はじめに
米国時間2023年10月13日(木)に2023年9月の米消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)が米労働統計局から発表された。
前回のCPIはほぼ市場の想定範囲だったこともあってか米国株式市場は前日比でほぼ変わらず。しかしその後9月のFOMCでは四半期に一度の経済予測要旨で高い金利水準が市場予想より長く続くのではという懸念が深まり、市場は下落傾向となった。
そんな流れを受けて今回のCPI結果、そしてそれを受けて市場はどう動いたのか。以下に確認して整理しておく。
2023年10月13日米労働省労働統計局(U.S. Bureau of Labor Statistics)発表の2023年9月消費者物価指数(CPI)
以下の情報は米労働省労働統計局の発表資料より引用・抜粋。
- 2023年9月の前月比消費者物価指数(季節要因調整済)は0.4%上昇、市場予想は0.3%の上昇
- 2023年9月の前年比消費者物価指数(季節要因調整済)は全品目では3.7%上昇、市場予想は3.6%の上昇。変動の大きい食品及びエネルギーを除いたいわゆるコアCPIは前年比4.1%上昇、市場予想も4.1%の上昇
- 家庭用食品(Food at home)は前年比2.4%上昇。2023年8月は前年比3.0%上昇
- 電気代(Electricity)は前年比2.6%上昇。2023年8月は前年比2.1%上昇
- 住居費(Shelter、主に家賃。サービス分野で最大の構成要素でCPI全体の約3分の1を占める)は前年比7.2%上昇。2023年8月は7.3%上昇
変動の大きい食品及びエネルギーを除いたいわゆるコアCPIは前月比0.3%の上昇で市場予想も0.3%の上昇となっている。
同日の市場の動き
米国市場
CPIの発表は米国株式市場開場前で、開場後しばらくは前日終値近辺での動きが続いていたが、午後に入って下落基調が鮮明になり前日比マイナスで終えている。
株式市場が下落傾向となった原因はCPIではなく、米東部時間午後1時に発表された米30年債入札結果が低調だったためらしい(応札倍率は2.35倍。先月の2.46倍を下回った)。そのため債券利回りが上昇し、資金が株式市場から債券市場へと流れたのだろう。
米国10年債
米CPIを受けてFRBが年内にもう一度追加利上げを実施する可能性が示唆されたこともあってか前日比やや利回り上昇で推移していたが、株式市場同様午後1時に発表された米30年債入札結果を受けて利回りが一段と上昇して終えている。
ドル円為替
CPIの発表があった米ET8:30は上記ドル円チャートのBST1:30。CPI結果がやや市場予想より伸びたためFRBが年内にもう一度追加利上げを実施する可能性が示唆されて日米金利差が意識されたためか、株式市場や債券市場よりも顕著にドル高傾向となっている。
まとめ
今回のCPI結果はほぼ市場の予想通りだったものの、FRBが注視する変動の大きい食品及びエネルギーを除いたいわゆるコアCPIが前月比0.3%と8月と同じ水準であったことから、前回FOMCで政策金利を高水準に維持する方針を掲げた論拠が裏付けられた形。
そのため株式市場は下落(S&P 500の主要11セクターで前日比プラスだったのは情報技術とエネルギーのみ)、債券利回りは上昇、ドル円為替はドル高となった。
結果的には株式市場の下落幅は1%内に収まったが、ここ最近の市場は金利政策(に影響を与えるCPIに代表される経済指標)に加え、イスラエル/ハマスの戦闘による地政学リスク、米下院議長の解任に伴う政治的リスクなどの不確定要素が増えたため、今後の懸念は増している状況。
本日10月13日(金)から本格化する米企業の四半期決算発表(主に7~9月期)で市場予想を上回る結果を見せて懸念を軽減してくれることを願いたいのが、さてどうなるか。