はじめに
2022年2月1日と3月25日に自分の所有銘柄であるAT&T(T)がワーナーメディア分離後の配当等についての発表を行っている。
AT&Tがワーナーメディア分離後の配当等を発表(2022/2)
AT&Tのワーナーメディア分離は4月初めと発表(2022/3)
AT&T単体の配当減については後述する様に自分が想定していた最悪よりはマシだったが、その配当減を元に配当金生活のキャッシュフローを精査したのは2021年6月であり、その後の他の自分の所有銘柄の配当変化等は反映されていない。そして当時からドル円為替レートも大きく変わっている。
実際に配当金生活のキャッシュフローをアップデートするかどうかはAT&Tのワーナーメディア分離以降最初の配当を受け取ってから(予定では5月)決めるつもりだが、現時点でAT&Tの配当減と最新の他の所有銘柄配当を加味して受取配当金がどうなるか、そして配当金生活にどのような影響を及ぼすかについて整理しておく。
受取米株配当金の精査
2021年5月末時点での配当金見込み
AT&T分離発表前の税引後年間ドル配当見込は約3.3万ドル、円ベースでは当時の配当受取時為替レートから約350万円と見込んでいた。
分離発表時に提供された以下の情報からAT&Tの配当は
- 配当原資:200億ドルx41.5%(中間値をとって)=83億ドル
- 現在のAT&T発行株式数:71.4億株
- 一株当たり年間配当:83億ドル/71.4億株=1.16ドル(四半期では0.29ドル)
- 配当減割合:44.2%(中間値)
中間値を取ると44.2%程度減少する計算となったが、その後の状況変化で更に配当が減少する可能性も考慮して半減(50%)と見込んでいた。当時もAT&Tの一株当たり配当は@0.52ドルで約3000ドルの四半期配当とあり年間では1.2万ドルだったので、それが半減するとAT&Tの配当は約6000ドル減る計算となる。
従ってAT&T分離発表後の税引後年間ドル配当見込を約2.7万ドル、円ベースでは約285万円と見込んで配当金生活の想定キャッシュフローを2021年6月にアップデートしていた。
2022年2月末時点での配当金見込み
2022年2月末時点でのAT&T直近四半期配当は
税引後ドルベース:8,634.50ドル
税引後円ベース:982,692円(為替レート:113.81)
でこれを4倍すると
年間税引後ドルベース:34,538ドル
年間税引後円ベース:3,930,768円(為替レート:113.81)
となる。
上述の2021年5月時点と比べてみるとドルベースで約1,500ドル、円ベースで約40万円増加している。ドル円為替レートが2021年5月時点では105円台だったのだがドル高傾向が続いているのが非常に大きい。
そして2022年2、3月の発表を受けての自分のAT&T株配当を想定してみると
自分のAT&T所有株数:7,990株
AT&T直近の税引前四半期受取配当:4,154.8ドル(一株当たり0.52ドル)
AT&T直近の税引後四半期受取配当:2,979.71ドル
AT&T分離後の税引前一株当たり四半期配当:1.11/4=0.2775ドル
AT&T分離後の想定税引前四半期受取ドル配当:0.2775×7,990=2,217.23ドル
AT&T分離後の想定税引後四半期受取ドル配当:1,590.13ドル(46.6%減)
と2021年5月に想定した中間値の44.2%減よりも大きい減少幅の46.6%減となる想定。
従って
AT&T分離後の想定税引後四半期受取ドル配当:1,590.13ドル
AT&T分離後の想定税引後四半期受取円配当:1,590.13ドル×113.81=180,972円
となり、これを先の直近四半期配当に適用してみると
AT&T分離後の税引後ドルベース:8,634.50-(2,979.71-1,590.13)=7,244.92ドル
AT&T分離後の税引後円ベース:982,692-(339,120-180,972)=824,544円(為替レート:113.81)
年間では
AT&T分離後の年間税引後ドルベース:28,979.68ドル
AT&T分離後の年間税引後円ベース:3,298,177円(為替レート:113.81)
となる。
2021年5月末時点と2022年2月末時点の配当金見込み比較
上述の内容をまとめてみると以下の様になる。
AT&T配当減含めず | AT&T配当減想定 | 減少幅 | ||||
ドル | 円 | ドル | 円 | ドル | 円 | |
2021年5月末 | 33,000 | 3,500,000 | 27,000 | 2,850,000 | 6,000 | 650,000 |
2022年2月末 | 34,538 | 3,930,768 | 28,980 | 3,298,177 | 5,558 | 632,591 |
2021年と2022年の差異 | 1,538 | 430,768 | 1,980 | 448,177 |
【ドルベース】
