はじめに
2022年1月27日には自分の所有銘柄であるアルトリア・グループ(MO)の2021年第4四半期決算発表があった。
前回の四半期決算以来アルトリア株には目立ったニュースが無かった(あるいは自分が気が付かなかった)がどうなっているのか。以下にアルトリアの決算内容を確認し整理しておく。
アルトリア・グループ2021年第4四半期決算概要
以下の内容はアルトリア・グループの企業サイトより引用・抜粋。
- 2021年第4四半期の売上高(Net Revenues)は62億5500万ドル、前年同期比0.8%減少
- 2021年第4四半期の物品税控除後の売上高(Revenues net of excise taxes)は50億8600万ドル、前年同期比0.6%増加
- 2021年第4四半期の1株当たりの調整後利益(Adjusted diluted EPS)は1.09ドル、前年同期比10.1%増加
売上高が前年比で減少しているのはワイン事業の売却も影響している(前年同期のワイン事業の売上は1億8000万ドル)。
- 2021年第4四半期のタバコ製品の出荷量は前年同期比5.9%の減少
2022年見通し
2022年の見通しについては以下の様に発表している。
- 2022年通年の調整済み希薄化後EPS:4.79~4.93ドル(2021年比で4%~7%の成長率。EPSの成長率は下半期に偏ると見込んでいる)
上記スライドとは別に2022年の見込に関しては以下も提供している。
- 資本的支出(capital expenditures):2億ドル~2億5000万ドル
- 減価償却費:約2億1000万ドル
- 調整後実効税率:24.5%~25.5%
その他事項
【自社株買い戻し】
- 第4四半期に1550万株を7億300万ドルで買い戻し
- 2021年通年では3570万株を17億ドルで買い戻し
- 2022年12月31日までの35億ドルの株式買戻しプログラム残は約18億ドル
【IQOS関連】
- 2021年11月29日にIQOSデバイス、Marlboro HeatSticks等の侵害コンポーネントに対して国際貿易委員会(ITC)に課された輸入禁止および排除措置命令が発効
- PM USA(アルトリアの100%子会社)は命令に準拠し、IQOSシステムは米国では販売されなくなった
- 現時点ではPM USAは2022年中にIQOSデバイス、MarlboroHeatSticksを販売できるとは予想していない
- ただし、PM USAはIQOSを市場に戻すことに引き続き注力している
市場予測との比較
今回の主な決算内容と市場予想とを比べてみると、
- 2021年第4四半期の物品税控除後の売上高(Revenues net of excise taxes)は50億8600万ドル、市場予想の50億5000万ドルを僅かながら上回っている
- 2021年第4四半期の1株当たりの調整後利益(Adjusted diluted EPS)は1.09ドル、市場予想の1.08ドルを僅かながら上回っている
- 2022年通年の調整済み希薄化後EPSは4.79ドル~4.93ドル、市場予想は4.84ドル
となっている。
まとめ
上記の様な決算発表を受けてアルトリア・グループの株価は
1.76%の上昇。同日の米国市場は
上昇して始まったものの午後からは下落に転じ、結局いずれの市場もマイナスで終えていたのと比べるとアルトリア・グループの決算内容は市場にそれなりに評価されたようだ。
とはいえ決算内容を再度確認してみると、売上高、調整後一株当たり利益は市場予想を僅かに上回る程度であり、2022年見通しも市場予想の範囲内、IQOSは2022年中の販売再開は見込んでいないなど特に目立つ上昇要因があったようには思えないのだが。アナリストとのカンファレンスコールでも特に目新しい質疑等はなかった。
過去6ヶ月のアルトリア株を見てみると
9月末の急落は上でも触れたIQOSの米国での輸入・販売のITC裁定(まだ禁止命令発行ではない)、10月28日の急落は前回の四半期決算発表によるもの。その後11月末のIQOS禁止命令発行で過去6ヶ月の最低株価となった後は何故か概ね上昇傾向。
市場(S&P 500)と比べてみても
12月以降のアルトリア株は何故か市場の動きに反して好調に推移している。1月半ばからは流石にやや下落となったがS&P 500の急落に比べれば堅調と言えるだろう。
直近のアナリストの主な格付アップデートも
格下げと据え置きといった具合でアルトリア株が上昇する要因とはなっていない。
結局調べてみても、2021年第4四半期決算発表後および2021年12月からのアルトリア株の上昇傾向についての理由はよく分からないまま。上昇傾向にあるのはいい事ではあるのだが、理由が判らない上昇は逆に理由の明確でない下落に転じる可能性もあるので注意をしておきたい。単なる杞憂に過ぎずこのまま堅調に推移してくれるとありがたいのだがなあ。