はじめに
昨日2022年12月8日(木)の米国市場は
いずれも前日比そこそこ上昇していたのだが、自分の米国株ポートフォリオは
とほぼ変わらず。何が原因かと思ってポートフォリオを確認してみたところ、ポートフォリオに占める割合の大きいAT&T(T)が
市場の動きに反して1%近くマイナスになっていた影響が大きかった。
そこでAT&T株下落の原因について調べてみたところ、アナリストのアップデートがあったのでそれが影響した可能性はある。そしてその前には最高執行責任者(COO)の講演もあったようなので併せて情報を整理しておくことにする。
Argus ResearchのアナリストJoseph Bonner氏のAT&T投資格付けアップデート
投資格付け:HoldからBuyに上方修正
目標株価:24ドル(前回は不明)
以下はJoseph Bonner氏の投資格付けアップデートの要旨。
- ワーナーメディアのディスカバリーへのスピンオフに伴い、AT&Tはメディアビジネスへの長く悲しい(long sad foray)進出をついに乗り越えました
- 同社はまた昨年の他の複数の資産売却と大幅な減配を乗り越えました
- AT&Tのワイヤレス事業は2022年のスターであり、同社は値上げにもかかわらずかなりの数の加入者を追加しました
- 業界リーダーのT-Mobileほど多くの加入者を獲得していませんが、Verizonの加入者の減少と貧弱な数よりも優れています
- ワイヤレスビジネスは、加入者がワイヤレス接続にかける価値を考えると不況でも回復力を維持する可能性がありますが、不況は同社の商業企業ビジネス(commercial enterprise business)に打撃を与える可能性があります
- 通信事業は通常、経済が激動する時代の安全な避難所と見なされていますが、AT&Tの場合、過去数年間の集中的な債務削減と借り換えにより、現在のマクロ環境での回復力が高まっています
- AT&Tの株価はエンタテインメントに関する同社の戦略的転換、ワーナーメディアのスピンオフ、そして配当削減にから同社が受けた打撃から回復し始めていますが、その評価額は依然として過去の基準や同業他社の平均を下回っています
- 債務削減に加えて、5Gおよびファイバーブロードバンドネットワークへの投資支出は、持続可能な長期的成長のための基礎となるフレームワークを作成するため短期的には重要な戦略的優先事項となります
12月6日のUBS Global TMT ConferenceにおけるAT&T最高執行責任者Jeff McElfresh氏のアップデート
以下はAT&Tの企業ページより引用・抜粋。
- 接続サービスに対する顧客の需要が依然として高いため、5Gとファイバーの戦略的重点分野で健全な顧客の成長を続けている
- ワイヤレス顧客の成長の持続可能性に自信を持っており、2022年前半に行われた同社の価格設定の結果に満足している
- 同社が過去2年間に行った投資の積み重ねにより、更なるコスト効率を実現している
- 2025年末までに事業所を含む3000万以上の場所でファイバーを導入するという目標達成に引き続き取り組んでおり、初年度の普及率が過去の基準の約2倍に達したことに満足している
- 2022年通年ではガイダンス通り設備投資240億ドル、140億ドル台のフリーキャッシュフローを見込んでいる
まとめ
アナリストの投資格付けアップデートとAT&TのCOOアップデートについて内容を確認してみたが、特に目立った悪材料は無かった。にもかかわらず、冒頭の様にアナリストのアップデートを受けて市場が上昇したにもかかわらずAT&T株が下落したのは今一つ腑に落ちない。
あえて更に調べてみると上でもアナリストが言及していた同業のT-Mobile(TMUS)が
3%を超える大幅下落となっていたのでそれに引きずられたのかもしれない。
またアナリストはAT&Tのワイヤレスに関して割とポジティブな見方をしているが、自分には米国市場は限られたパイの取り合いにも見受けられ、インフラへの投資も含めてAT&Tが想定しているほど期待できるかはやや不安にも思われる。
とはいえ過去5日のAT&T株と市場(S&P 500)の推移を比べてみると
市場に比べれば悪くはない動き。
また年初来で見ても
4月のワーナーメディア分離による調整を加味すると、市場は15%強下落しているのに対してAT&Tはほぼフラットとなっており、自分が思っていたほどは悪くはない。
特に10月の決算発表以降は割と順調に推移しているように見えるので、上に挙げた自分の懸念は単に杞憂に過ぎず、アナリストが指摘したように米経済が不況になっても底堅い動きをしてくれることを願いたい。