はじめに
以前に
で米国の債務上限問題(制限を引き上げないと一部の連邦政府の業務が停止する可能性があり、国債の新規発行ができなくなるため債務不履行(デフォルト)に陥る)についてまとめたが、その後は
【米市場は上昇、自分の資産は減少】2021年10月末米国株資産
で触れた様に10月7日に上院、10月12日に下院が連邦政府の債務上限を12月3日まで4800億ドル引き上げる法案を可決して、問題が一時先送りとなっていた。
上記の様に10月の措置は12月3日までのものであったため、その日が過ぎた現在の状況をアップデートしてまとめておく。
2021年12月5日時点での米国債務上限問題まとめ
- 12月3日にバイデン米大統領が、2日に上院・下院で可決された来年2月18日までの連邦政府資金を手当てするつなぎ予算に署名し、連邦政府機関の閉鎖はひとまず回避
- ただし、同日期限切れとなった債務上限に関しては合意されず
- イエレン米財務長官は11月に12月15日までに上限を引き上げたり一時停止したりしない場合には資金をやり繰りできない可能性があると指摘
- 議会予算局(Congressional Budget Office)は12月に財務省が12月末までに現金を使い果たす可能性があると予想
- やや現金枯渇の期限が伸びたのは、11月15日にインフラ投資法が成立したことを受けて財務省が資金調達の予測を見直したため
- 現在は債務上限、Build Back Better Act(中産階級を再建し生活と労働環境を改善するための法案及び1.75兆ドルの予算)、年間国防予算法案について与野党の調整がなされている状況
まとめ
12月3日につなぎ予算法案は可決されたが、米国債務上限に関しては上記の様に他の重要法案との兼ね合いもあり合意には至らず。
バイデン大統領になってから
でも書いたが、コロナに対する経済刺激策の財源が確保できるのかという懸念はあったのだが、予算策定段階になってそれが現実の問題となってしまった感がある。
結局一時しのぎが続き根本的な解決にはなっていない状況。更なる一時しのぎとしてはイエレン財務長官が指摘した12月15日はHighway Trust Fund(道路建設・整備等に関する基金)に対して財務省が1180億ドル支払う必要があるのだが、議会予算局はこの支払を延期すれば1月のある時点まではデフォルト回避可能としている。ただし、これは11月15日に成立したインフラ投資法で義務付けられてしまっているので実現するかどうかは不透明。
今後も予算案を巡って与野党の神経質な駆け引きが続きそうだが、ただでさえオミクロン変異株や欧州でのCOVID-19拡大、インフレなどが続いている現在の状況で、さらに市場に悪影響を及ぼしそうなこの問題は早急に解決して欲しいものだ。何とか15日前には片が付いてくれるといいのだがなあ。