はじめに
2023年7月28日(金)には自分の保有しているプロクター・アンド・ギャンブル(PG)の2023年第4四半期決算の発表があった。
PGの四半期決算は4~6月と他の多くの米企業と同じだが、PGは期の違いにより2023年第4四半期(他の多くは2023年第2四半期)となっている点には注意。
「今後のP&G株だが、決算内容からするとしばらくは堅調な動きを続けてくれそうな気がする。カンファレンスコール中で触れられていた中国での(経済活動再開の中での)紆余曲折の可能性やヨーロッパでの競争、米国でのコストなどの懸念を上手く乗り切って欲しいものだ。」
と書いていたが決算結果はどうだったろうか。以下決算の内容について確認・整理しておく。
P&G2023年第4四半期決算概要
以下は、プロクター・アンド・ギャンブルの企業サイトより引用・抜粋。
- 2023年第4四半期の総売上高(Net Sales)は205億5300万ドル、前年同期は195億1500万ドルで前年同期比5%の増加
- 2023年第4四半期の希薄化後一株当たり利益(Net EPS Diluted)は1.37ドル、前年同期は1.21ドルで前年同期比13%の増加
2023年第4四半期の主な結果は以下の通り。
前四半期と同様の傾向で、既存事業出荷成長率(Organic Volume Growth)はマイナスだったがそれ以外はプラスとなっている。
2024年通期見通し
FY2024の見通しは以下の通り。
【売上(Sales)】
- Organic Sales Growth(既存事業売上成長率):+4%~+5%
- Net Sales Growth(総売上成長率):+3%~+4%(1%の不利な為替影響を含む)
【一株当たり利益(EPS)】
- Core EPS Growth(中核事業EPS成長率):+6%~+9%
- All-in EPS Growth(全EPS成長率):+6%~+9%
為替から3%の悪影響が想定され、恒常為替ベースでのEPS成長率は+9%~+12%。
【現金(Cash)関連】
- Adjusted Free Cash Flow Productivity(調整後FCF生産性):90%
- Capital Spending, % Sales(設備投資、売上に対する割合):~5%
- Dividends(配当):>90億ドル
- Direct Share Repurchase(直接自社株買い戻し):50億ドル~60億ドル
その他
その他決算発表資料とアナリストとのカンファレンスコールで気になった点は以下の通り。
- 2023年第4四半期を含め、既存事業売上成長率は7四半期連続5%以上
- 2023年第4四半期にP&Gの商品全体の平均価格は7%上昇
- 米国における既存事業売上高は6%増加。重要な点は販売量の3%増加が含まれており、当社最大の市場で5四半期ぶりに販売量がプラスに戻った
- ヨーロッパの重点市場における既存事業売上高は、(競合との)価格差拡大による販売量の圧力にもかかわらず12%増加
- 中国圏における既存事業売上高は4%増加。引き続き市場は順次回復しているが、予想通りペースは遅い
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2023年第4四半期の総売上高(Net Sales)は205億5300万ドル、市場予想の199億8000万ドルを上回っている
- 2023年第4四半期の希薄化後一株当たり利益(Net EPS Diluted)は1.37ドル、市場予想の1.32ドルを上回っている
となっている。
まとめ
上記の様な決算結果を受けてP&Gの株価は
前日比2.83%の上昇。同日の米国市場が
ハイテク銘柄を中心にいずれも上昇していたのと比べても。P&G株の上昇ぶりはまずまずだったと言えるだろう。市場予想を上回る売り上げ、EPSに加え、2024年の通期見通しも堅調な成長が見込まれることが好感されたのだろう。冒頭に挙げた前四半期の懸念も概ね払拭されたようでもある。
決算後数日を含めたP&G株の年初来の推移は
市場(S&P 500)の17.7%上昇に比べて3.5%の上昇とかなり見劣りのするパフォーマンス。冒頭に書いたように前回4月の決算時以降は堅調な動きを期待していたのだが、5月半ばから6月頭にかけて市場が上昇していたのにP&Gは大幅下落となっていたのが響いている(恐らくTruist Securitiesが投資格付けをBuyからHoldに下方修正したため)。
その後は徐々に株価が上昇し、今回の決算発表後数日は市場が大きく下げているのに対してまずまず持ちこたえているので、今後P&G株は堅調な動きをすると思うのだがさてどうなるだろうか。