エクソン(XOM)が減損処理発表、他(2020/12/01)

はじめに

昨日2020年11月30日の米国市場はダウ工業平均が0.91%、S&P 500が0.46%、NASDAQが0.06%それぞれ下落と軒並み軟調だったのだが、そんな中で自分の所有株であるエクソン・モービル(XOM)は、

5%超の大幅下落。

主な要因は掲題に挙げた減損処理だとは思うのだが、それ以外にもエクソンからは発表・情報提供がなされているので、その内容を整理・確認しておくことにする。


2020年11月30日のエクソン発表内容

以下はエクソンの企業サイトより引用・抜粋。

ちなみのタイトルは

ExxonMobil to prioritize capital investments on high-value assets(エクソン・モービルの高価値資産への設備投資優先)

となっており、減損処理についての発表だけではない。

  • Capital and exploration investments of $16-$19 billion in 2021; $20 billion to $25 billion annually to 2025
    2021年の資本・探鉱投資は160億ドルから190億ドル。2025年までは年間200億ドルから250億ドル
  • Near-term investment priorities: Guyana, Permian, Brazil, Chemicals performance products
    短期投資の優先事項:ガイアナ、パーミアン、ブラジル、化学製品のパフォーマンス製品
  • Certain dry gas assets removed from development plan; after-tax impairment of $17 billion to $20 billion
    開発計画から削除された特定の乾燥ガス資産。170億ドルから200億ドルの税引き後減損
  • Commitment to cost reduction, reliable dividend remains unchanged
    コスト削減への取り組み、信頼できる配当は変わらない

基本的には上記4点の発表であり、それに対する説明と最高経営責任者(CEO)Darren Woods氏のコメントが発表されている。

1点目の設備投資に関しては、コロナ以前は2025年まで年間最大350億ドルとしていたものから100億ドルの引き下げとなる。

2点目の短期投資優先事項は上記の通り。特に目新しくもない情報。

3点目の減損処理は、具体的には2010年に300億ドルで買収した米シェール企業XTOエナジーの天然ガス資産が対象に含まれている。その他減損の対象にはアルゼンチンとカナダの資産も含まれている。

4点目は特に目新しさに欠けると思ったのだが、2020年第3四半期決算(10月30日)の資料で、

「Provide reliable and growing dividend」としていたのが、今回「reliable dividend」と「growing」というワードが抜けているのが微妙に気に掛かる。


まとめ

発表の中で最高経営責任者(CEO)Darren Woods氏は、

  • “Recent exploration success and reductions in development costs of strategic investments have further enhanced the value of our industry-leading investment portfolio,”
    「最近の探鉱での成功や戦略的投資案件の開発コストの削減によって当社の業界最高レベルの投資ポートフォリオが一段と強化されています」
  • “Prices and margins for many of our businesses have improved from the third quarter and when coupled with continuing efforts to reduce spending and capture additional efficiencies, quarter-to-date cash flow has improved versus our plan assumptions,”
    「多くの事業の価格と利益率は第3四半期から改善されており、支出を削減して効率を高めるための継続的な取り組みと相まって、四半期累計のキャッシュフローは計画の想定よりも改善されています」

としているのだが、最大200億ドルの減損処理はただでさえよろしくない財務状況を悪化させる可能性が高いのではないだろうか。そのため設備投資額の引き下げも併せて発表しているのだろう。

また、上に挙げたように配当(dividend)についてのコメントが第3四半期から僅か1ワードとはいえ異なっているのが気に掛かる。今回あえて配当について触れ、微妙に言葉使いを変えたのも近い将来の配当減についての布石では?と考えてしまうのは勘ぐり過ぎだろうか。

先日のエクソンの原油価格の見通しといい、エクソンに関しては特筆すべき良いニュースがあまりない。ガイアナの沖合鉱区は有望そうだがそれだけではなあ。OPECプラスの会合も本来予定の12月1日から予備協議で調整がつかず延期されているし。

取りあえずは3日に予定されているOPECプラスで話し合われる2021年の原油生産体制に注意しておくことにしよう。

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