はじめに
2023年10月18日(水)には自分の保有しているプロクター・アンド・ギャンブル(PG)の2024年第1四半期決算の発表があった。
PGの四半期決算は7~9月と他の多くの米企業と同じだが、PGは期の違いにより2024年第1四半期(他の多くは2023年第3四半期)となっている点には注意。
「今回の決算発表後数日は市場が大きく下げているのに対してまずまず持ちこたえているので、今後P&G株は堅調な動きをすると思うのだがさてどうなるだろうか。」
と書いていたが決算結果はどうだったろうか。以下決算の内容について確認・整理しておく。
P&G2024年第1四半期決算概要
以下は、プロクター・アンド・ギャンブルの企業サイトより引用・抜粋。
- 2024年第1四半期の総売上高(Net Sales)は218億7100万ドル、前年同期は206億1200万ドルで前年同期比6%の増加
- 2024年第1四半期の希薄化後一株当たり利益(Net EPS Diluted)は1.83ドル、前年同期は1.57ドルで前年同期比17%の増加
2024年第1四半期の主な結果は以下の通り。
前四半期と同様の傾向で、既存事業出荷成長率(Organic Volume Growth)はマイナスだったがそれ以外はプラスとなっている。
2024年通期見通し
FY2024の見通しは以下の通り。
【売上(Sales)】
- Organic Sales Growth(既存事業売上成長率):+4%~+5%(前回と変わらず)
- Net Sales Growth(総売上成長率):+2%~+4%(1~2%の不利な為替影響を含む。前回は+3%~+4%)
Net Sales Growthの下限が前回から下がっているが、前回は不利な為替影響を1%と想定していた。
【一株当たり利益(EPS)】
- Core EPS Growth(中核事業EPS成長率):+6%~+9%(前回と変わらず)
- All-in EPS Growth(全EPS成長率):+6%~+9%(前回と変わらず)
EPS Growthに影響を与える要因にはいくつかアップデートがあったが、全体の見通し自体は前回と変わらず。
また為替から7%の悪影響が想定(前回は3%)され、恒常為替ベースでのEPS成長率は+13%~+16%(前回は+9%~+12%)。
【現金(Cash)関連】
- Adjusted Free Cash Flow Productivity(調整後FCF生産性):90%(前回と変わらず)
- Capital Spending, % Sales(設備投資、売上に対する割合):~4.5%(前回は~5%)
- Dividends(配当):>90億ドル(前回と変わらず)
- Direct Share Repurchase(直接自社株買い戻し):50億ドル~60億ドル(前回と変わらず)
その他
その他決算発表資料とアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。
- 2024年第1四半期に15億ドルの自社株買いを実施
- 2024年第1四半期にP&Gの商品全体の価格は7%上昇
- コスト低下やサプライチェーンの安定度が高まったことから、2024年第1四半期の粗利益率は4.6%上がって52%
- カンファレンスコールでの経営陣の発言
- 消費者が驚くほどの底力を発揮している状態が続いている
- 本業売上高と中核利益予想の上限を達成する軌道に乗っている
- 様々な製品の値上げに伴う販売数量減少には歯止めがかかり、年末にかけて上向きに転じるだろう
- 中国の回復が急速に進むとは期待していない
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2024年第1四半期の総売上高(Net Sales)は218億7100万ドル、市場予想の215億8000万ドルを上回っている
- 2024年第1四半期の希薄化後一株当たり利益(Net EPS Diluted)は1.83ドル、市場予想の1.72ドルを上回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算結果を受けてP&Gの株価は
2.58%の上昇。同日の米国市場が
低調だったのと比べるとP&Gの株価上昇は際立っている。市場予想を上回る決算内容と、通期見通しの上限達成に自信がある旨の発言があったことが好感されたのだろう。
とはいえP&G株の年初来の推移を市場(S&P 500)と比較してみると
S&P 500が12.4%上昇しているのに対し、P&Gは冒頭に挙げた前四半期決算後に期待した堅調な株価の動きとはならず、昨日の上昇を含めても1.0%の下落となっている。これはP&G個別の要因というよりは、9月中旬から市場全体が下落傾向にあったことが大きいので仕方ないだろう。
今後のP&Gだが、今回の決算発表を踏まえると通期見通しを高い水準で達成できそうなことから悪くはなさそうに思う。ただ前四半期も決算自体は悪くなかったが9月中旬から市場に引っ張られる形で下落したことから、今後も市場次第で自分が想定しているほどの動きとはならない可能性もある。何とか堅調な動きで推移してくれることを願いたい。