2021年2月19日のボーイング(BA)株4%超上昇について、他

はじめに

一昨日2021年2月19日(金)の米国市場はダウ工業平均がほぼ変わらず、S&P 500が0.19%の下落、NASDAQが0.07%の上昇と全体的にフラットだったのだが、自分の所有しているボーイング(BA)は、

4.31%の上昇。以下その原因と思われる点について調べて整理してみたのでまとめておく。


2021年2月19日のボーイング(BA)株4%超上昇の原因考察

まず過去5日間のボーイング株の動きを見てみると、

そもそも2月18日に大幅に下落していることが分かる。そこでまずは2月18日の下落原因について調べてみた。

2月18日のボーイング株下落

恐らくは前日2月17日の時間外後にボーイングが取締役2名の退任を発表したことだろう。

退任が発表されたのは2007年に取締役に就任したArthur D. Collins Jr.氏と2010年から取締役を務めてきたSusan C. Schwab氏で、両名とも10年以上取締役を務めてきたベテラン。

ちなみに先月1月15日にも取締役を3年務めたCaroline Kennedy氏の退任を発表しており、航空業界を直撃した新型コロナウイルスの世界的大流行による財務への影響を食い止める取り組みを進めている状況下で、取締役が相次いで退任することが市場に嫌気されたものと思われる。

2月19日のボーイング株上昇

最初に調べた時は特にめぼしい情報がなく前日の下げのリバウンドかとも思ったのだが、よく調べてみるとシアトル・タイムズ(ワシントン州レントンにはボーイング社の民間航空機部門本部がある)が以下の報道を2月18日の時間外にしていた。

  • Employees at The Boeing Company’s Renton, Wash., Commercial Airplanes headquarters have been told to clear out their belongings as the coronavirus pandemic has increased the viability of working remotely
    コロナウイルスのパンデミックによりリモートワークの可能性が高まったため、ボーイング社のワシントン州レントンの民間航空機部門本部の従業員は、所持品を片付けるように言われました
  • “It doesn’t take a rocket scientist to know where this is going”
    「これがどこに向かっているのかを知るのにロケット科学者は必要ありません」
  • “We’ve cleared out. It’s a recognition that the future will bring a combination of virtual work and hoteling”
    「私たちは片付けました。将来はバーチャルワークとホテリングの組み合わせをもたらすだろうという認識です」

これが示唆しているのは、ボーイングのレントン民間航空機部門本部ビルの売却によるコスト削減だろう。ただしボーイングは明言していない。

ボーイングは2020年10月にレントンの施設に関して以下の様に述べている。

  • “Boeing continually assesses the company’s entire portfolio of real estate property assets and adjusts the company’s footprint as the business environment evolves. Boeing Commercial Airplanes leadership will remain in the Puget Sound region.”
    「ボーイングは会社の不動産資産ポートフォリオ全体を継続的に評価し、ビジネス環境の進化に合わせて会社のフットプリントを調整します。ボーイング民間航空機のリーダーシップは、ピュージェット湾地域にとどまります」

前提が同じだとするとピュージェット湾地域にはとどまるものの、自社施設の売却に関しては必ずしも否定していないので、今回のシアトル・タイムズの報道もある程度信ぴょう性が高いと市場に判断されたのだろう。


まとめ

ボーイングはこの状況でもダウ工業平均の構成銘柄であるので、注目度が高いこともありニュースとなる事が多く、それに応じて株価の上下動が結構激しい。

そこで過去6ヶ月の株価の動きを見てみると、

2020年11月の737MAX運航再開報道(実際の運航再開は2020年12月末)で上昇したものの、年初来ではほぼダウ工業平均(2.9%上昇)と同じ程度の上昇(1.6%上昇)。

1月27日の四半期決算発表から2月に入ってやや持ち直し年初来ではトントンという感じになっているが、今後どうなるかはまだまだ不透明要素が多そうだ。


追記

とここまで先週のボーイング株の動きについて書いてきたのだが、日本でも大きく報道されたボーイング777-200型機のエンジントラブルで部品落下が日本時間2月21日に発生。

週末ということもあり一般ニュースでの報道中心でボーイングの業績や株価の視点での報道は今の所ないが、2月22日(月)のボーイング株はこれを受けて下がるのだろうなあ。

これを受けてエンジン供給をしているゼネラル・エレクトリック(GE)の株にも影響が出るのではと思い確認してみたところ、

  • 今回のトラブル機はユナイテッド航空(UA)
  • 777-200のエンジンは3メーカーから選択可能
    • プラット&ホイットニーのPW4000シリーズ
    • GEのGE90シリーズ
    • ロールスロイスのTrent(トレント)800シリーズ
  • ユナイテッド航空はPW4000シリーズを選択

ということでGEのエンジンでは無かった。ただGEのエンジンでは無かったとはいえ、ボーイングの株価が下がるとエンジン供給をしているGE株も連想で下がる可能性が高い気がする。2月22日(月)のボーイング株、GE株に関するニュース・株価の動きは注意しておく必要が出てきてしまった。

本当に勘弁して頂きたい・・・。

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