも上昇しているのを考えるとやはりシティの先行きには不安がある(特に投資格付けのアップデートなどがあった訳ではない)。どうなることやら。

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