はじめに
先週2021年12月5日は
で気になっている米債務上限問題がまだ解決していない状況について整理したが、今週は進展があったようなので以下に再び現時点での状況をまとめておくことにする。
2021年12月11日時点での米国債務上限問題まとめ
- 債務上限を引き上げる採決には上院で60票の賛成が必要(現在上院100の内共和党50、民主党50)
- 民主党のシューマー院内総務と共和党のマコネル院内総務が臨時手続きを設けることで合意
- 具体的には1月15日まで単純過半数で債務上限を引き上げる1回限りの権限を得る臨時手続きの法案
- 実際50:50で票が割れた場合は上院議長のハリス副大統領の1票が議長決裁票となるので、事実上民主党過半数での可決が可能となる
- 12月7日下院で賛成222、反対212で可決(共和党の賛成は1票)
- 12月9日上院で賛成59、反対35で可決(共和党の賛成はマコネル院内総務も含めて10票)
- これにより債務上限を引き上げる別の法案が来週にも議会を通過し、米国債の利払いなどが滞るデフォルト(債務不履行)が回避される見通しが強まる
- 現時点では具体的な引き上げ額は未確定だが、2022年末までで20兆~30兆ドル引き上げという報道あり(現在は28兆9000億ドル)
まとめ
上記の様に12月6日週は自分が気にしていた米債務上限問題に関しての進展があったのだが直近の市場(S&P 500)を見てみると
12月6、7日に大きく上昇しているのだが、これはオミクロン変異株の影響が思ったほど無さそうという楽観論が広がったためとされており、下院での米債務上限問題に関する採決も米東部時間の7日深夜だったので7日の市場上昇には関係はなく、それ以降もほぼフラットな推移となっている。
個人的には債務上限問題が解決することで米市場の上昇要因となると思っていたのだが、市場には自分が想定していた程の影響は無かったという事になる。まだ実際に債務上限が引き上げられたわけではないので、もしかするとその際に上昇となる可能性も無くは無いが今週の状況を見るとその可能性は低いのだろう。
ただこれを書きながら改めて考えてみると、米債務上限問題は解決することが市場の上昇要因となるのではなく、解決しなかった場合に市場の押し下げ要因になるに過ぎないということだった可能性が高い。
まだ正式に決着した訳ではないし上限幅や期限がどの程度になるかも定かではないので市場が大幅に変動する可能性もあるのだが、現時点では米債務上限問題が解決しそうで、市場にとってそれ程のマイナス要因が無さそうだという事で良しとすべきなのだろう。