はじめに
2021年5月17日に自分の所有主力銘柄であるAT&T(T)傘下のワーナーメディアがDiscoveryと経営統合することが発表されてからAT&T株に関しては、
AT&Tがメディア事業スピンオフ(発表まとめ)(2021/5)
AT&Tがメディア事業スピンオフ(実質配当減か)(2021/5)
と発表の概要と、その内容から推測されるスピンオフ完了後のAT&Tの配当減についてまとめている。
今回は発表から5営業日が経過してアナリストの見解も出始めたのでその内容について確認しておくことにする。
2021年5月21日のAT&T投資格付けアップデート
今回のワーナーメディアがDiscoveryと経営統合はなかなか判断が難しいせいか、アナリストのアップデートが出てきたのは発表のあった5月17日(月)から少し遅れて5月21日(金)だった(いつもだったら翌日、翌々日にはアップデートが行われる気がする)。勿論自分が取得出来ていないだけで、他にもアップデートがあるのかもしれない。
UBSのアナリストJohn Hodulik氏
投資格付け:NeutralからBuyに上方修正
目標株価:32ドルから35ドルに引き上げ
【投資格付アップデート要旨】
- 簡素化されたAT&Tの事業構造と改善された可視性により、「魅力的な(attractive)」リスクと報酬のプロファイル(risk-reward profile)が作りだされる
- 200億ドルのフリーキャッシュフローを達成するという経営陣の目標は「達成可能(achievable)」
- AT&Tが配当を約45%引き下げた一方で、取引により新会社の株式は現在のAT&Tの配当金4〜5年に相当する1株あたり約7〜8ドル分(1回限りの非課税として)提供されると考えている
New Street ResearchのアナリストJonathan Chaplin氏
投資格付け:NeutralからBuyに上方修正
目標株価:35ドル(以前の価格目標は不明。そしてこの価格目標は今後6ヶ月の戦術的(tactical)目標。通常アナリストの価格目標は今後1年間)
【投資格付アップデート要旨】
- AT&Tの経営陣は「ビジネスを改善するために適切な措置を講じた(has taken the right steps to improve the business)」
- 現在より詳細な分析をアップデート中
両者とも投資格付けをNeutralからBuyに上方修正している。
AT&Tの経営陣がAT&T株購入
アナリストの最新見解を調べている最中に色々調べている中で、SEC(米証券取引委員会)のサイトにAT&Tの経営陣の購入情報が開示されていた。
スピンオフ発表日:5月17日(月)(米国市場開場前)
購入日:5月19日(水)
報告日:5月21日(金)(米国市場閉場後)
AT&T経営陣自社株購入情報
- 最高経営責任者(CEO)John Stankey氏:購入価格@28.81ドルで約100万ドル分
- 最高財務責任者(CFO)Pascal Desroches氏:購入価格@29.52ドルで約60万ドル分
これは現経営陣がAT&Tの将来株価に自信を持っていると考えるべきなのだろうか。もっとも経営陣がAT&Tは大丈夫だという外部へのポーズとして自社株を購入(インサイダーの情報はこの様に開示される)した可能性もある。
この情報を見て完全リタイア前に定期投資をしていた際に、この種の株価下落時に経営陣が自社株を購入していたことを思い出す。
【悩んだ末米国株定期購入しました】2020年3月米国株購入履歴
この時は言わずもがなCOVID-19の第1波の時期で、完全リタイア前当時は3ヶ月に1度の定期購入を3、6、9、12月にしていたので、市場が急落していたタイミングで購入するかどうか、どの株を購入するか非常に迷ったのだが、
バイアンドホールドの米国株投資だが定期購入するか(2020/3)
ダウ・インク(DOW)の経営陣が2月末から3月に自社株を購入していた点を決め手としてダウ・インク株を購入したのだった。
ちなみにその際のダウ・インク株の購入価格は手数料を除くと@28.66ドル。そして先週末のダウ・インク株の終値は
と当時の購入価額の倍以上になっている。
勿論単純にダウ・インクのケースと今回のAT&Tのケースを同列に語ることは出来ないし、自社株買いをした経営陣が失敗するケースも多々あることには留意しなければならない。
まとめ
AT&T(T)傘下ワーナーメディアがDiscoveryと経営統合することが発表されてからの確認できたアナリストの評価とその他情報について整理してみた。
先週のAT&T株の動きは
発表当日の17日から18日にかけて大きく下落し、19日にも市場の下落につられるように下落したものの、20日、21日はやや持ち直している。もしAT&T株が19日を今回の底とするのであれば、CEOとCFOは一番良いタイミングで購入したことになる。
アナリストの格付上方修正もあってAT&T株はやや持ち直した感もあるが、全てのアナリストの評価が出た訳でもないし、結局のところ(自分を含む)配当重視の投資家にとっては、スピンオフ完了後(2022年半ば予定)の配当減はネガティブ材料という事に変わりは無いので、
AT&T株が今後どう動くかはまだまだ分からないだろう。
取り合えず明日24日(月)は、21日(金)の米国市場開場中には明らかにされていなかった経営陣の自社株購入情報がAT&T株にとって良い方向に働くことを期待したい。