まずAT&T配当減を含めない場合でも2021年5月末と2022年2月末で年間で1500ドル程配当が増えていることが判る。最後に米国株を購入したのは退職する前の2020年6月の事なので、この約1500ドルの増加は自分の所有銘柄の配当増によるもの。これは自分が想定していたよりも大きい。これを書いている今でも計算が間違っている気がしないでもない。
そしてAT&Tの配当減を含めた場合でも、AT&Tの配当減を2021年5月末時点では半減の50%減と見込んでいたのが2022年2月の情報では46.6%減で済みそうなため、年間では2021年5月に想定したよりも2000ドル弱年間配当が増える想定となる。
結局2021年5月にAT&T配当減により3.3万ドルから6000ドル減少して2.7万ドルになると見込んでいた年間配当は、3.45万ドルから5500ドル減少して、2.9万ドル程度になる可能性が高いと思われる。
【円ベース】
2021年5月末時点でAT&T分離後の税引後年間円ベース配当を約285万円と見込んでいたものが2022年2月時点では約330万円となり想定から大幅にズレている。これは実績に基づいて2021年5月の為替レートを1ドル=105.5円、2022年2月のレートを1ドル=113.8円程度とし為替レートに8円もの違いがあるため。
直近のレートでは更にドル高となっているため、この傾向が続くと更に円ベースでの受取配当は増えそうではあるが、為替に関してはあくまで参考程度に留めてドルベースで考えて置いた方が安全な気がする。AT&Tの配当減を踏まえた円ベースでの税引後年間配当は
1ドル=105円の場合:28,979.68×105=3,042,866円
1ドル=110円の場合:28,979.68×110=3,187,765円
1ドル=115円の場合:28,979.68×115=3,332,663円
1ドル=120円の場合:28,979.68×115=3,477,561円
となり、1ドル=105円の場合でも何とか年間300万円の配当となる。
まとめ
AT&Tのワーナーメディア分離に伴う配当金減少について、2021年5月時点の発表時と2022年2、3月の発表時におけるAT&T株単体の配当減、そして2021年5月から2022年2月の間に変化したその他自分が所有している銘柄の配当を踏まえて、自分のワーナーメディア分離以降の年間総配当について推定してみた。
ポイントをまとめてみると
- AT&T株単体の配当減は2021年5月にAT&Tが発表した下限値に近い46.6%減となるが、自分の配当金生活のために作成した想定キャッシュフローでは配当が半減して約6000ドルになると見込んでいるので、それよりはマシで年間約5500ドルの減少に留まった
- 2021年5月から2022年2月の間にAT&Tを除いた自分の所有米国株配当は年間で約1500ドル程増加していた。これは予想外の増加
- 2021年5月のドル円為替レートは当時の実績に基づき1ドル=105円台で見込んでいたが2022年2月時点での実績では1ドル=113.81円であり、実際に受け取るドル配当を円に変換して生活費に充当する際は2021年5月よりも多く受け取れる可能性が高い(2022年3月には更にドル高が進行している)
という事になる。結果的に2021年5月時点で想定していたよりもAT&Tのワーナーメディア分離に伴う配当減の自分の配当金生活への影響は少ないことになる。ただ今後AT&Tの年間受取配当が約5500ドル減少するのは事実なので、あくまで2021年5月の想定時よりは影響が少ない、ということに過ぎないのだが。
結果的に今回のAT&T配当減は自分の米国株配当金生活において対処できる範囲となりそうだが、今後も配当減や配当停止が起こる可能性はある。配当減や配当停止については事前に予測するのは困難であり都度対処するしかないのであまり考え過ぎるのは適切ではないが、そういった可能性についてある程度考えておくのはショックを和らげるためにも必要かもしれない。
現時点で自分の場合、今後配当減や配当停止により大幅な受取配当減となった場合は、
- その配当減少で配当金生活の想定キャッシュフローが賄えるか
- 1で対処不可の場合、想定キャッシュフローの固定費以外の支出(生活費等)を減らすことで対処できるか
- 2も対処不可の場合は、その時点で配当が少ない、無配当の銘柄がないかを確認し、それがあれば売却して配当銘柄を購入する
という手順を踏む可能性が高い。自分の場合、現時点ではボーイング(BA)、ウォルト・ディズニー(DIS)、チャーター・コミュニケーションズ(CHTR)が無配当で約5万ドル、ゼネラル・エレクトリック(GE)が税引前で0.34%の配当率で約4.5万ドルと併せて9.5万ドル程が配当金生活にはほとんど寄与していないので、それらを売却して高配当銘柄に代えればある程度はまだ対処できそうな気はしている。ちなみに現時点で売却をしていないのは将来的にこれら銘柄が配当を再開・配当増をする可能性がゼロで無い(CHTR以外はそれなりの配当を出していた実績がある)ことと、想定されるAT&Tの配当減後でも配当金生活が成り立つ想定であるため。
分離後の新会社ワーナーブラザース・ディスカバリー(Warner Bros. Discovery:WBD)が1%でも配当を出してくれるといいのだがなあ。