2022年6月のOPECプラス会合結果(2022/6)

はじめに

2022年6月2日には7、8月の生産量を決定するOPECプラスの閣僚級会合が行われた。

事前の5月30日には欧州連合(EU)がロシア産石油のEUへの輸入を禁止することを柱とする追加制裁で合意したり、5月31日にはウォール・ストリート・ジャーナルがOPEC加盟国の一部がOPECプラスの生産協定からロシアの一時参加停止を検討していると報じられるなど、OPECプラス会合の結果が非常に気になるところ。

以下内容を確認し整理しておく。


2022年6月2日のOPECプラス会合まとめ

以下は主にロイター、ブルームバーク、ウォール・ストリート・ジャーナルの報道より引用・抜粋。

【会合前】

  • 5月30日、欧州連合(EU)がロシア産石油のEUへの輸入を禁止することを柱とする追加制裁で合意
    • 発動後すぐに3分の2の輸入が禁止、年内に約90%の禁止
    • EUは当初年内の全面的な禁輸を目指していたが、ロシア産石油への依存度が高いハンガリーなどに配慮して妥協
  • 5月31日、ウォール・ストリート・ジャーナルがOPEC加盟国の一部がOPECプラスの生産協定からロシアの一時参加停止を検討していると報じる
    • 複数のOPEC代表者によると、ロシア除外を巡っては欧州連合(EU)がロシア産原油購入の一部禁止で合意する前から検討を始めていた。そしてEUが合意したことでロシアの生産の遅れにどう対処するかについて議論が加速したとのこと
    • ロシアを協定から排除すれば他のOPEC加盟国が大幅に増産できる可能性がある
    • OPEC代表者らによると、ここ数週間に行われた原油市場のテクニカル面に関するOPECプラスの内部会議で、ロシアの代表は価格が上昇する中で需要の見通しを下方修正するよう求めた
    • 主要なエネルギー消費国は価格の高騰から供給を増やすよう求めている

【会合結果】

  • 9月の生産調整を前倒しし7、8月に配分し直すことで7月の増産枠を日量64万8000バレルに引き上げ、8月も7月と同水準の増産ペースを維持すると決定。従来は9月までの3ヶ月間、月間で日量43万2000バレル引き上げる計画であり約50%の供給拡大となる
  • 複数の匿名の代表によると、ロシアは今回の引き上げ案を全面的に支持し協議はわずか11分間で終了
  • OPECプラスの生産協定からロシアを排除する案が検討されているとの報道も一部にあったがそうした動きは見られず
  • ホワイトハウスのジャンピエール報道官は「新たな市場環境に基づき、供給を日量20万バレル以上増やすとの重要な決定を歓迎する」と発言
  • ロシアのノバク副首相はロシア国営テレビで以下の様に発言
    • OPECプラスが増産ペース拡大で合意したことについて、季節要因による需要の高まりに対応する上で一助になるとし歓迎する考えを表明
    • 欧州連合(EU)によるロシア産石油の禁輸措置については政治的と批判し、ロシアは欧州以外の市場で石油を販売する方策を見いだすと言明
    • ロシア産石油禁輸の決定で「欧州の消費者がまず打撃を受けるだろう。石油価格だけでなく、石油製品の価格も上昇している。EUで大規模な石油製品の不足が発生する可能性を排除しない」と警告
  • OPECプラスの次回会合は6月30日予定

【その他】

6月2日は米エネルギー情報局(EIA)が週次の5月27日までの1週間の戦略石油備蓄を除く原油の在庫(Crude Oil(Excluding SPR))を発表している。

前週より510万バレル減少とロイターがまとめたアナリスト予想130万バレル減少よりも大きい減少幅となっている。


まとめ

事前の報道では今回のOPECプラス会合でも従来の増産ペースを維持するとしていた向きもあったのだが、結果は約50%の供給拡大となった。

同日のニューヨーク原油先物市場は

OPECプラスの会合結果が発表された米東部時間8時に一瞬(8時直後に赤い売却の取引量が増えている)1バレル=111ドル台まで低下したものの、その後は値を戻しEIAの発表もあって値を更に上げる展開となった。個人的にはOPECプラスの結果を受けて下げ幅が拡大するのかと思ったのだが・・・。

年初来のニューヨーク原油先物価格を見てみると

3月、4月に大きな上下動はあるものの年初来という期間で見れば概ね上昇傾向。この傾向がまだ続くのかどうか今後の動向が非常に気になる。

このニューヨーク原油先物の動きに自分が所有しているエクソン・モービル(XOM)株の推移を重ねてみると

何度も書いている通り連動性は高く、年初来ではニューヨーク原油先物、エクソン株共に55%程度の上昇率。気が付くと自分のエクソン株は

取得価額に比べて27.22%上昇となっており、1年前の2021年6月2日には

取得価額比マイナス20%だったことを考えるとよくここまで持ち直してくれたと思える。一時は

所有エクソン株の今後の取り扱いについて(2020/12/26)

でエクソン株の扱いをどうするか非常に悩んでいた事を思うと、現時点の結果としてはバイアンドホールドの継続が功を奏している気がする(勿論、今後エクソン株が再び取得価額を下回る可能性はあるのだが)。

今後の原油先物価格も、EUのロシア産原油禁輸、OPECプラスの動向、石油消費国の需要などの要素が複雑に絡んでどうなるのか見通すのが難しいのではないだろうか。原油価格が上昇するとエクソン株も上昇する可能性は高いが、その他企業のエネルギーコスト増による業績・株価悪化の可能性もあるので、原油価格がどうなるのが自分にとって最適なのかは分からない。

いずれにせよここ数ヶ月はエクソン株が自分の米株資産を支えてくれているので、その他銘柄が盛り返すまでは何とかこのまま上昇基調を維持して欲しいものだがどうなるか。

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