2022年5月の米個人消費支出(PCE)指数(2022/7)

はじめに

2022年に入ってから米国ではインフレが顕著になってきており、米商務省が発表する米個人消費支出(PCE:Personal Consumption Expenditure)と米労働省が発表する米消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)が米国株式市場に対する影響が大きくなってきている気がする。具体的には両者の数値が上昇あるいは市場予想より大きいと、金融引き締めが加速して景気が減速するとの連想から市場が下落することが多い。

昨日2022年6月30日には米商務省が2022年5月の米個人消費支出を発表したので、その内容とそれを受けての米国市場の動きについて確認しておくことにする。


2022年6月30日米商務省発表の2022年5月の米個人消費支出(PCE)指数

以下は米商務省経済分析局(U.S. Bureau of Economic Analysis(BEA))のサイトより引用・抜粋。

【前月比】

【前年比】

前回2022年5月に発表された4月のPCEは0.2%増と前月の上昇率に比べて低下したため、インフレ加速の懸念が後退して米国市場は

上昇したのだが、今回は前月に比べて0.6%上昇し市場予想の0.4%を上回ったこともあってか米国市場は

下落。ただし前年比では6.3%と市場予想の6.4%を下回っており、なかなか明確に判断しにくい結果となったがやや落ち着いた様にも見受けられる。

ただ冷静に考えるとFRB(米連邦準備理事会)のインフレ目標は2%であり、それに比べると高水準であるのは変わらず、引き続きFRBが積極的な引き締めによって景気を必要以上に減速させる可能性があるという懸念はある。


まとめ

個人消費支出(PCE)指数のみでは前回は前月に比べて下がっていたのに今回は前月比再び上昇と失望感があっただろうが、前回の個人消費支出(PCE)指数以降の6月10日に発表された米消費者物価指数(CPI:Consumer Price Index)がインフレ加速を示唆する結果となっていたので、今回のPCEはある程度予想通りの結果であったと言える。

ただ今後の事を考えると気が重い。というのも先に挙げた様にFRBのインフレ目標2%を大きく上回っているため、FRBは景気減速の施策(政策金利の引き上げ、等)を取る可能性が高いのだが、一方で米国市場は弱気相場入りして既に下落傾向が続いている状態であり、景気減速施策により市場が更に下落する可能性が拭えない。

今後しばらくは米PCE、CPIを注意深く確認し、色々な要素が複雑に絡んでいるためなかなか難しいのだが米国の景気がいわゆるソフトランディングとなってくれることを期待したい。

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