はじめに
2024年2月23日(金)には自分が所有しているワーナーブラザース・ディスカバリー(WBD)の2023年第4四半期決算発表があった。
前回の決算発表では全米脚本家組合/全米映画俳優組合のストライキによる影響が2024年も続くとされたこともあって前日比19%の大幅下落。その際には
「今後のワーナーブラザース株だが、流石に決算後のこの株価は下がり過ぎな気もするので多少の反発は期待したい。ただし来年へ向けての見通しが期待できそうにはないので、新しいポジティブな出来事が無い限り株価は低迷するのだろう。ちょうど俳優のストライキも合意に至ったという報道もあったので、何とか早期に立て直しを行ってもらいたいものだ。」
と書いていたのだが、その後の株価そして今回の決算はどうだったのか。以下ワーナーブラザースの決算内容と株価を確認し整理しておく。
ワーナーブラザース・ディスカバリー2023年第4四半期決算概要
以下の内容は、ワーナーブラザース・ディスカバリーの企業サイトより引用・抜粋。
- 2023年第4四半期の総売上高(Total Revenues)は102億8400万ドル、前年同期は110億800万ドルで為替の影響を除いて7%減少
- 2023年第4四半期のシリーズA株希薄化後1株当たりの純(損失)利益(Net (loss) income per share allocated to Warner Bros. Discovery, Inc. Series A common stockholders Diluted)は0.16ドルの損失、前年同期は0.86ドルの損失
事業部別業績
【スタジオ部門】
売上は31億7300万ドルで前年比17%減(恒常為替ベースでは18%減)、Adjusted EBITDAは5億4300万ドルで前年比29%減(恒常為替ベースでは30%減)。
売上は冒頭に触れた全米脚本家組合/全米映画俳優組合のストライキによる影響で特にTV収入が落ち込んで大幅減少、調整後EBITDAもマーケティング費用が増加したため前年比で大幅減少となっている。
【ネットワーク事業】
売上は50億3700万ドルで前年比9%減(恒常為替ベースでは8%減)、Adjusted EBITDAは22億800万ドルで前年比11%減(恒常為替ベースでも11%減)。
有料TV視聴者の減少や米国での広告市場の軟化により売上が減少したことが影響している。
【DTC事業】
売上は25億2900万ドルで前年比3%増(恒常為替ベースでも3%増)、Adjusted EBITDAは5500万ドルのマイナスで前年同期は2億1700万ドルのマイナス。
売上が新規パートナーシップや価格改定等で増加したものの、前四半期はプラスに転じたAdjusted EBITDAが再びマイナスとなってしまっている。
DTC加入者数
- 有料ストリーミング加入者の総数は今四半期180万増加し合計9770万。これには2023年12月末にトルコのストリーミングサービスBluTVを買収したことによる130万が含まれている
2024年見通し
2024年の見通しについては今回資料での発表は無く
- Warner Bros. Discovery, Inc. may provide forward-looking commentary in connection with this earnings announcement on its quarterly earnings conference call
とカンファレンスコールで言及する可能性があると述べるに留まっている。
その他
その他決算発表及びアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。
- 2023年12月29日にトルコのストリーミングサービスBluTV買収を発表(金銭的条件等は非開示)
- 今年は具体的なEBITDAやキャッシュコンバージョンのガイダンスを提供しない
- 既に始まった2024年第1四半期のフリーキャッシュフローは昨年の第1四半期に比べて著しく改善されている
- (ワーナーブラザースとディスカバリーの)統合は2023年末時点で実質的に完了しており、コンテンツで実現した大幅な節約を除いて、統合と変革を合わせて総額40億ドルのコスト削減を達成
- 2023年には62億ドルのフリーキャッシュフローを生み出し、第4四半期で33億ドルのフリーキャッシュフローを生み出していることから2024年も好調なフリーキャッシュフローが続くと想定している
- ただし2023年はストライキの影響がフリーキャッシュフローに約10億ドル貢献している
- 今後3年間で返済期限を迎える負債は、今年18億ドル、来年31億ドル、2026年23億ドル
- 好調なフリーキャッシュフローと収益で債務返済に注力し続け、2024年も債務解消が続くと予想
- ゲーム事業の第1四半期は前年比で厳しい業績となる見通し(昨年はホグワーツ レガシーが含まれた)
- DTCのEBITDAは前半は若干のマイナスとなり、後半には再び黒字になると予想
- 2025年にDTCのEBITDAを10億ドルにするという目標に引き続き注力
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2023年第4四半期の総売上高(Total Revenues)は102億8400万ドル、市場予想の103億5000万ドルを下回っている
- 2023年第4四半期の希薄化後一株あたり利益(Diluted EPS)は0.16ドルの損失、市場予想の0.07ドルの損失より悪くなっている
となっている。
まとめ
上記の様な決算発表を受けてワーナーブラザース・ディスカバリーの株価は
前日比約10%の下落して上場来最安値を更新してしまった。同日の米国市場が
ほぼ横ばいだったのと比べるとワーナーブラザース株の下落は極めて大きくなっている。売上、一株当たり利益が市場予想に届かなかったことやカンファレンスコールで言及する場面はあったものの、2024年通年の具体的見通しを提供しなかったことが嫌忌されたのだろう。
前回四半期決算を含めた約3ヶ月のワーナーブラザース株の推移を見てみると
前回決算後の大幅下落があってからは回復傾向にあったものの、2023年12月半ばからは市場(S&P 500)の動きに反して下落傾向となり、今回の四半期決算発表で更に株価を下げる動きとなっている。
今後のワーナーブラザース株だが、2023年第4四半期の売上/一株当たり利益が予想に届かなったことに加え、今後の具体的な見通しがはっきりしないことを踏まえると、残念ながら余程の事が無い限りしばらく上昇に転じることはないのだろう。
気が付くと自分のワーナーブラザース株は
2022年4月にAT&Tから分離してディスカバリーと統合した際に再計算した際から半値以下となってしまっている。1年、2年単位では諦めているが5年、10年単位で少しでも株価が回復することを願うしかないのだろう。